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生理ってどれくらい痛いと異常? 将来の妊娠に関係するキケン信号は

◆生理でない時期に残留物のような黒い血の出血が!

<質問3>
「生理でないときにも、残留物のような黒い血の出血がある」(33歳、事務系専門職)

排卵期の出血は生理的なもので異常はありません。また、排卵したあとの黄体期(=高温期)に起きる出血なら、黄体ホルモンの分泌が少し不安定なのかもしれませんが、その周期に妊娠を希望しているのでなければ様子を見ていて問題ありません。きちんと定期検診を受けて異常が見られないのなら、カラダの自然な生理現象と思ってもらって、しばらく様子を見るのでかまいません。このときも基礎体温を測定しておくと役に立ちます。気になるなら、ピルでホルモンの周期的な分泌を止めてしまう治療をしてもいいでしょう。

◆ピルにはちょっと抵抗が。ピルを飲み続けても将来の妊娠に影響ないかが心配

<質問4>
「いまピルを服用しているが、長く飲み続けるのはよくない?」(27歳、事務系専門職)
「友人が生理痛緩和のためにピルを飲みはじめて生理痛も経血量も大幅に軽減したと言っていたので興味があるけど、将来の妊娠に影響はないのか」(25歳、内勤)

ピルによる影響はまったくありません。

◆どのくらい痛いと病的なの?

<質問5>
「そもそも、どれくらい痛いと病的と言える? 痛みの程度が問題ない範囲を知りたい」(30歳、内勤)
「どれくらいの生理不順レベルで病院に行くべきか」(29歳、学校・教育関連内勤)

鎮痛剤が効かないくらいの生理痛があって、それが毎月コンスタントにくる場合は、医療機関を受診してください。カラダに異常がないか調べたほうがいいでしょう。

鎮痛剤が効かないくらいの生理痛があっても、それが月によってあったりなかったりする場合は、病気が原因ではないと考えられます。そのときの体調だったり、ホルモンの状態だったりが関係する「機能性の月経困難症」と呼ばれる症状でしょう。

◆出産したら生理痛が軽くなるって本当?

<質問6>
「出産したら生理痛が軽くなると婦人科で言われたが、本当?」(27歳、秘書・アシスタント職)

そういうケースも多いですね。理由としては次の2点が考えられます。

・出産することによって子宮口が広がった。出血時に出口が小さくてなかなか血が出なくて、子宮をギューギュー押す収縮がなくなり痛くなくなる。つまり、血が出やすくなったから痛みが減った

・生理痛を引き起こす原因が子宮内膜症だった場合、生理は軽くなるでしょう。特に、超音波検査などで映らないくらい症状の軽い内膜症だと、妊娠で生理が止まって、内膜症のホルモン治療をしたのと同じ状態になります。生理痛の原因となる病気そのものが改善されるのです

◆生理でどんな症状があれば不妊を疑うべき?

<質問7>
「不妊症のサイン……どんな症状があれば不妊症を疑ったほうがいいですか?」(38歳、その他内勤)
「妊娠できる体なのか心配。子供を望んでいるので怖い」(28歳、医療・福祉内勤)

不妊症というのは実際に妊娠をトライしてみないと、そうなのかはわかりません。不妊症の定義は一定期間避妊をしない性交渉で妊娠しない状態のこと。たとえトライした期間が短かったとしても、不妊症の可能性はあります。

とはいえ将来の不妊症が気になるという方のために、以下4つのチェックポイントを挙げておきます。

(ポイント1) 生理痛があって、毎回、生理痛が強いかどうか
(ポイント2) 毎回、過多月経があるかどうか
(ポイント3) 盲腸などお腹の手術をしたことがあるか
(ポイント4) クラミジアという性感染症にかかったことがあるか

―お腹の手術が不妊に影響するというのは?

お腹の手術をすると、組織どうしが炎症を起こして癒着が起きます。これが卵子の輸送などにかかわる卵管で起きると妊娠への影響が出ます。卵管は、排卵された卵子をキャッチしたり、卵子を子宮に送るなど妊娠にとても重要な役割を担っています。しかし、卵管が腸や子宮といったほかの臓器と癒着したり、癒着によって動きが鈍くなったりすると、卵子も精子も卵管で出逢えなくなり、ひいては妊娠しづらくなります。

―おもいのほか癒着の影響が大きいですね……

そうですね。幼いころ経験した腹膜炎、盲腸の手術、内膜症による炎症、クラミジアによる炎症など、癒着を起こす原因はさまざま。内臓を覆う腹膜という膜と膜がくっつくこともあれば、腸と腹膜の癒着ということもあります。

妊娠というのであれば、卵管としての機能に障害をもたらす癒着があるかどうか、ということが大きく影響しますね。

―性病の中でもクラミジアによる炎症を挙げた理由は?

性感染症の中でいちばん不妊に結びつきやすいのが、クラミジアだからです。

ほかにも淋病だったり、不妊の原因となる性病はありますが、ほかのはすごく激しい腹痛を起こしますので、かかったときに気づくことが多いんです。

でもクラミジアは症状が出ないことが多いため、気づかず長い期間放置する方が後を絶ちません。クラミジアによる不妊の可能性は、いつでも念頭においておいたほうがいいです。

予防には、コンドームによる避妊や、不特定多数との性交渉を避けることなどがあります。また、婦人科健診では検査項目に入っていますので、検診は必ず定期的に受けましょう。

◆生理痛がなければ病院にいかなくてもいい?

<質問8>
「生理痛がない。わざわざ病院とか検診受けなきゃダメ?」(35歳、IT系内勤)

なにに関してもそうですが、0%も100%もありません。ですから、生理痛がなければ大丈夫だとか、生理痛があれば病気だとか、断定的にものを言うわけにはいきませんよね?

生理痛がない方は婦人科の病気の心配がまったくないかといえば、決してそんなことありません。何の症状もないのに、子宮筋腫があったり、卵巣のう腫があったり、ということはありえます。

ですので、定期的な検診を受けることは絶対に必要です。

※マイナビウーマン調べ。2014年4月有効回答数205件

(取材協力:片桐由起子、文:小池直穂、イラスト:macco)

※画像はイメージです

※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.07.05)

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください

産婦人科医 片桐由起子(かたぎりゆきこ)先生

 

 

 

1992(平成 4 )年 3月 東邦大学医学部医学科卒業
1992(平成 4 )年 4月 東邦大学大学院医学研究科入学
1996(平成 8 )年 3月 東邦大学大学院医学研究科修了
1996(平成 8 )年 4月 東京都立荏原病院(現:財団法人東京都保健医療公社荏原病院)勤務
1998(平成10)年 7月 東邦大学医学部産科婦人科学講座研究生
1999(平成11)年 3月  東邦大学医学部産科婦人科学講座助手
2001(平成13)年 7月  Center for Reproductive Medicine and Infertility Weil Medical College, Cornell University 留学
2005(平成17)年 4月  東邦大学医学部産科婦人科学講座助手復職
2007(平成19)年 7月  東邦大学医学部医学科産科婦人科学講座講師
2010(平成22)年 7月 東邦大学医学部医学科産科婦人科学講座准教授
2010(平成22)年12月 東邦大学医療センター大森病院リプロダクションセンター副センター長
2010(平成22)年12月 東邦大学医療センター大森病院臨床遺伝診療室室長 兼任
現在に至る

日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医
日本生殖医学会 生殖医療専門医
日本人類遺伝学会、日本遺伝カウンセリング学会 臨床遺伝専門医
日本周産期新生児医学会周産期(母体胎児)専門医
日本内分泌学会 専門医

※この記事は2014年09月06日に公開されたものです

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