肩こり解消のため、整体に通ったりジムに通ったり……、さまざまな方法を試している人は多いと思います。でも、自宅で簡単にできるストレッチが、肩こりに効果的な事を知っていますか? そこで、パーソナルトレーナーの武田敏希先生にストレッチの効果や具体的なストレッチ方法などをお聞きしました。
■肩こりの原因と肩こりにストレッチが効果的な理由
肩こり解消にはさまざまな方法がありますが、中でもストレッチは非常に効果的と言われています。その理由を、肩こりの原因とあわせて、武田先生に教えていただきました。
◇肩こりの原因
武田:肩こりの原因として筋肉の緊張や血行不良が言われていますが、実は「肩甲骨が正しく動いていない」ことが多いのです。だから根本的な解決には、肩を動かすよりも肩甲骨を動かすほうがよいのです。
肩甲骨はニュートラルポジション(外転、内転、挙上、下制いずれの状態でもない、本来の正しい位置)にあると肩の可動域が大きく、肩の動作に制限はありません。けれど、それ以外のポジション、例えば猫背の状態から肩を上げると、肩の動作に制限が生じて可動域が本来の2~3割ほど減ってしまうのです。こうした可動域が少ない状態から肩を上げようとすると負担が大きく、挙上(肩甲骨を上に引き上げる動作)という代償動作をするようになってしまいます。こうした無理な動きを続けていると肩の位置が上がりやすくなったり、首の筋肉が固まりやすくなったりして、結果的に肩がこりやすい状況を作ってしまうのです。
◇肩こりにストレッチが効く理由
武田:肩がこっているからといって肩をマッサージしても、根本的な解決にはなりません。肩こり解消のカギを握っているのは、実は「肩甲骨」だからです。肩甲骨がニュートラルポジションにあり、肩の可動域が100%になるように、ストレッチで正しい場所に調整することが肩こりの解消に効果的なのです。
肩こりの原因と、肩こりの解消にストレッチが効果的な理由がわかりました。では、実際に効果的なストレッチ方法を武田先生に教えていただきましょう。
◇肩甲骨の基本動作
肩甲骨には6つの基本動作があり、その動きがしっかりできるようにすれば肩こりは軽減されます。ポイントは腕の動きより、肩甲骨の動きを意識することです。1日に6つの基本動作を3回×3セット行うのが理想ですが、無理のない程度から始めれば大丈夫です。即効性があるので、肩がこっていると感じたらすぐやってみましょう。
☆(1)外転(左右)
胸の前で肘を曲げた状態で腕を合わせ、そのまま腕を外側に開きながらてのひらを外側に返す。
※肩甲骨が背骨から離れていく動き
☆(2)内転(左右)
(1)で外側に開いた腕を胸の前に戻しながら、てのひらを内側に戻す。
※肩甲骨が中央(背骨)に寄る動き
☆(3)下制
(1)で腕を外側に開いた姿勢から、肘を下に下げる。
※肩甲骨が下に下がる動き
☆(4)挙上
(3)で下げた肘を上げて、腕を伸ばす。
※肩甲骨が上に上がる動き
☆(5)上方回遊
(4)で上げた腕を、左右に広げる。
※両手で大きく手を振る動きの、上に上がるほうの動き
☆(6)外方回遊
(5)で広げた腕を、外側から左右に下ろす。
※両手で大きく手を振る動きの、下に下がるほうの動き
武田:肩こりになりやすい人は腕を上げた時に、肩甲骨と一緒に肩が正しい位置から上がってしまう傾向にあります。なので、ストレッチをする際に肩が上がらないようにすることがポイントです。肩を上げずに腕を上げられるよう、鏡でチェックしながら練習するといいでしょう。
■ストレッチをする際の注意点と効果的なタイミング
肩こりを解消するストレッチのやり方がわかりました。最後にストレッチをする際の注意点と、効果的なタイミングを武田先生に伺いましょう。
◇ストレッチの注意点
武田:ストレッチは運動の前に行うものというイメージがあると思います。強度の高い運動の前には目的別に十分なストレッチが必要ですが、今回のように肩こりの解消が目的の場合は、ストレッチのための準備運動は必要ありません。強いて言うなら、体を動かしたときにどこか痛くなったり、変な痛みはないかなどのチェックをするくらいで大丈夫です。
◇効果的なタイミング
武田:お風呂あがりのように、身体が温まって体温が上がっているときのほうが、筋肉を動かしやすいので、柔らかくするという意味では効果があります。また、朝の運動は自律神経の活性化を促す効果があるそうです。朝起きてすぐの運動というのはきついかもしれませんが、ストレッチなら簡単にできると思います。
■まとめ
肩こりには肩甲骨が大きな影響を与えていること、肩甲骨のストレッチで解消できることがわかりましたね。いつでもどこでも手軽にできるので、肩こりになったらすぐストレッチをして、健やかで快適な日々を過ごしたいですね。
(監修:武田敏希、文:フォルサ)
※画像はイメージです