お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

【妊娠出産のウソ&ホント】卵子は老化するってホント?

尾西芳子(産婦人科専門医)

将来妊娠したい、したくないに関わらず、妊娠・出産は未知の世界。出産未経験の女性たちが感じている妊娠・出産にまつわる素朴なギモンについて、産婦人科専門医の尾西芳子先生がわかりやすく教えてくれます。ウソかホントかわからない情報に惑わされずに、正しい知識を身につけましょう!

最近、「卵子の老化」という言葉をよく耳にするようになりました。それが不妊や流産などの要因になってしまうとも聞きますが、実際のところはどうなのでしょうか? そもそも卵子の老化とはどういうことなのか。また老化を食い止める方法はあるのでしょうか。今回は、そんな卵子の老化にまつわるウソ&ホントに迫りました!

本日の「ソボクな疑問」

Q.卵子は老化するってホント?

<読者の声>

・卵子が老化したらもう子どもが産めないのか。(23歳/マスコミ・広告/事務系専門職)
・高齢になればなるほど、障害児が生まれやすいと聞くが、卵子の老化が原因なのかどうか。(27歳/医療・福祉/事務系専門職)
・何歳くらいまでなら卵子は元気なのか。(28歳/アパレル・繊維/秘書・アシスタント職)
・卵子の老化を食い止める方法について知りたい。自分が今どれだけ卵子が老化しているのか不安に思っている。(34歳/その他/事務系専門職)

尾西先生のアンサーは!?

答えは……
ホントです!

卵子の老化は、ひとつは「卵子の数」の減少、もうひとつは「卵子の質」の低下と考えられています。老化のスピードは人それぞれですが、平均的には、卵子の数も質も、生まれてからなだらかな右肩下がりで落ちていき、37歳ごろから急激に老化が加速します。そのため、「老化=子どもが産めない」ということではありませんが、37歳くらいを境に妊娠率はぐっと下がりますし、人にもよりますが、42、3歳を超えると自然妊娠はかなり難しくなります。

また「高齢になればなるほど障害児が生まれやすいのは、卵子の老化が原因なのか」という質問がありますが、“障害児”といっても、その程度や原因はさまざまなので、一概には卵子の老化が原因とは言えません。ただ、「ダウン症」や「13トリソミー」、「18トリソミー」といった“染色体異常”が原因の障害に関しては、高齢(出産)になるほど発生しやすいというのは明らかになっています。

染色体には遺伝子情報が詰まっており、成熟する際には正しく半分にわかれないといけません。しかし卵子が老化すればするほど正しく半分にすることができず、結果として染色体異常が増えていってしまうのです。そういう意味では、染色体異常による障害は、卵子の老化も一因としてあると言えるでしょう。

「自分の卵子がどのくらい老化しているのか」という判断についてですが、今よく話題になっている、血液検査でわかる「卵巣年齢」で、卵子の数の目安を知ることはできます。しかしそれでわかるのは、あくまでも“数”であり、かつ自分と同じ年齢の方の平均と比べてどうかという“目安”でしかないことは心得ておきましょう。

“質”まではわかりませんので、調べたからといって、卵子が老化しているとははっきり判断できません。数が多くても質が低下している場合もあれば、逆に数が少なかったとしても絶対に妊娠できないというわけでもありませんので、あまり気にしすぎないほうがいいですね。

「老化を食い止める方法」ですが、残念ながら、方法はありません。ただ、ストレスや喫煙などから発生する「活性酸素」が老化を早めるとは言われていますので、禁煙やストレス解消を心がけましょう。そして生殖医療技術が進歩したとはいえ、高齢妊娠の成功率はまだまだ低いですし、妊娠してからもリスクが高いので、子どもがほしいと思っている人は、早めの計画をすることが大切です。

(取材協力:尾西芳子、文:ヨダヒロコ、撮影:masaco)

※次回の更新は11月12日(土)です。お楽しみに!

※画像はイメージです

※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.07.26)

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください

※この記事は2016年11月05日に公開されたものです

尾西芳子(産婦人科専門医)

高輪台レディースクリニック副院長

日本産科婦人科学会会員
日本女性医学学会会員(専門医)
日本産婦人科乳腺学会会員

神戸大学国際文化学部卒業後、山口大学医学部学士編入学。慈恵医大病院、日本赤十字社医療センター、済生会中津病院の勤務を経て、都内の産婦人科クリニック勤務。2017年7月、高輪台にて開業。

妊娠・出産から、婦人科がんの手術、不妊治療と広く学び「どんな小さな不調でも相談に来てほしい」と女性のすべての悩みに応えることのできる女性のかかりつけ医を目指す。モデルの経験を活かし、美と健康に関する知識も豊富。Webの連載をはじめ、TV、雑誌、講演会で活躍中。

オフィシャルブログ
http://ameblo.jp/yoshiko-onishi/

この著者の記事一覧 

SHARE