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3年越しの片想い。日本とスウェーデンが結んだ2人 #恋は国境を越える

鈴木梢

2人が出会ったのは、約4年前。スウェーデン人のビョルンさん(25歳)は、留学先の大学でホノカさん(27歳)と知り合った。留学生の支援をしていた共通の友人の紹介がきっかけだった。

あくまでお互いの認識は、「すごく仲のいい友だち」だった2人。それもそのはず、ホノカさんにはずっとお付き合いしていた別の男性がいたのだ。しかしビョルンさんがスウェーデンに帰国する直前に、ホノカさんは自らの想いに気づき、結果それから3年間片想いを続けることになる。

「どうしてもビョルンのことを諦められない」。そう思ったホノカさんは、結局ビョルンさんの帰国後半年程度で、彼氏と別れてしまった。

やっぱり忘れられず……単身でスウェーデンへ

「前に付き合っていた彼氏は、ビョルンと正反対の人だったんです。すごくイケメンで、男らしくて、仕事もしていて、お金をたくさん持っていて、いろんなものを買ってくれた(笑)。でも、デートをするたびにすごく緊張してしまうんです。楽しいけれど、いつもの自分ではいられない。長く一緒にいたいと思えるのは彼じゃなく、いつでも自然体で接することができる、ビョルンだったんです」(ホノカさん)

ビョルンさんが帰国してから2年後。単身でスウェーデンに渡ったホノカさんは、なんとか自分の想いに気づいてもらおうと、さりげなくアプローチを繰り返した。

しかしまったく気づく様子のないビョルンさん。「もしかして、女性に興味がないのかな」。周囲からもそう思われるほど、ビョルンさんは恋愛感情に鈍かった。過去の恋愛もなかなか長くは続かず、一番長く付き合った女性は、最長で2週間だったという。

結局、ホノカさんが意を決して告白をするが、すでに空港へのシャトルバスが出る直前。そのまま2人はまた1年間、付き合うこともなく、離ればなれになってしまった。

3年間の片想いから同棲へ、そしてまた遠距離に

「そのあとまた再会したときに、2人でポテトフライを買ったんです。でも2人とも緊張してしまって、結局全然食べられなくて……(笑)。初めて自分が意識していることに気づきました。告白されるまで恋愛感情はなかったかもしれないけど、僕もホノカが思うようにホノカに対して安心する家族のような気持ちを持っていたし、一緒に暮らしたいなと思ったんです」(ビョルンさん)

現在は日本で働いているビョルンさんだが、実は専門分野の修士課程を修了する必要があるため、あと2年間スウェーデンの学校に通わなければならない。つまり、来年にはまたスウェーデンへ帰ってしまうのだ。

「これからも一緒に暮らしていくためには、2つ方法があるんです。私が1年後に留学をするか、配偶者ビザでスウェーデンへ行くか。配偶者ビザは、結婚していなくても取得することができるんです」(ホノカさん)

スウェーデンでは、法律婚であれ事実婚であれ、結婚は結婚というスタンスをとっている。だから日本でいう結婚の形をとっていなくても、配偶者として扱われることができる。

ただし、配偶者ビザは申請から許可がおりるまで、約1年かかるといわれている。つまりホノカさんとビョルンさんは、また最低1年間は離ればなれになってしまう。

「スウェーデンのことを考えてホームシックになることはありませんが、これからまたホノカと離れると思うと不安です。1年一緒に暮らして、もうホノカがいることが当たり前になっているから」(ビョルンさん)

スウェーデン人から見た日本は「かっこいい憧れの国」

ホノカさんがいるからという理由もあるが、どうやらビョルンさんにとって日本はとても居心地がいいらしい。

「日本とスウェーデンは非常に似ているんです。街の構造だけでなく、国民性も。特に東京はあまり人に干渉をしないですが、スウェーデンもそうです。家の中では靴を履かないのも同じ。僕は寒いのが苦手なので、日本の暑さはそこまでつらくないです」(ビョルンさん)

スウェーデンの夏は、ビョルンさんいわく「30度前後になるときもある」程度。暖かいと感じる期間は3カ月くらいで、北海道の気候に近いところがあるそうだ(実際、北海道にはスウェーデンをイメージした場所がいくつもある)。

「スウェーデンは自然がすっごく多くて、そこらじゅうに森があるんです。公共の自然はどこでもキャンプができるんですよ! その自然を楽しむのが、私はとっても好きです」(ホノカさん)

スウェーデンでは、自然の中なら誰の所有地でも自由に出入りできる。そのうえ日本人が好みやすい土地柄や国民性を持っており、それは逆も同じ。日本とスウェーデンは、非常に相性がいいようだ。

「スウェーデン人にとって、日本は『かっこいい国』というイメージなんです。子どものころは日本のアニメや漫画に親しんでいましたし、憧れを持っていました。きっと僕が2年間日本で働いたことも、スウェーデンに戻って友人たちに言ったら『日本で働けるなんてすごいじゃん!』とちやほやされるはず(笑)」(ビョルンさん)

日本とスウェーデン。遠く離れた国なのだから、ずいぶんと考え方もちがうのだろうと勝手に思っていた。しかし聞けば聞くほど、お互いの土地柄が魅力的に映っていることがわかる。それは国同士だけでなく、友人、恋人としてもそうなのだろう。2人がお互いを愛し、尊重し合う姿を見て、そう感じた。

(取材・文:鈴木梢、撮影:洞澤佐智子、構成:マイナビウーマン編集部)

※この記事は2018年07月19日に公開されたものです

鈴木梢

芸能人インタビュー記事を中心に手がける、編集者・ライター。趣味は国内の音楽フェス巡りとアニメ鑑賞を少々。2016年春から2018年6月まで編集プロダクション「プレスラボ」に所属、現在はフリーランスで活動中。

Twitter:https://twitter.com/aco220

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