「王道モテファッション」は意外とモテない。その驚きの理由とは
ハイスペック男性が集まるカフェバーに、編集部のIとSが潜入。前回は、カフェバーのオーナー・南さん、有名企業で働く東大出身のAさんとおしゃれ系男子・Mさんの3人に恋愛観を聞いてみた。今回は、好きな女性ファッションを探る。
キョトンとしてるメンズたちの前に、複数のファッション誌をドンと置く。今まで私とSがやってきた涙ぐましい努力が、今のところ全部泡と化して消えていっている。でも、服装や髪型の上っ面な部分くらい、正解だって言ってもらいたい。「OK。その方向で引き続きいってよし」のGOサイン、一個くらいほしいじゃないですか。
A:もう僕、全然興味ない。
編集部I(以下I):どういうことですか?
A:服装は似合ってたらなんでもいい。好きな服を着てればいいと思います。
編集部S(以下S):嘘をつくではない! 「男性が好きなデートファッション」の記事、こちらは何回作ってると思ってるんですか。
M:さっきから聞いてて思うけど、2人とも深刻な職業病だよね……? 僕はファッションが好きだから、一応こういう感じの子が好きってのはある。
I&S:どれ!!
M:こんな感じの服装の子が好き。
Mさんが指さしたモデルは、Tシャツにワイドパンツを着用。挙句キャップを被って、大きなリュックまで背負っている。相当カジュアル。わたしとSが絶対にチョイスしないアイテムのオンパレード。ふとSを見ると、最近お気に入りのVネックがセクシーな黒のワンピースを着ている。ウエストのくびれがキレイに見えて、25歳の女盛りのSによく似合う。私は、ノースリーブのトップスに黒のスキニーパンツ、8cmのピンヒールで“大人の女性”を演出。これはまちがってないはず。だってこっちは天下の“マイナビウーマン調べ”の生みの親なんだから。露出は控えめだけど、二の腕は2人ともむき出しというセオリーも忠実に守る。
I:これ、このモデルがかわいいからじゃないですか? じゃないと許されないでしょう、こんな遠足みたいな服装。
M:そう! この子となら遠足みたいなデートができそうだから、おもしろそうな気がして選んだんだよ。楽しい1日を過ごせそうじゃない?
S:こういうのはどうですか?
Sが指したのは、白いノースリーブのシャツにラベンダー色のシフォンスカート。これでしょう? 王道のデートファッション。
A:本当に着たいならいいと思う。でも、「男が好きそうだな」って思って着てるとしたら、それは透けて見えるよ、下心が。
M:うん。僕も正直な感想言っていい? この服装見て、ぶっちゃけすぐに落とせそうだなって思った。「早く私を口説いて!」って全身で叫んでいるように見える……(笑)。
S:もうわからない。何もわからない。
I:私たちの服装はどうですか? 今日のこの感じ。
M:大変美しい2人だなと思いました。
A:合コンに2人が並んでたら、「おお!」と思います。
S:それから?
M:それから??
A:ぶっちゃけ、以上です。
M:そのあとの話を聞いて、ちょっと可哀想だなって思った。迷走してるなって。
A:たくさんの恋愛記事を作ってるせいか、情報に踊らされてるよね。自分たちで出す情報の波に埋もれて溺れてる。
I:私たち、自分で言うのもなんですけど、本当はおもしろい奴らなんですよ。でも恋愛の小手先テクニックみたいなのを仕事柄インプットしまくって、結局自分はどういう恋愛をすべきなのか、まったくわからなくなってます。
S:私たち、気がついたら情報の波に飲まれてますね。
A:本心見せてくれない子が一番イヤだな。付き合ったら、絶対ギャップに気づいちゃうじゃん。本人も自分を偽ったまま結婚して80歳とかまで演じられるならいいけど、絶対無理じゃない?
M:イヤって話が出たから言っちゃうと、男性の前と女性の前で態度が変わる人はイヤだ。あと親を大事にしない人も。
I:親好き。超好き。
A:迎合してきたね(笑)。
M:前にステキだなって思ったのは、夜遊びしてるときに出会ったかなり派手な子。日焼けもしてるし、露出も多くて、いわゆるギャル。でも、何回かご飯に行く機会があってわかったんだけど、その子は両親のことが好きで大事にしてた。デートに誘ったら、「両親と温泉に来てます!」って写真が送られてきて、その子のことがものすごく好きになった。結局付き合うことはなかったんだけど。
南:いいね! なんかほっこりする。
料理を持ってきた南さんが再び参戦。やさしい味のほうれん草のおひたしを食べながら、下心なく本心で田舎のお母さんに電話しようとぼんやり思う。お母さん、今あなたの娘は大都会東京で迷走してます。
S:出た、ギャップですね。ギャルが親を大切にしてるブランディング。
M:Sさん、相当ひねくれてるね。
A:2人ともおもしろいし、仕事も一生懸命なんだから、社内恋愛だったら自然体でいけそうじゃない?
I:会社では自分をさらけ出しすぎて、今さら恋愛なんかに発展できませんよ……。学歴と年収フェチだということを全国にこうやって配信してるんです。前途は多難すぎます。
南:Iさんは、好きなこととか趣味はないの?
I:音楽ですね。大学時代は、小さいライブハウスにしょっちゅう行ってました。例のモラハラの彼と付き合ってからは、相手が嫌がるからやめました。本当はバンドTシャツにドクターマーチンのブーツとか履いて、ライブハウスでガンガン暴れたいタイプなんです。
男性一同:めっちゃいいじゃん!! もう明日からバンドTシャツ着ようよ。
M:今、この子にライブ連れて行ってもらったら楽しそうだなって思ったよ! なんでそんな大事な一面抹消してんの?
I:イヤじゃないですか? 26歳にもなった女がバンドTシャツ着てライブハウスに通ってたら。
A:全然イヤじゃない。人の趣味にイヤも何もないでしょう。
S:どうしよう。Iさんにはそういう趣味があるけど、私、何もないです。しいて言えば、本当は六本木でお金持ちのおじさんと合コンしてるよりも、家でひとりでスマホゲームをしていたい。荒野行動をずっとしていたい。何時間でもできます。あと、会社の先輩の家で、そこの子どもとずっとYouTubeを見ていたい。で、その先輩ママのご飯をダラダラと食べていたい。でも、そんなことしてたら人生終わる感じがして、毎晩のように自分を奮い立たせて合コンに行ってます。
南:人生終わらないって(笑)! 今Sさんがすっぴんで荒野行動をやってるところを想像して、めっちゃおもしろかったです。
ケ:僕も荒野行動やってますよ! おもしろいですよね?
S:ケイシーくん、ありがとう……(涙)。
A:僕も超インドアだから、奥さんとよく家でゲームしてるか、何もせずにダラダラしてる。そういう楽しみ方ができる人だから、結婚してよかったと思ってますよ。
M:Sさんって、すごくお金がかかりそうなイメージだったけど、インドアなんだね(笑)。
S:引きこもりレベルです。
M:いいじゃん! もう2人ともそのままでいこうよ。なんか本当心配だよ。
S:でも付き合ってはくれないでしょう?
(一同爆笑)
気がついたら、1時間予定の座談会が3時間近く盛り上がっていた。小手先の恋愛テクニックなんて、賢い男性にはお見通しなんだ。Aさんの「偽りの自分で80年間も暮らせるの?」という言葉が私の頭の中でリフレインしている。そんなの絶対イヤだ。何も悪いことしてないのに、刑務所に行くようなものだ。
次の日、気になる彼とのデートだった。私は、予定していたシフォンのトップスをやめて、ひとりで過ごす休日にしか着ないSTUSSYのTシャツを着た。ヒールはまだ脱げない。でも、確実に昨日までの私とは少しちがう。
もし、また迷ったりうまくいかなかったりしたら、フラッと「Koru Takanawa Hostel, Cafe&Bar」に立ち寄ってみよう。やさしくておもしろい南さんや、クレバーなメンズたちに話を聞いてもらいながらお酒を飲んでいれば、ヒールを脱げる日もきっと来るような気がしている。
▽バックナンバーはこちら
1回目:「ハイスペック男子」が結婚相手に求める条件
2回目:男性の「何食べたい?」に対する正しい答え方
(文:マイナビウーマン編集部、撮影:前田立)
※この記事は2018年08月31日に公開されたものです