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一人暮らしスタート費用の内訳は? 貯金はいくら必要?

川部紀子(ファイナンシャルプランナー/社会保険労務士)

一人暮らしはしたいけれど、気になるのが一体どれくらいお金が必要なのかという点。いざ一人暮らしを始めるときに「こんなに出費があるなんて!」と焦る事態は避けたいですね。今回はファイナンシャルプランナーの川部紀子さんに、一人暮らしをはじめるにあたり必要な費用や、節約方法を伺いました。

一人暮らしの部屋決めに必要な費用

まずは一人暮らしをする場合に必要なお金の種類(家賃、敷金・礼金、仲介手数料など)と、それぞれの全国平均を教えてもらいます。また、それらの金額を節約するポイントもまとめましたので、参考にしてみてください。

新居にかかる費用

契約時に不動産業者に払う、おおよそのお金は以下の通りです。

敷金   

家賃1カ月分:退去時に家賃滞納や修繕費を差し引いて返金

礼金  

家賃1カ月分:大家さんへのお礼

仲介手数料

家賃1カ月分+消費税:仲介業者への報酬

前家賃

家賃+管理費1カ月分:契約した翌月分の家賃

保証料

家賃半月~1カ月分:滞納などに備える保証会社への費用

鍵交換費用

15000円~3万円:防犯上の目的で、新しい鍵に換える費用

火災保険料

15000円~2万円:火事などの際、建物を補償するための保険料

消毒料

1万円〜2万円:清掃に加えて消毒を希望する場合の費用

日割り家賃

入居日による:月の途中で入居した場合の日数分の家賃

以上をすべてがかかるものと仮定すると、入居前に不動産業者を通じて払う金額は、家賃の5~6カ月分となります。

実際に計算をしてみましょう。管理費を家賃の5%、金額に幅のあるものは低い方の金額、日割り家賃は家賃と管理費の50%とします。ワンルームの賃貸住宅を借りる場合の平均的な家賃、東京都6万8000円、全国5万円(全国賃貸管理ビジネス協会「全国家賃動向」より平均家賃は東京6万7863円、全国平均5万278円)でシミュレーションしてみます。結果は、いずれも家賃の約6カ月分となります。

家賃6万8000円の場合(東京都)39万540円≒家賃×5.74
家賃5万円の場合(全国)29万7750円≒家賃×5.96

さらに、引っ越し代や新しく買うべき家具や家電などの費用も加算されることになりますので、大きな出費になることはまちがいありません。

新居にかかる費用節約のポイント

上記の費用は自分の努力で節約できないものが多いのですが、すべての項目が必要になるわけではありません。新築の場合は鍵交換費用がかかりませんし、消毒料は法律上の義務ではないので、不要と考えるなら断ることも可能です。不動産業者のキャンペーンや、大家さんの方針や地域の慣習として、敷金、礼金、仲介手数料、前家賃がかからない場合もあり得ます。まれにお祝い金付きという例もあるようです。重要なことは正直に相談と質問をすること。不動産業者で部屋を探す際には、お部屋や場所の条件だけを伝えがち。当然不動産業者もそこにフォーカスしてくれますが、もうひと言「初期費用をできるだけ抑えたいのですが……」も加えてください。また、費用の一覧を見ながら、「消毒はお願いしなくてもいいですか?」など、この費用は何だろう? 本当に自分に必要なのかな? と感じたことは告げてみましょう。

一人暮らしの引っ越し費用の平均

単身の引っ越しにかかる費用の全国平均と、引っ越し費用を節約するポイントをまとめました。

単身引っ越しにかかる費用

引っ越し費用の計算方法

引っ越し料金は、基準運賃(国土交通省の基準)+割増料金(繁忙期、土日祝日、深夜・早朝)+実費(人件費、トラック、梱包費用など)+オプションサービス(エアコン移設、ピアノ輸送など)という仕組みで計算されます。繁忙期か否かによって、そして業者によって差がありますし、移動距離が数分なのか、海を渡るのかで大きなちがいがあります。業者による無料見積もり、各種見積もりサイトなどで、自分のケースを早めに確認して予算を定めましょう。

平均引っ越し費用

一人暮らしの平均的な引っ越し料金は、荷物が少ない場合で約5万円、多い場合で約7万円ですが、移動距離500km以上で荷物が多ければ平均約11万となっており、2倍ほどの差があります。

※調査概要(SUUMOジャーナル)

「引越しに関する実態把握調査」(リクルート住まいカンパニー)

【調査実施時期】2013322() 2013329日(金)

【調査対象者】1869歳の男女

【調査方法】インターネット調査

【有効回答数】20,000サンプル

【調査実施機関】楽天リサーチ株式会社

引っ越し費用節約のポイント

数社比較し見積もりを出す

不動産業者を通じて払うお金は節約が難しいのですが、引っ越し業者はある程度節約が可能です。重要なのは少し面倒でも必ず数社の比較をすること。最初に業者ごとのサイトや比較サイトで研究してください。比較は相場を知ることにも繋がります。そして無料の見積もりをお願いしてみましょう。この時、少しでも安くなる方法はないかの質問、値引きの相談をすることもオススメです。

引っ越し日時を検討する

基本の節約としてまず検討すべきは、引っ越し日時です。融通が利くのであれば、繁忙期・土日祝日を避けること、そして時間帯を指定しないなどでどの程度安くなるかを確認してください。

支払い方法やポイントを確認

業者によって、支払い方法、提携クレジットカードを利用した場合に割引になる場合があるので確認しましょう。共通ポイントやマイルで還元されることもあります。近頃の共通ポイントやマイルはそのままお金の価値がありますので節約と同様の意味があります。必ずご確認を。数万円から数十万円の支出ですから、カードやポイントによる節約効果も高いですよ。

断捨離する

荷物が多いと引っ越し費用もかかります。この際本気で断捨離をして荷物を減らしましょう。荷物が少なければ小さめのコンテナで運べる可能性があるので節約効果が高いです。段ボールの数も減らせるかもしれません。多少捨てる費用がかかっても、運ぶ費用がそれ以上に安く上がる可能性はあります。

宅配業者を使う

市内の移動であれば引っ越し業者ではなく、地元の宅配業者などで一人暮らしの荷物程度の引っ越しを請け負ってくれる場合があります。引っ越し業者を使うより安く済む場合もあります。これはネットよりも電話での問い合わせがよいでしょう。

知り合いに頼む

友だちや知り合いにお願いする方法も。長距離で引っ越し費用が高くなるケースで、友だちと軽トラックを借りて引っ越して安く済んだという例も。かつて、筆者もトラックドライバーの友人にお願いした経験があります。しっかりお礼をしても引っ越し業者に依頼するより安かったですよ。

ただし、節約しようとなると引っ越しに限らず面倒や我慢や失敗が付き物。「こんなことなら、節約なんてやめておけばよかった…」ということにもなり得ますので、自分の性格や性質を考えた上で、節約を検討するかどうかを考えましょう。

一人暮らしに必要な費用

上記で紹介した、家賃(敷金礼金など含む)、引っ越し費用もふくめ、一人暮らしをはじめるためには大体いくらくらい費用が掛かり、そのためにはいくら貯金があればよいのでしょうか? こちらも節約方法と併せて教えてもらいましょう。

一人暮らしスタートに必要な貯金額

東京都の場合は約55万円が必要

一人暮らしに必要なお金を、大きく3つに分けて予算を立てていきましょう。

1.部屋関係(新居の不動産にまつわるもの):家賃の56か月分は必要です。

2.引っ越し関係:手段や引っ越し先によりますが、平均は約5~7万円です。

3.モノ関係:家電やインテリアなど:自宅から持ち込まず購入するものによりますが、1015万円は準備したいですね。

上記3つの項目はそれぞれ大きな差が出るので、足すと数十万円ほどのちがいにもなり得ます。平均的な数字で考えると、予算と大きく外れてしまうこともありますので、必ず自分のケースで予算を立てましょう。

例えば、次の例で3つの費用を足すと45万円にもなります。

1.新居の部屋関係:30万円(全国の家賃平均の約6か月分)

2.引っ越し関係:5万円(荷物が少ない場合の市内移動)

3.モノ関係:10万円

この例では、一人暮らしではじめた段階で軽く50万円近くのお金が口座からなくなるということ。東京都の家賃であればプラス10万円は考える必要がありますし、移動距離によってもプラス10万円もあり得ます。この初期にかかる費用がなくなった状態で、貯金が0になる、という事態は避けたいです。筆者がこう考える理由は、法律上の解雇予告手当が「1カ月分のお給料」だからです。これは、もし仕事を失った場合でも1カ月あれば仕事が見つけられるだろうと考えられているから。そうなると、一人暮らしをはじめる前の貯蓄は、初期費用プラス1カ月分のお給料程度ということになります。もちろんもっと多ければさらに安心ですね。

借金の前に家族などに相談を

しかしながら、特に20代の場合はこれだけのお金を用意できないケースも多いはず。親御さんの協力などが得られないかを確認してみるのも良いでしょう。実は引っ越しの際にキャッシングやカードローンなどの借金をしてしまう方がいらっしゃいます。そこから借金が大きく膨らんでから親に相談するケースが少なくありません。そうなる前に誰かに相談することをオススメします。

安く一人暮らしを始めるポイント

上記の3つの費用のうち、新居にかかる費用、引っ越し費用を安くする方法は先にお伝えした通りですが、モノ関係の家具家電も工夫次第である程度安く済ませることが可能です。

・事前にネットで情報収集や比較をする(新品だけでなくフリマアプリなども活用する)

・リサイクルショップに行ってみる(新品と中古品の相場のちがいを確認する)

・購入時期を分散する(数カ月後に購入しても生きていけるものを探す)

・家族・親戚・知り合いに不要なものがないか聞いてみる(SNSなども活用する)

家族・親戚・知り合いに聞いてみることを躊躇する方もいますが、実はとても喜ばれる場合も。捨てるにも、売るにもお金がかかる大物家具や家電が眠っている家庭は意外に多いからです。

さまざまな工夫で一人暮らしの費用を節約しよう

一人暮らしをするとなると、新居、引っ越し、そして家具家電などさまざまな費用が必要となります。あらかじめどれくらいの金額がかかるのか知っておくことで、スムーズな引っ越しと新生活を送ることができるでしょう。大事なのは、引っ越し前からの貯金。思い立った時にすぐ引っ越せるように、事前に用意しておきたいですね。

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※画像はイメージです

(文:川部紀子、構成:篠崎夏美)

※この記事は2018年07月08日に公開されたものです

川部紀子(ファイナンシャルプランナー/社会保険労務士)

ファイナンシャルプランナー(CFP® 1級FP技能士)、社会保険労務士
「FP・社労士事務所 川部商店」代表

1973年生まれ。生命保険会社に8年間勤務し約1000人の相談・ライフプランニングに携わる。後に起業し「お金」に関するキャリアは20年を超えた。現在、講演・セミナーの依頼は年間200回ほどあり、その他、執筆、コンサルティング、テレビ、ラジオ等のメディア出演も多数。新刊は『まだ間に合う 老後資金4000万円をつくる! お金の貯め方・増やし方』(明日香出版社)

川部商店 川部紀子 オフィシャルサイト
http://www.kawabe.jimusho.jp

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