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【スペシャル対談】ふたりらしさを引き出すことで感動を生む、司会の極意とは

婚礼司会20年。挙式プロデュースを含め、これまで担当した3500組以上の中には著名人カップルも数多く、業界では知る人ぞ知る長谷川高士さん。このほど上梓した『人生のステージが変わる、私にも出来るリアルエピソード 心にしみたセレブウエディング』発売:主婦の友社 / 発行:主婦の友インフォス情報社(5月28日発売)では、話題のセレブ婚の裏側のおもてなし精神に満ちた感動エピソードが紹介されています。型にハマったお仕着せの進行ではなく「オリジナルのパーティを完成させるのに欠かせないキーマン」と評判の長谷川さんに、ふたりらしさを散りばめた温かみのある披露宴を生む極意を、あつみ編集長がインタビューしました。

突然の依頼ではじめた結婚式の司会がやがて天職に

あつみ そもそも長谷川さんが結婚式の司会者になったのはどんなきっかけだったのでしょうか?

長谷川 大学を卒業後は家業の3代目として跡を継いだものの、バブル崩壊のあおりを受け事業縮小に追い込まれて?。まだ20代前半なのに連帯保証人になって抱えた負債は20億。もうね、人生どん底ですよ(笑)。この先どうやって生きていこうかと途方に暮れていたときに、たまたま大学時代のアナウンス業の先輩に結婚式の司会のピンチヒッターを頼まれたんです。

あつみ プロの司会者の代打ですか! 経験がないだけに打ち合わせなど、大変だったのではないでしょうか?

長谷川 レストランでのウエディングだったのですが、ふだん結婚式を行なう会場ではなかったため、式の内容はもちろん、会場の装飾や演出などすべて一からつくり上げていかなければなりませんでした。打ち合わせでは、新郎新婦が「あんなことできないかな?」と、何気なくこぼした言葉を全部拾って、それを叶えるにはどうすればいいかをみんなでアイディアを出し合って考える。それが本当に楽しくて!

あつみ 打ち合わせから白熱している様子が目に浮かびます。きっと披露宴当日も盛り上がったことでしょうね。

長谷川 ?心?を感じた一日でした。確かに、ホテルや式場に比べれば控室があるわけでもなく、不十分な点は多い。けれど、新郎新婦のゲストをもてなしたいという心。そのふたりを全力で支えるスタッフの心。そして、そこに集ったゲストのふたりを祝福したいという心。いろんな心がひとつになって最高の笑顔を生んだ、素晴らしい一日でした。それからは、「また一件お願いします」「来週も?」と次々仕事の依頼がくるようになって、気づけば専属契約の話しまでもらうようになっていました。

場の空気を読み、よりよい雰囲気を引き出すのがプロの役目

あつみ 業界的にこの20年はそれまで老舗ホテルや会館、専門式場が主流だったものから、料理を重視してレストランで披露宴を行なうなど、オリジナル性を求めるカップルが増え、さらにゲストハウスという新たな業態も生まれました。その潮流に、長谷川さんの司会者としての素質がぴたりと一致したのでしょう。とはいえ、20年間第一線で活躍し続けることは並大抵のことではないはず。ご自身が常に心がけていることなどを教えてください。

長谷川 ?盛り上げる?というより、?引き出す?ことを大切にしています。例えば、ゲストの中に結婚したばかりや赤ちゃんが生まれた方はいないか、いちばん遠くから足を運んだゲストは誰か?などの情報を事前に収集。そうしたネタを、場面場面でさりげなく紹介するんです。そうすると、一気にそのテーブルが盛り上がり、新郎新婦も笑顔になって和やかな写真が撮れる。進行を把握しながら、新郎新婦やゲストの表情を見て、その場の空気をよりよくするにはどうすべきかを判断することがプロの役割だと思っています。

あつみ そうしたきめ細やかな気遣いが新郎新婦だけではなく、ゲストの満足度を高めているのですね。

長谷川 僕自身、ウエディングの仕事に心から感謝しているんです。20年前のあの時、人生の底辺にいた僕に笑顔を与えてくれたのが、この仕事でした。「今週はウエディングの仕事がある」と思うと前向きになれたし、幸せな新郎新婦と接していると自分が浄化されていくのが分かるんです。よく、打ち合わせで新郎新婦に「結婚式はこれまでの人生を振り返り、それぞれがターンオーバーできる人生最高の場面なんですよ」と話すことがあるのですが、実は、僕自身に言い聞かせている言葉でもあります(笑) いつも感謝し、楽しみながら現場に向かう。それはこの20年間まったく変わりません。

あつみ 心がこもっているからこそ、感動が生まれる。お話しを伺ってそれがよく分かりました。そんな長谷川さんのご著書「心にしみたセレブウエディング」には、披露宴での具体的なエピソードが盛りだくさん。連載コラムでは、長谷川さんが担当されたセレブ婚を参考に、真のラグジュアリーを叶えるコツをご紹介したいと思います。ぜひ、お楽しみに。

※この記事は2014年06月02日に公開されたものです

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