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日韓カップルは“草食系男子”と“押しかけ女房” #恋は国境を越える

鈴木梢

「はじめは、失礼な言い方ですけど“押しかけ女房”って感じで」。彼女と付き合いはじめる前のことを、彼は笑いながらこう振り返る。

日本人のコウヘイさん(25歳)と韓国人のサニーさん(26歳)が出会ったのは、同じ大学の国際寮。留学生はもちろん、日本人学生も含め500人以上が暮らしていた。

春になると、新しい寮生を迎える大規模な歓迎会が行われる。2人はそこで知り合った。当時、サニーさんは大学3年生、コウヘイさんは大学4年生だった。

“押しかけ女房”をされるのが、うれしかった

「最初はびっくりしました。だって、毎日のように僕の部屋へ来て、料理を作ってくれたり、ことあるごとにプレゼントをくれたりするんですよ。まるで“押しかけ女房”みたいだなと思っていたんですけど、その反面、それまでこんなに尽くされたことがなかったので、うれしくて」(コウヘイさん)

歓迎会の受付係をしていたサニーさんは、コウヘイさんと初めて会った当時を振り返り、「背が高くて、かっこいいと思った」と話し、うふふと笑う。

サニーさんはよく笑う人で、筆者やコウヘイさんが話しているときも、時折うふふと言い、にっこり笑う。コウヘイさんは「当時、僕は好意とかなかったですけどね」と話し、サニーさんも「私だってなかったよ!」と返す。お互いに冗談を言って、サニーさんが笑い、コウヘイさんはそれを穏やかに受け止めている。

サニーさんがコウヘイさんにアプローチを続け、寮生たちとともに旅行などをし、交流を深め、付き合うことになった。

「私、草食系男子のほうがいいんです」

「なかなか『付き合おう』と言ってくれなかったんです。彼、告白をしたことがないらしくて。私、日本語を勉強するときにインターネット上のいろんな記事を読んで参考にしていたんですけど、そのなかで“草食系男子”の話も出てきて。だから彼と出会って、『ああ、噂の“草食系男子”って、こういう感じか!』と思いました」(サニーさん)

韓国の男性は、女性に対してグイグイ攻めることが多い。しかしそういった愛情表現に、サニーさんは思うところがあった。

「グイグイ来られると、どうしても『ほかの人にもそうしてたのかな?』って考えちゃうんです。だから私は、草食系男子のほうが好みだなって(笑)」(サニーさん)

それだけでなく、付き合ってからの愛情表現も、韓国は特徴的なところがある。

「韓国って、付き合うと常に一緒にいたい、一緒にいるのが当然という人が多いんです。一緒にいなくても常に連絡を取り合うのが普通で、連絡が少しでもつかなくなったら『浮気だ!』と言われてしまうくらい。今はお互いそんなに連絡を取り合わないのがちょうどいいので、コウヘイと付き合ってよかったなと思います」(サニーさん)

日韓のちがい、そして結婚

とにかく2人の空気は穏やかだ。喧嘩はほとんどせず、「もし喧嘩をしても、次の日には普通に話をして、お互いに引きずるようなことはないですね」と、コウヘイさんは話す。

ただ、ときには国民性のちがいを感じることもある。

「以前、私の母とその友だちが日本へ遊びに来たんです。2人とも彼に会いたいと言うので、4人で焼肉を食べに行きました。そのときの支払いをすべて彼にしてもらったのですが、彼は『お母さんのぶんはわかるけど、なぜその友だちのぶんまで僕が払うの?』と言って。韓国では、パートナーの家族はもちろん、家族の近しい人のことも大事にするのが普通なんです」(サニーさん)

韓国は友人関係も密で、パートナーができたら友だちにすぐ紹介するのが普通。多くのカップルが、お互いのパートナーの友だちぐるみで仲よくなるそうだ。日本でもパートナーを紹介する場面は多いが、すぐに多くの人を巻き込むよりも、徐々に紹介をしていくケースが多いように思う。

「ほかにちがいといえば、彼女は辛いものが大好きで、僕は辛いものがまったくダメなくらいですかね」とコウヘイさんは笑うが、サニーさんは「韓国では、パートナーが作ったものは、たとえまずくても『おいしい』と言って食べるものなのよ! 私は、食べてもらいたいのに」と少し不満げ。会話の中に、2人の生活が感じられる。

大学を卒業し、ともに暮らし、付き合いはじめてから3年ほどが経つ。2人は近い将来に、結婚を考えはじめている。

「お互いの祖父母世代は、時代背景的に、やはりなかなか受け入れにくいところはあるようです。でも、それぞれの家族と何度も接してきて、最近はだいぶ打ち解けてきたように思います。人となりをお互いに知り、徐々に気長に、関係性を作っていけたらいいですね」(コウヘイさん)

「国際恋愛自体が難しい」こともなければ、「国際恋愛だからこそいい」という特別なものでもない。ただ2人は、お互いをお互いとして理解し合って、受け止め合って恋人同士になったのだ。それはどんなカップルも変わらない。そんな当たり前のことを、2人の話であらためて気づくことができた。

(取材・文:鈴木梢、撮影:延原優樹、構成:マイナビウーマン編集部)

※この記事は2018年07月16日に公開されたものです

鈴木梢

芸能人インタビュー記事を中心に手がける、編集者・ライター。趣味は国内の音楽フェス巡りとアニメ鑑賞を少々。2016年春から2018年6月まで編集プロダクション「プレスラボ」に所属、現在はフリーランスで活動中。

Twitter:https://twitter.com/aco220

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