寂しくて一緒にいただけ!? 気まずくなった同僚との関係修復法
忙しく働く女子たちにとって、人間関係のストレスや会社生活の悩みはつきもの。ちょっとしたことにイライラしたり、憂鬱な気持ちになって、「会社に行きたくない!」と感じたことがある人も多いのはず。実は日々のちょっとしたストレスは、考え方ひとつで解消できるもの。ここでは、心理カウンセラーの小高千枝さんによる「こころのメンテナンス方法」をご紹介いたします!
仕事のことやプライベートのことなど、深刻な話も、たわいもない話も、どんな話題であっても一緒に盛り上がり、親身になってくれる同僚の存在はありがたいもの。ランチも一緒に行ったり、月に何回かはプライベートでも遊んだり、楽しい時間を共有する関係。しかし、仕事をしていると、些細なことが原因で口論になってしまったり、意見の食いちがいに不満を覚えてしまったりすることもあるもの。その場で解決すればいいのだけれど、普段仲がよかっただけに、よけいに声をかけづらくなったり、変に避けてしまったりと、何となく気まずい空気が2人の間に流れてしまい、その結果、どうやって仲直りすればいいのかわからないほど、深刻な状況に陥ってしまうこともあるのです。
そもそも人は、「同期」、「同じフロア」、「席が近い」などの理由で、物理的に自分の近くにいる人と親しくなる『近接の要因』という法則によって仲間意識を持つ傾向があります。日常化している職場において、何となく一緒にいる人とは何かしら物理的に近い存在であることが多いものです。でも、本当に心と心でわかり合えているのでしょうか? ひんぱんに行動はともにしていても、実際は心から安心して付き合える存在にはなっていなかったのかもしれません。
では、「仲よく」とはいったいどういうことでしょうか? 人はひとりでは生きていけません。また、組織に入っていればチームワークも必要です。そのため、職場の人間関係は円滑に築き上げることが大切ではありますが、「寂しいから」「ひとりでいたくないから」一緒にいるということもあるのではないでしょうか。
入社したときに隣の席だったため、そこから仲よくなり、大きな揉めごともなく、何か問題があるわけでもなく、何となく行動をともにしていた。もちろん、一緒に過ごす時間が長くなれば共通する価値観も芽生え、関係性も深まります。しかし、一緒にいることが日常化しているだけの馴れ合いの関係になっているようでしたら、それは日々の中で小さなストレスを積み重ねてしまっている可能性もあります。
本当に大切で必要としている存在の同僚であれば、自ら仲を修復するために働きかけるはずです。「またランチに一緒に行きたい」「楽しい時間を共有したい」と思っているようでしたら、あなたから話をする時間を設ける提案をしてみてはいかがでしょうか? 素直な気持ちで話し合い理解し合えば、お互いの誤解や思い込みがはっきりするかもしれません。そして、『素』を見せ合うことで信頼感も増し、以前よりもさらにいい関係を築き上げることができます。
しかし、お互いにその歩み寄りをしない、したくないということでしたら、心のどこかで一緒にいることにマンネリ化を感じ、それ程楽しいものとは思えなくなってしまっていることのあらわれかもしれません。
「相手の機嫌をとろう」「どうしたら元に戻れるか?」と相手のことばかりを考える前に、「どうして一緒に行動をともにしなくなったのか?」「本当は相手のことをどう思っていたのか?」を自分自身に問いかけ、客観的に関係性を見つめ直し、気持ちを素直に書き出してみましょう。
いつも行動をともにし、共通した話題のある同僚との会話は、確かに楽しく、心身ともにいい刺激になっていたと思います。これは快感物質が分泌され、自律神経の交感神経が強く働いていたためです。しかし、私たち人間は交感神経と副交感神経の2つの自律神経を切り替え、活動的になったり、休憩をしたりしながら毎日を送っています。そのため、居心地よく長く一緒にいるべき相手は、どちらかの神経ばかりが働いてしまうような偏った関係でいる人ではなく、楽しいときも穏かなときも一緒にいられる人であることが大切。
「どうしたら元に戻れるんだろう」と同僚に気を使い、悩みが深くなっているようでしたら、交感神経が働き過ぎてしまい疲労が蓄積されるかもしれませんね。心身を休めて、少し物理的にも距離をおいてみましょう。
べたべたと一緒にいることが友情ではありません。お互い感化しあい、『個』として尊重・尊敬し合うことが大切なのです。また、人は変わるものです。経験を積み重ねる中で一緒にいるべき本当の相手が誰なのか、明確になってきたのかもしれません。ほかに優先するべきものが出て来てしまったのかもしれません。今、自分にとって大切なものは何か(仕事、趣味、ひとりの時間、恋人、家族、同僚など)を書き出し、優先順位をつけてみることで関わり方もはっきりしてきますよ。
人が離れていくことは一時の寂しさを感じるもの。しかし、お互いが成長をし、お互いを再度受け止められるようになったときに、程よい心の距離感を取りながら、大人としてのいい関係を築き上げることもできるようになることでしょう。
気まずい関係の同僚とは……
- 素直な気持ちで話し合う時間を持つ
- お互いの関係性を客観的に見つめ直し、素直な気持ちを書き出す
- 自分にとって偏った関係だと感じたら、物理的に距離を置く
- 今の自分にとって大切なものの優先順位をつける
心理カウンセラー 小高 千枝(おだか ちえ)
幼稚園教諭、キャリアカウンセラー等を経て、2007年1月、女性専門のカウンセリングルームを開業。男女関係の問題、依存症、人生観、うつなどのカウンセリングのほか、メンタルトレーニング、企業カウンセリングなどに携わる。2010年9月、精神科医名越康文監修、男女ともに通える『メンタルケアサロン~ピュアラル』を開業。ご相談者それぞれのペース に合わせ問題解決に導くカウンセリングは男女問わず信頼を得ており、リピーターが多い。
※この記事は2013年03月19日に公開されたものです