自分以外のせいにしまくる「謝れない女」 #イヤな女
オフィス内や仕事の取引で出会ってしまう「なんか苦手な女性」「好きになれない女性」、はっきり言っちゃえば「イヤな女」。彼女たちの「あるある言動」をもとに、なぜこうしたことをするのか、背景にある心理はなにか、ぱぷりこさんに分析・解体してもらいます。
「謝れない女」のあるある言動
「それ、私が悪いんですか?」
「やったのは私じゃないです。チェックしたのは○○さんです」
「そのやり方は、教えてもらってないです」
「あー、ちょっとタイミングが悪かったんですよね。電話がかかってきちゃってて」
「私、帰国子女なんで、日本のすぐ謝る文化に慣れてないんです」
「謝れない女」とは、自分のミスや失敗について謝罪せず、他人や環境、運のせいにする女性です。
誰しもミスや失敗はあるものです。新入社員はできなくて当たり前だし、中堅社員やベテラン社員だって、うっかりミスはするもの。新規事業や新技術の担当で、むしろ失敗しなかったら「ちゃんと仕事してるの? トライ&エラーって言葉を知ってる?」と心配されることでしょう。適切なマネジメントがされている会社であれば、「ミスや失敗はあるものとして織り込み済み」でチームや会社は回っています。
とはいえ、ミスや失敗によって迷惑を被る人はいるし、場合によっては損失が生まれます。仕事である以上、責任の所在を明確にする必要がありますし、失敗をチーム全体でカバーするからこそ「自分がやらかしたミスに対する謝罪」は重要です。
しかし「謝れない女」は、自分に原因があるミスや失敗でも「私のせいじゃないから」と言い訳して、謝ることを拒否します。
彼女たちは「ほかの人が悪いから」「環境が悪いから」「運が悪いから」と、「自分以外が悪く、自分は悪くない」スタンスを貫きます。
やり方がわからずにミスをした場合は、「やり方を確認したり質問しなかった自分が悪い」ではなく「やり方を教えない先輩や会社が悪い」。与えられた仕事が時間内に終わらなかった場合は「体調が悪かった」「お客さんの対応に時間を取られた」など、謝罪せずに「私は悪くないです」。
さらに「私、帰国子女なんですけど、すぐ日本人って謝りますよね? そういう文化、合わないんです」など、文化のちがいを理由にすることもあります。確かに「自分が悪くなくてもとりあえず謝る」文化は、責任の所在が曖昧になりますし、欧米圏と取引する場合になめられがち、という弊害があります。しかし、自分のミスを謝らないのは、帰国子女や文化のちがいとは関係ありません。
謝れない女は、なぜこんな言動をする?
なぜ謝れない女は、あらゆる理由を使って、謝ることを拒否するのでしょうか?
それは、謝ると一族に呪いがふりかかる村の出身だから。
というのは、半分は冗談ですが、半分は本当です。というのも、彼女たちにとって、謝るメリットよりも謝るデメリットのほうが上回っているからです。
謝れない女は、2つのパターンに分かれます。
1.自分がミスをしたとは思っておらず、まわりが悪いと本気で思っているので謝らないタイプ
2.自分がミスしたり悪いことをしてしまった、とわかっているけれど謝れないタイプ
まず、自分が悪いと本気で思っていないタイプは、現実を認識する能力が歪んでいるので、周囲の人間と見ている現実そのものがズレており、生きている世界線がちがいます。彼女たちからすれば、誰かがやらかしたミスを自分に押しつけ、謝らせようとしてくる周囲の人間が悪です。自分は被害者であり、まわりは加害者だと思っているため、恨みを抱きやすく、改善する気もありません。同じ部署にいたらわりと本気でつらいタイプです。
自分が悪いと思っているけれど謝れないタイプは、生きている世界線はいちおう同じです。彼女たちは自分がミスをしたことはわかっています。ですが、謝ることの心理コストがとてつもなく高いため、謝れません。
なぜそこまで心理コストが高くなっているのでしょうか。よくある理由は「謝罪は自分の負け」であり「負けを認めることは自分の価値が下がる」と思っていること。「負けもなにも、ミスと勝ち負けは関係ないのでは? 一瞬のミスが命取りになる武闘家じゃないよね?」というのは、謝れる人間の発想です。
謝れない女は、実物よりも大幅に優れているバーチャル自己像を持っており、「そこまで能力が高くない」というつらい現実を受け入れる精神的余力がありません。この精神状態は一般的に「プライドが高い」と呼ばれますが、この表現から受ける自信満々なイメージとは裏腹に、自信がないためにちょっとしたことで傷つきやすく、自分の価値をすぐ見失いがちなので、現実を直視して受けとめるだけの精神的余裕がありません。
自分のミスを謝ることは、自分が特別な存在ではないと認めることであり、自分の存在を否定されることにつながります。「謝るなんてデメリットだらけのことはできない! 怖い!」というのが彼女たちの考え方です。
謝れない女は「謝るメリット」を知らない、という理由もあります。謝罪には「信頼の回復」「迷惑を受けた人間のネガティブな感情が緩和される」「事後処理がスムーズになる」といったメリットがありますが、彼女たちはこれまで謝った経験が圧倒的に少ないので、このメリットを実感していません。
そのため、「謝らないメリット=自己防衛」>>>「謝るメリット=信頼の回復、周囲のネガティブ感情の緩和」と判断し、謝らないスタイルを貫き続けます。
謝れない女=傷つきやすく謝るメリットを知らない女
「謝れない女」は、「本気で認知が歪んでいて、生きている世界線がちがう女」「自分が謝ること=負けを認めること&存在否定だと思っており、謝るメリットを知らない傷つきやすい女」です。
謝れない女は、傷つきやすい自分を守ることに集中するあまり、まわりがどう感じているか、どう対応すればいいかにまで意識が向いていません。余裕がない彼女たちにとって「自分>>>>>他人」のため、周囲の人間は「不快な気分になる」「責任逃れをされた」「責任を押しつけられた」といったダメージを食らいます。
謝れない女が社内や部署内にいたら、どうすればいいのでしょうか?
認知が歪んでいて本気で自分が悪いと思っていないタイプは、残念ながら一般人が対応するのは困難です。認識している現実がちがう時点で認識をすり合わせることができないからです。認知の歪みを変えるのは、本人の意識とプロの助けが必要になるレベル。できることは、被害を最小限にとどめるように仕事を調整することぐらいです。顧客対応など対人関係の仕事を振らない、ミスをしても致命傷にならない仕事にアサインする、部下をつけない、といったことで、なるべく関わる人間の数を減らすしかありません。
自分がミスをしたと理解しているタイプには、目上の立場の人間が「ミスをしたからといってすぐ評価を下げることはしないし、ダメ人間だと見下したりしない」と伝えて安心してもらうこと、「謝ることのメリット」を実感してもらうことが有効です。
彼女たちは傷つきやすい存在であり、「ミス・オア・ダイ」レベルの極端な思想を持っていることを念頭においた対応が必要です。謝れる人間にとって謝罪の精神コストは「ちょっと痛い注射レベル」かもしれませんが、謝れない人間にとっては10メートルの高さから飛び降りるような「存亡の危機レベル」です。この認識ギャップを理解していないと、謝るハードルをさらに上げてしまう行動をとりがちです。
たとえば「皆、あなたのことを悪く言ってるよ」「謝れないなんて社会人として最低限のこともできないようじゃ、同期にすぐ追いていかれるよ」とプレッシャーをかけるのは、逆効果どころか致命傷を与えて二度刺すぐらいのダメージを与えてしまいます。謝れない女へのイライラが爆発するとついやりがちですが、「謝れるようになってもらう」ゴールを達成するのには不向きです。
人間は、思考や行動の癖をすぐに治せるものではないので、1~2回ほど言っただけで終わらせず、根気よく言い続けて行動が変わるのを待ちましょう。謝ることができたら褒め、過去のことを持ち出さないことです。「謝っても大丈夫だし、死なないし、居心地の悪さがなくなった」というメリットを実感するようになれば、行動が変わっていく可能性があります。
社長の娘などの特殊ポジションにいる、年功序列で昇進せざるをえない、などの理由により上記の方法を取れない場合は、般若心経をとなえるか歴代元カレの口癖を思い出すゲームをして心を虚無に保つ、物理的な距離を取る、などにより、ストレスをためないように
心がけましょう。
(文:ぱぷりこ、イラスト:黒猫まな子)
※この記事は2018年03月12日に公開されたものです