【新連載】異動!? 1年半前に別れた元カレが同じ支店にやってきて……
Story2 ★面倒な間柄
えっ、栄太に敬語なんて使われると、
なんだかすごい違和感。
それでもわたしは、即座に笑って答えた。
「いいですね、ランチ。
じゃあ、おいしいお店、紹介しますね」
他の人が顧客に連絡を取り合う中、
早いシフトのわたしたちは先に出て、
中華ダイニングのお店に入った。
お昼時はメニューが3つしかない代わりに、
出てくるのがとても早い店だ。
店員さんが去ると栄太は小さく深呼吸して、
大きく息を吐き出すようにわたしに言った。
「付き合ってる時は、
ワガママでいろいろと迷惑かけてごめん」
自分の膝に両手をおいて、
テーブル越しに深々と頭を下げる栄太は、
今日が初対面の人のように礼儀正しかった。
「いいよ、もうそんな前のことは」
わたしは両手のひらをワイパーのように振って、
栄太に頭を上げてもらった。
現金なものだ。こうして謝ってもらったことで、
イライラが、ウソのように消えてしまった。