記憶力を高めるためには、エピソード記憶を活用「エピソード記憶には自分の感情が含む」
「記憶に頼った試験勉強」は、学生時代で卒業! そう思っていたのに……仕事の場でも、記憶力を求められることは、決して珍しいことではありません。特に、キャリアアップのために資格試験に挑もう!と考えている方にとっては、記憶力は大事な能力。
今回は、より残りやすく、引き出しやすい記憶法を紹介します。
意味記憶とは?
便利な記憶法紹介の前に、まずは、心理学で分類されている、記憶の種類について紹介します。まず一つ目は「意味記憶」と呼ばれるもの。これは、人が「覚えようと意識して、覚える」ものです。学生時代の歴史の年号の記憶などは、まさにコレ。
「○○年に△△が××した」と、呪文のように唱え、必死で頭に入れた経験がある方も少なくないのでは? これが意味記憶と呼ばれるものです。
意味記憶は1960年代に、心理学者マックス・キリアンによって提唱されました。学習によって得られる記憶のことで、言語習得や学習による知識習得がこの記憶にあたります。
エピソード記憶とは?
人間の記憶は、意味記憶だけで作られているわけではありません。「昔、あの遊園地行ったよね。楽しかったね」なんて記憶は、何かを学習して得たものではありません。この種類の記憶を、エピソード記憶と言います。
エピソード記憶は1970年代に、心理学者エンデル・タルヴィングによって提唱されました。特に覚えておこうと意識しているわけではなく、一度起こったことを、瞬時に記憶してしまいます。時間や場所、そして自分の感情が含まれているケースが多いです。
両者の違い
両者の違いは、記憶されている内容によって生まれます。歴史の年号を暗記するのが意味記憶で、「昨日は歴史の勉強を5時間も頑張った!」というのがエピソード記憶です。必死で覚えた歴史の年号は、試験が終われば頭から抜けていってしまうことも多いもの。
しかし、「この前の試験のときは、歴史の勉強を5時間も頑張った」という記憶は、簡単には抜け落ちません。長期的な記憶として維持する方も珍しくないのです。
記憶力を高めるためには、エピソード記憶を活用!
両者の違いを踏まえると、記憶力を高めたいときに、活用すべきなのは、エピソード記憶だと分かります。学習では、意味記憶に頼りがち。しかしこれは、手間がかかるわりに忘れやすい記憶法なのです。とはいっても、エピソード記憶は、自分の意志とは無関係に発生するもの。
「これを覚えたい!」というときに使うためには、コツが必要となります。
物事をエピソード記憶として保存するためには、自分の中で、エピソードを作りましょう。歴史の年号を覚えるときには、歴史映画を見ているつもりで、全体の流れと共に記憶しましょう。単に数字を頭に入れておくよりも、確かな記憶となります。
「特にエピソードがない……」という場合には、勝手に作り上げてしまいましょう。「この言葉は、なんだかダジャレみたいだなぁ」なんて、「自分だけにわかるエピソード」で十分! これだけでより高度な記憶として、自分の中にしまっておくことが可能になります。
意味記憶とエピソード記憶の違いは、いかがでしたか? いくら記憶に有利だからといって、すべての事象をエピソード記憶として脳内に保管することは出来ません。意味記憶で覚えられるものは覚え、どうしても頭から抜けてしまうものに関して、エピソードと共に記憶するのがおすすめです。
※この記事は2013年12月10日に公開されたものです