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鉄道のプロに聞く!「この景色は最高!」というローカル線はどこ?―1位「わたらせ渓谷鐵道」

まもなく夏本番。電車の車窓から新緑の景色を楽しむのに最高の季節です。ここ数年、鉄道関連の話題をテレビ番組でもひんぱんに放送しているので、興味を持っている人も多いでしょう。しかし、どこの地域のどの路線が「より景色を楽しめる場所」なのかは、あまり知らない人も多いと思います。

そこで今回は、鉄道ライターの杉山淳一さんに、景色を楽しむのにぴったりのローカル路線はどこか聞いてみました。

鉄道のプロがお薦めする景色のいいローカル線たち!

杉山さんお薦めの「何度行っても良いと思う景色」のローカル路線を、ランキングで紹介します。

●第1位 「わたらせ渓谷鐵道」(群馬県)

わたらせ渓谷鐵道は、群馬県・栃木県を走る路線です。路線の無人駅には、公募のボランティア駅長「ふるさと駅長」がいるそうです。

【杉山さんのコメント】
先日、天皇皇后両陛下もトロッコ列車にご乗車なさいました。秋の紅葉が素晴らしいです。広葉樹の赤、黄色、だいだい色。針葉樹の緑。青空。渡良瀬川の清水と白い花こう岩が、五段染めとも七段染めとも呼ばれています。

●第2位 「根室本線 音別-大楽毛」(北海道)

根室本線は北海道滝川市から根室市までを結ぶ路線。日本最東端にあるJRの幹線路線なのです。音別-大楽毛は釧路市内にあります。

【杉山さんのコメント】
太平洋沿いです。ぜひ日の出が見られる時期に始発列車に乗ってください。私が乗ったときは、太陽の前に金星が昇りました。灯籠に針を刺したときに漏れる、鋭い光で、あれが「明けの明星」か……と感動しました。
車窓からの日の出は眠気を吹き飛ばし、なんだかチカラが湧いてきます。

●第3位 「大井川鐵道井川線」(静岡県)

静岡県静岡市と根本町を結ぶ路線。大井川の流れに沿って走り、鉄道ファンの人気も高い鉄道です。

【杉山さんのコメント】
SL列車が有名ですが、SLの終着駅の千頭から先、井川までのトロッコ列車が良いです。巨大なダムの壁をかすめ、ダム湖のど真ん中の駅があり、熊が出そうな山の中にも駅があり……。

●第4位 「肥薩線」(熊本県・鹿児島県)

熊本県八代市の八代駅から鹿児島県霧島市の隼人駅を結ぶ九州の鉄道路線。「九千坊号」という人気のディーゼル車両もあるそうです。

【杉山さんのコメント】
球磨川に沿って走ります。川幅の広いゆったりした河口付近から、山間の谷までの変化が楽しいです。初夏の新緑、真夏の深緑の時期がいいですね。

●第5位 「長野電鉄」(長野県)

長野県の北部を走る鉄道路線。地元のデパートとの提携サービスなども行っているそうです。

【杉山さんのコメント】
元小田急電鉄のロマンスカーが走ります。特急料金は100円、全席自由席ですから、並んで先頭の展望車に乗りましょう。街を抜け、田園風景の後に高社山が姿を現します。

●第6位 「奥羽本線~五能線」(秋田県・青森県)

奥羽本線は福島から青森を結ぶ長距離鉄道路線。五能線はその奥羽本線から分岐している地方交通線の一つです。

【杉山さんのコメント】
鉄道ファンには定番の路線です。秋田から「リゾートしらかみ」に乗りましょう。夏なら、八郎潟付近で遠くに見えるピンク色のじゅうたんはジュンサイの花。五能線からは日本海の景色が広がります。真冬は列車が荒波をかぶって走るという、スリリングな体験ができるそうです。

でも、今はすぐに運休してしまいます。安全のためとはいえ残念です。

●第7位 「篠ノ井線」(長野県)

篠ノ井線(しののいせん)は、長野県長野市から塩尻市までを結ぶ路線です。

【杉山さんのコメント】
姨捨駅からの風景は「日本三大車窓」の一つといわれています。長野平を一望する風景。ホームには景色を見るためのベンチもあります。夏は夜景を見るための臨時列車も走ります。

●第8位 「大村線」(長崎県)

長崎県の佐世保市から諫早市を結ぶ鉄道路線。ハウステンボスに乗り入れる特急「ハウステンボス」も走る路線です。

【杉山さんのコメント】
線路が大村湾の岸を走ります。窓の下は海。船に乗っているみたいです。対岸にハウステンボスも見えます。ヨーロッパの列車の気分。

●第9位 「呉線」(広島県)

広島県三原市の三原駅と広島県安芸郡海田町の海田市駅を結びます。区間内の三原駅から広駅間には、「瀬戸内さざなみ線」という愛称が公募により付けられています。

【杉山さんのコメント】
線路が高い所にあり、瀬戸内の島々を望みます。歴史のある路線のため、トンネルが少ないところも良し。新しい路線はすぐトンネルに入っちゃうんです。古い路線の方が景色が良い傾向にあります。

●第10位 鶴見線(神奈川県)

主に横浜市、川崎市内を走る鉄道路線です。大都市中心部も走っているので、普段使っている人も多いでしょう。

【杉山さんのコメント】
平日は出勤する人がたくさん乗るので、ローカル線とはいえませんが、週末はガラガラのローカル線。日中の海芝浦行きは1時間に1本。海芝浦駅は東芝の工場敷地内にあり、社員証がないと改札から出られません。
でも、湾岸地帯の景色を楽しみにして鶴見線に乗ってくる人が多いので、なんと、東芝さんが海芝浦駅に小さな公園を作ってくれました。対岸の鶴見つばさ橋を眺めるベンチもあります。茂みでプライベート感もあり、カップルの語らいにオススメ。

うらやましいったらありゃしない。

景色のいいローカル線のベスト10のランキングはこのようになりました。ちなみに、番外編として……、

●『吾妻線』(群馬県)※9月まで

【杉山さんのコメント】
吾妻川沿いの渓流に沿って走ります。いわゆる「仕分け」の対象となった八ッ場ダム付近を通ります。八ッ場ダムは計画が続行され、その影響でダムにかかる部分の線路が水没予定。10月1日から途中の一部区間が新ルートになります。

最も景色の良い部分がなくなっちゃうので、9月までに見ておきたいです。消えちゃう区間の途中に、日本一短いトンネルもあります。

という、まもなく見られなくなってしまう景色も挙げてもらいました。これは絶対に見ておきたいですよね!

また、景色の良さそうなローカル線の見つけ方として、

・地図を見て、海沿い、川沿いは良い感じ
・なるべくくねくねしている路線が良い
・くねくねしている路線は古い路線に多い

とのことでした。

この夏は、こうした「景色を楽しむことができるローカル線」に乗りに、遠出してみてはいかがですか?

(貫井康徳@dcp)

※この記事は2014年07月11日に公開されたものです

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