【新連載】元彼と友人の結婚式。懐かしいあのころの思い出が蘇ってきて……
わたしはここで大きく深呼吸した。
「だけどわたしは大学時代に響子と出会って、
あなたを、何度も傷つけました。
そのことを今再び、心からお詫びをします。
響子、ごめんね」
手を伸ばせば触れられそうな場所で、
新婦の響子は微笑みながら、
静かに何度も縦に首をふった。
その度に、ウエディングドレスのたてる、
かすかな衣擦れが聞こえてきて、
また涙が出そうになったけれど、こらえた。
「これからはわたしも響子を見習い、
心の豊かで広い女性を目指します」
スピーチにはたくさんの拍手をいただいた。
そしてちらっと高砂席を見ると、
涙ぐんでいる響子の横顔が見えた。
わたしもホッとして自分の席に帰る途中、
聞こえてきた言葉が耳に突き刺さる。
「友だちヅラしてずうずうしい。
よく平気で来られたよね」