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コンドームをつけていても妊娠するってホント?

尾西芳子(産婦人科専門医)

将来妊娠したい、したくないに関わらず、妊娠・出産は未知の世界。出産未経験の女性たちが感じている妊娠・出産にまつわる素朴なギモンについて、産婦人科専門医の尾西芳子先生がわかりやすく教えてくれます。ウソかホントかわからない情報に惑わされずに、正しい知識を身につけましょう!

一般的な避妊方法といえば、真っ先に思い浮かぶのは「コンドーム」ですよね。でも、正しい使い方を知っている人はどのくらいいるのでしょうか。また、コンドームさえつけていれば、絶対に妊娠しないものなのでしょうか。そこで今回は、そんなコンドームにまつわるウソ&ホントに迫りました!

本日の「ソボクな疑問」

Q.コンドームをつけていても妊娠するってホント?

<読者の声>

・精子さえ漏れなければ大丈夫だと思います。(23歳/その他/その他)
・妊娠率は11%ぐらいあると聞いたことがある。(28歳/農林・水産/事務系専門職)
・正しい使い方をしていれば安心だと思い込んでいるが、本当のところはどうなのか不安。(31歳/情報・IT/その他)
・つけ方を誤ったり、精液のついた手でつけたりすると、妊娠すると思っている。(33歳/食品・飲料/事務系専門職)

尾西先生のアンサーは!?

答えは……
ホントです!

アメリカで行われた調査結果(※1)によると、100人の女性が1年間、コンドームで避妊をした場合の失敗率(パール指数)は、「理想的な使い方」で2%、「一般的な使い方」で18%と報告されています。つまり、コンドームを正しく使っていなければ、望まない妊娠をしてしまう可能性がそれだけ高くなるということです。

コンドームをつけていて避妊に失敗する原因は、大きくわけて3つあります。

ひとつは、「つけるタイミング」。

本人が思う射精以前に少し精液が出ている可能性がありますので、射精の直前ではなく、最初に挿入する直前につけるようにしましょう。逆に、もっと早くからつけている人もいますが、時間が経つにつれて隙間ができてしまうため、オススメしません。さらに、読者の声にもありますが、「精液のついた手でつける」のはNGです。

2つめの原因は、コンドームの「破損」。

実はコンドームの薄さは0.02~0.05mmと、ものすごく薄いのです。爪が伸びていたり、ジェルネイルをしていたりすると、気づかないうちにコンドームに傷をつけていることもあるため、取り扱いには注意しましょう。また、よくお財布などに入れている男性もいますが、ゴムは劣化しやすくコインなどとの摩擦で破けやすくなっていることもあり、こちらも注意が必要です。できれば、箱に記載されている「使用期限」もチェックしておいたほうがいいでしょう。

3つめの原因は、「精液の漏れ」。

射精後しばらく経つと、コンドームから精液が漏れやすくなってしまうので、射精後はすみやかに外してください。「精子さえ漏れなければ大丈夫」というコメントがありますが、精子の大きさは50~60マイクロメートル(1マイクロメートル=1,000分の1ミリ)と、肉眼では見えません。たとえコンドームがぴったりフィットしていたとしても、知らず知らずに漏れている可能性は十分にあります。

上記のような失敗の原因をすべてクリアしたのが、前述した「理想的な使い方」です。またコンドームは、避妊だけではなく「性感染症予防」という観点では非常に優秀なアイテムですので、ピルなどほかの避妊法を行っていたとしても、併用したいものですね。

万が一、破損や漏れなどで望まない妊娠をした可能性がある場合は、婦人科で「緊急避妊ピル」(性交後72時間以内に飲むことで着床を妨げるホルモン剤)を処方してもらうことができます。ただし100%ではありませんので、最後の手段として覚えておくといいでしょう。

(※1)James Trussell,phDContraception,2011 May;83(5):397-404

(取材協力:尾西芳子、文:ヨダヒロコ、撮影:masaco)

※次回の更新は8月13日(土)です。お楽しみに!

※画像はイメージです

※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.07.19)

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください

※この記事は2016年08月06日に公開されたものです

尾西芳子(産婦人科専門医)

高輪台レディースクリニック副院長

日本産科婦人科学会会員
日本女性医学学会会員(専門医)
日本産婦人科乳腺学会会員

神戸大学国際文化学部卒業後、山口大学医学部学士編入学。慈恵医大病院、日本赤十字社医療センター、済生会中津病院の勤務を経て、都内の産婦人科クリニック勤務。2017年7月、高輪台にて開業。

妊娠・出産から、婦人科がんの手術、不妊治療と広く学び「どんな小さな不調でも相談に来てほしい」と女性のすべての悩みに応えることのできる女性のかかりつけ医を目指す。モデルの経験を活かし、美と健康に関する知識も豊富。Webの連載をはじめ、TV、雑誌、講演会で活躍中。

オフィシャルブログ
http://ameblo.jp/yoshiko-onishi/

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