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【真夜中のKISSマンガ】第8回『ラブ★コン』階段で凸凹身長キス

和久井香菜子

少女マンガ攻略・解析室室長の和久井香菜子が、真夜中に読みたいキスシーンをご紹介。ベッドの中で胸キュンが止まらない“とっておきのキスシーン”って? 金曜午後10時、甘くて切ない秘密の時間がおとずれる。

恋の障害ってなんでしょうか。
身分? 距離? 当て馬? それとも……。

世の中には相場っていうか規格ってのがありますね。
「これこれは一般的にはこういうものだ」という固定観念です。
カップルになる2人に関しては、
「男のほうが女より収入が高いだろう」
「男のほうが女よりスポーツがうまいだろう」
「カップルは男女であるべきだ」
昔なら「男のほうが女より年が上だろう」
なんてのが恋愛の“規格”でした。

その「規格」から外れてしまうと、それが恋の障害になったりします。
「こんな普通じゃない恋、ホントにいいのかな……?」って。

(C)中原アヤ/集英社

今夜のKISSマンガ『ラブ★コン』

「ラブ★コン」は、漫才コンビみたいに言い合いっこする仲の男女、めっちゃくちゃ背の高い女子・小泉と、背の低い男子・大谷の物語。

最初、小泉は「こんな背の低い男子なんて、恋愛対象じゃないよ」なんて「恋の規格」に照らして考えます。でも、どうやっても気が合ってしまう2人。

しかも、大谷のモテることモテること!
元カノだの近所の雑誌モデルだの、次々現れては小泉の心を揺さぶります。
そのたびに小泉は、
「こんなダサイ女いややろ?」
「やっぱり元カノのほうがええんやろ?」
と不安になります。

「規格から外れている」ことで、小泉はずっとずっと不安なんです。
小泉は、大谷が小さいことではなくて、自分が大きいことを気にしているんですよ。カワイイですよね。

でもわかるなあ。
「もし私がもっと小さかったら」
「もし私がもっと美人だったら」
「もし私たちが『規格外』じゃなかったら」
もっともっと自信を持っていられるのに。そういう恋ってとっても辛い。

だけどそのたびに大谷は、その不安を解消してくれるんですよ。
いいなあ大谷。

規格外なんて関係ない階段キス

そしてそして……。
学園祭の日。ふたりっきりになったときに大谷が「ちょっとこっち来てみ」と小泉を階段の下に立たせます。そして程よく大谷が小泉を見下ろす位置に立って……。軽ーくチュッ。このときばかりは、2人の身長差が逆転します。

いいですよね~、こういう、くちびるが触れ合うだけのキス。『ラヴァーズ・キス』(吉田秋生)でも言ってたけど、これぞ「大好きだよ」のキス。さあこれからガッツリやるでー! じゃなくて、好き好きのキス。一番キュンキュンします。

恋に不安はつきものだけど、それが「規格外」ならなおさら。
だけど、気が合って一緒にいて楽しいなら、規格内かどうかなんて関係ないですよ。そんなつまらないことで恋する気持ちや可能性を壊しちゃうなんてもったいない! 気が合う人なんてそうそう出会えるものじゃないし。

「ラブ★コン」は、そんな規格外恋愛を猛烈に応援してくれる、恋愛バイブルなんですね。

(監修:和久井香菜子、イラスト:菜々子)

※この記事は2017年11月10日に公開されたものです

和久井香菜子

少女マンガ攻略・解析室 室長(http://kanako-wakui.net/index/)、編集・ライター。卒業論文で『少女マンガの女性像』と題して、女性の社会進出と少女マンガの主人公の描かれ方がどうリンクしているかを研究。以後、各種少女マンガレビューの執筆を始める。著書に『少女マンガで読み解く 乙女心のツボ』(カンゼン)がある。

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