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自分の「怒りのクセ」知ってる? 夫へのイライラを減らす方法とは?

安藤俊介

アンガーマネジメント

永遠の愛を誓ってからはや●年。「毎日バラ色の結婚生活を」……ではなく、ケンカ、ケンカの毎日を過ごしている夫婦は少なくないのでは? 怒りたくないのに、夫や妻のあらゆる行動にイライラしてしまう。

でもそのケンカ、実はあなたの「怒りのクセ」が関係しているのをご存知ですか? イライラするのは相手のせいだ! といつまでも相手のせいにしているだけでは、ケンカの数は減らせません!

そこで今回は、ケンカが多い夫婦向けに、アンガー(イライラ、怒りの感情)をマネジメント(上手に付き合う)して、円満な家庭をつくるポイントを紹介します。

「アンガーマネジメント」ってなに?

そもそも「アンガーマネジメント」とはなんなのでしょうか? 日本アンガーマネジメント協会の代表理事を務める安藤俊介さんにお話を伺いました。

安藤さん:
「アンガーマネジメント」は、1970年代にアメリカで開発された、怒りの感情と上手に付き合う(マネジメントする)ための心理トレーニングです。元々は、罪を犯してしまった人のための矯正プログラムとしての活用がメインでしたが、時代の流れとともに一般化され、今では世界中で企業研修、学校教育、アスリートのメンタルトレーニング等に応用されています。

怒らなくなったり、イライラしなくなるための方法と誤解を受けがちですが、「怒らなければいけないことは上手に怒り、怒る必要のないことは怒らなくてすむようになる」ことを目指したプログラムになります。

怒りの感情が生じる理由や、怒りの感情の性質を体系的に学び、怒りの感情をコントロールするためのテクニックを日々反復することで、怒りの感情のコントロールを実現して、心身ともに充実した生活を営むことを目的としています。

アンガーマネジメント実践! こんなときどうする?

それでは実際に、夫婦間でよく起こるケンカの事例をもとに、怒りをどのように対処すべきか見ていきましょう。

●ケース1 夫が家事育児を手伝ってくれない

夫が家事育児を手伝ってくれない

安藤さん:
「家事が重なって手が回らないから、悪いんだけど●●を手伝ってくれない?」と、お願いしたいことを具体的に伝えてください。

怒りは、自身が考える「こうあるべき」という考えがかなわなかった時に発生します。ただし、自分が抱く「べき」が、全て現実のものとなることはないので、自分の許容範囲を広げるか、他者の行動が自分の考える「べき」に当てはまる様、促す必要があります。従って、妻が「夫は率先して家事育児を手伝うべき」と考えていたとしても、夫が同じ様に考え、行動してくれないと怒りが生じます。

上記のケースでは、妻と夫の「べき」が一致していないことを認めた上で対応する必要があります。お願いをする際、語気を強めたり、相手を言い負かして思い通りに動かそうとせず、ストレートに、かつソフトに要求を伝えるようにしましょう。そうすることで、相手もこちらに気を遣ってくれるようになります。

ケース2 妻が大変なことを夫が労わってくれない

妻が大変なことを夫が労わってくれない

安藤さん:
「最近、●●な理由で、△△がとても大変なの。あなたが忙しい事も知っているけど、手が空いている時には★★をしてほしいな。」といった感じで伝えてください。

自分が大変な時に夫が何も労わってくれないと、つい小言を言いたくなるものですが、こらえてください。端的に状況や要求を伝える事が、人を動かしたり、現状の共有を図る際に効果的です。

まずは具体的にどのような行為がなされたら「相手に労わってもらった」事になるのか、自身の中で明確化した上で相手に伝えてください。自分と夫の「労わり」が一致していない可能性があるので、認識を共通化させた上で、行動を促すことが重要です。

ケース3 喫煙、禁酒する妻をよこに、夫は平気で喫煙、飲酒をする

喫煙、禁酒する妻をよこに、夫は平気で喫煙、飲酒をする

安藤さん:
まずは、妻自身の中で「夫がどのような行動をとれば納得するのか」を、具体的に整理してください。すぐに夫に全ての行動の改善を促すことは現実的ではないですし、いきなり妻の考えを押し付けた場合、夫も反発して、互いのイライラが増幅するだけの結果に終わるかもしれません。

「たばこは一日3本まで」「お酒は一日缶ビール1本まで」「夫のお小遣いは毎月●円」など、夫婦双方が納得できる、各行動の具体的なルールを設定してください。具体的な行動の認識をすり合わせる事で後の「そご」がなくなると共に、問題点や責任の所在が明確化され、さらに解決策がクリアになります。

妻がアンガーマネジメントを習得した際のメリット3

●夫婦間で「互いが許せるポイント、許せないポイント」が明確化されケンカが減少

安藤さん:
世の妻達には「夫の家事や子育てへの参加を促したい」「妻を労わってほしい」「夫の行動を変化させたい」など、様々な要望があるかと思います。ただ、これらを具体的な行動に落とし込むこと、そしてその結果「どんなことが起こるのか」まで、イメージできていない人が多いです。

夫婦間のイライラやケンカは、互いの価値観の相違や、「すべき行動」の認識の違いに基づく場合がほとんどですが、妻がアンガーマネジメントを駆使すれば、「自分が本当は何を望んでいるのか」「夫のどのような行動がなされれば満足するのか」が整理され、結果、感情的に夫を否定することがなくなり、些細なことでのケンカや、夫への日常的なイライラが減少されます。

●(妻)「伝えたい要求を我慢する」ことが減り、イライラが減少

安藤さん:
自身の考えや価値観を明確に伝えることで、「伝えたい要求を我慢する」ことが減り、イライラが減少すると思われます。結果、家事や育児をスムーズにこなせるようになるだけでなく、夫とのケンカが減少する事でしょう。

●(夫)妻の要求が理解でき、妻を怒らせないよう行動が変化

安藤さん:
「妻が本当は自分にどのような行動をとってほしいのか」が明確化されるため、妻の逆鱗に触れる行動が減ると思われます。また、妻の苦労や要望をくみ取り、率先して家事育児を手伝ってくれるようになるかもしれません。

まとめ

いかがでしたか? アンガーマネジメントは、怒りを我慢するのではなく、怒りを健全に解消する方法だということがお分かりいただけたでしょうか? 夫婦と言えど、考えることや価値観は違って当たりまえ。自分の思い通りにしようと怒りに任せるのではなく、相手ときちんと向き合うことで解決する―。それが夫婦に求められる理想の姿ではないでしょうか? パートナーにイライラしてケンカが耐えないご夫婦は、ぜひアンガーマネジメントを実践してみてはいかがでしょうか?

(取材・文/マイナビウーマン編集部:梅津千晶)

★★アンガーマネジメントについて詳しく知りたい方はこちらもチェック★★

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安藤さんによると、人の怒りの傾向は6種類のタイプに大別でき、そのタイプごとに、取り入れるべきアンガーマネジメントのテクニックやアプローチが異なるようです。適切なアンガーマネジメントを行うためにも、まずは自分の「怒りのタイプ」をチェックしてみて下さい。

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※この記事は2016年07月23日に公開されたものです

安藤俊介

一般社団法人日本アンガーマネジメント協会 代表理事
怒りの感情コントロール専門家。怒りの感情と上手に付き合う(マネジメントする)ための心理トレーニング「アンガーマネジメント」の日本の第一人者。ニューヨークで働いていた際、イライラ、怒りに振り回される自分に苦しんでいたところ、「アンガーマネジメント」に出会う。怒りを理解し、うまくマネジメントする手法を実践するうちに、自分自身が生まれ変わったことを実感する。世界で15人しかいない最高ランクのトレーニングプロフェッショナルにアメリカ人以外では唯一登録されている。

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