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雑学 生活

LED農場って、どんな農場?「畑での栽培と比べて、使用する水は100分の1程度で済む」

LED農場のイメージ

今年7月、宮城県に世界最大規模の植物工場が完成した。太陽の代わりにLED照明を使うことから「LED農場」などとも呼ばれ、一日約1万株のレタスが生産される予定だ。

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「工場」の言葉のひびきから、「おいしいの?」と疑問に感じるひとも多いだろうが、光の波長や温度まで野菜に合わせて調整できるので、ビタミンが10倍以上に増えるというデータもある。台風や雪などの影響も受けず病気の心配もないので、安定した価格でおいしい野菜が食べられるようになるのだ。

■LEDは「おいしい」光

設備によって差はあるものの、植物工場の特徴は、土を使わない水耕(すいこう)栽培と、太陽代わりのLED照明だ。

球根の水栽培でご存じのように、土がなくても植物は育つ。ただし支えがないと育てようがないので、鉱石を綿状にしたロックウールや、レンガを砕いたような発泡煉(れん)石が用いられるのが一般的だ。どちらも植物に必要な養分はまったく含まれず、肥料を溶かした水を与えて育てる。

土に植えた場合は、水が必要以上に深くしみこんでしまうか、プランターから流れ出るのが当たり前だが、水耕栽培は必要最低限に抑えられるのがメリットで、使用する水が100分の1に抑えられるという。養液をポンプで循環させたり、霧状にして根に吹きかけるなど、自然界には存在しない方法で育てられるのだ。

LED照明が「省エネ」なのは説明不要だろうが、収穫量やおいしさにも貢献しているのはあまり知られていないだろう。

植物の生育に必要な光はおもに「赤」と「青」で、太陽光や蛍光灯には緑も含まれているため白く見える。また、ひと言で「赤」と言っても、黄色がかった朱色や紫に近い赤もあるのは波長の違いで、音の高低のように波の数によって色合いが変わる。

・赤 … 620~750nm(ナノメートル)

・青 … 450~495nm(ナノメートル)

が一般的だが、多くの植物にとって、赤なら660nm近辺が「おいしい」光だ。蛍光灯は消費電力が多いだけでなく、赤だけを強めることができないので、必要以上に明るくせざるをえない。対してLEDは波長を選べるので、成長に役立たないエネルギーを使わずに済む。

宮城県の植物工場では、蛍光灯に比べて消費電力を40%減らしながらも、収穫量は50%もアップしているのだ。

■「工場育ち」は栄養豊富

植物工場の野菜はおいしいのか? 答えはYesで、畑で育てるよりもビタミン豊富な野菜が作れるのだ。

これもポイントは光で、育てる野菜の好みに合わせ、赤と青の比率や光を当てる時間を調整すると、太陽光よりもビタミン豊富になったというデータがある。なかでもおもしろいのはパルス照射で、ストロボのように高速でOn/Offさせた光のほうが、成長率が33%も良くなるという実験結果も出た。

Offの時間は電気も消費しないので、生産原価も下がり一挙両得でもある。

注意すべきは、完全な「無機野菜」であることだ。農林水産省の「有機農産物の日本農林規格」によると、

・種まきの2年以上前から、肥料および土壌(どじょう)改良資材を使用していない

・たい肥など(=自然由来の肥料)で土作りがされている

が「有機野菜」と定義され、これがクリアされないと通称・有機JASマークが表示できない。対して水耕栽培の場合、化学的に作られた肥料を水に溶かして与えるのが一般的なので、言うなれば完全無機野菜になる。いずれは有機・植物工場ができるのかもしれないが、現時点では有機と対極的な存在であることを理解したうえで購入しよう。

■まとめ

・植物工場の特徴は、LED照明と、土を使わない水耕栽培

・畑での栽培と比べて、使用する水は100分の1程度で済む

・野菜の好みにあった光を当てると、ビタミンが増える

日本では、トマトは冬を越せずに枯れてしまうので「草」に分類されるが、温度管理された植物工場なら何年も「樹」として育てることも可能だ。

樹木になると果実、草についた実は野菜と呼ばれるので、トマトが果物に変わる日が来るのか、楽しみだ。

(関口 寿/ガリレオワークス)

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