お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

放送作家が惜しいと思った打ち切り番組たち『マツコの日本ボカシ話』『飛び出せ!科学くん』

フジテレビのお昼の番組『バイキング』が早くも虫の息だ。あれだけ「つまらない」「早く終わらせろ」という声が多かった『笑っていいとも!』だが、今では「いいともの方が良かった」という声もあるほどだ。ある出演者もラジオ番組で「1クールだな」とつぶやくなど、このままでは打ち切りは避けられないかもしれない。

【「OLとドラマ」、セットの時代はもう終わった!? 20代女子が好きなテレビ番組は?】

『バイキング』はそうならないだろうが、打ち切りになった番組の中には、放送作家など、裏方の人間が「あれは終わらせるのはもったいなかった」と思うものも存在する。

あまりにも赤裸々すぎて「待った!」

中堅放送作家に話を聞いたところ、一時期「あれはもったいない」と話題になった番組があったそうだ。それが昨年10月にTBS系列で放送された『マツコの日本ボカシ話』。マツコ・デラックスが司会を務めるトーク番組で、さまざまな業界の人間が顔出しNGで登場し、業界の内部事情などを話すという、いわゆる「暴露モノ」の番組だった。

初回となった10月23日の放送では、生命保険の営業をしている女性と、かつて生命保険の営業をしていた女性の二人が登場。「枕営業」や「上司との肉体関係」「ノルマ」といった業界の裏話が赤裸々に語られた。

放送後、ネット上では大きな話題となり、視聴率も13.7%と上々。第2回(銀行員が登場する予定だった)ではさらに視聴率が上がると期待されたのだが、第2回放送予定日の29日、TBSは「全編ボカシの内容が局の内規に抵触する恐れがある」とのことで、放送を休止すると発表した。

その後、放送は再開されることなく打ち切りとなった。

打ち切りとなったのは、どうやら「営業部」から待ったが掛かったことが一番大きな要因だったようだ。さまざまな業界の赤裸々な裏話を放送することで、マイナスイメージを嫌う既存のスポンサーが降りる、そして新たなスポンサー獲得ができない、ということを懸念したのだという。

ただ放送作家の中には「切り口は面白いし、表現やテーマのポイントを変えれば何とかなったはず」と打ち切りは早計だったと思う人間も多い。

他にも業界暴露系の深夜番組はあるが、暴露されている内容は芸能人の過去話であったり、過去の事件の裏話など、スポンサーには影響の薄いものが中心。『マツコの日本ボカシ話』は切り掛かってはいけない相手に挑んでしまったようだ。

深夜の人気番組もゴールデンでは生き残れず

単純に低視聴率が原因で終わってしまった番組の中にも、放送作家たちが「面白かったのに」「もったいない」と思ったものも多くある。フジテレビ系列で2012年の10月-12月に放送された『世界は言葉でできている』もその一つだ。

同番組は、「偉人の名言の一部分を変えて元の名言よりも素晴らしいものにできるか」がテーマ。有名コピーライターや作家、芸人などが登場し、それぞれどれだけ素晴らしい名言を生み出せるか競うものだった。

2011年のパイロット版で早くも注目され、同年10月に深夜番組としてレギュラー放送が開始。斬新で個性的な内容、ということでサブカル好きな視聴者に人気となった。「言葉を扱う職業」の受けもよく、放送作家にも「面白い」との声が多く挙がった。

しかし、2012年の10月にゴールデンでの放送になってから状況が一変。水曜の20時台にもかかわらず視聴率は5%前後と低迷し、5回の放送で打ち切りとなってしまった。

元から深夜放送を意識したコアでマニアックな内容だっただけに、ゴールデンでは地味さが拭えず。テコ入れをしようにも、テーマがテーマなので急激な方向転換もできず、終了となった。

ゴールデン進出に失敗した番組をまた深夜番組で放送、というのはまず成功しない。2013年の10月には深夜帯で特番が放送されたが、かつての勢いはそこにはなかった……。深夜で人気が出たからと、安易にゴールデンに持っていくのはやはり危険なようだ。

他にも、『クイズ☆タレント名鑑』や『飛び出せ!科学くん』など、関係者に惜しいと思われながらも終わった番組は多くある。こうした声があれば、またいつか復活する日がくることもあるかもしれない。

(稲須ニヒル)

※この記事は2014年05月02日に公開されたものです

SHARE