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「賜りますよう」の意味とは? 使い方や注意点を解説(例文付)

にほんご倶楽部

「賜りますよう」は、目上の人に何かをしてもらう時に使う敬語表現です。主にお願い事をするシーンで使用するので、相手に失礼のないよう正しい使い方を抑えておきたいところ。今回は「賜りますよう」の意味や使い方を例文と共に紹介します。

「賜(たまわ)りますよう」は、目上の人から何かをもらうことを意味する言葉です。謙譲語であり、相手からの施しをありがたく受け取る時に使います。

日常的にはあまり使う機会がないかもしれませんが、ビジネスシーンではよく使う表現。しっかりと意味や使い方を覚えておきましょう。

この記事では「賜りますよう」の意味と使い方を例文と併せて紹介します。

「賜りますよう」の意味

「賜りますよう」は、「○○してもらう」という意味の言葉。相手に対して「○○してもらいたいです」といった希望を伝えるフレーズです。

たまわ・る〔たまはる〕【賜る〔賜わる〕/▽給わる】
1 「もらう」の意の謙譲語。目上の人から物などをいただく。ちょうだいする。「日ごろお客様からご愛顧を―・っております」
2 「与える」の意の尊敬語。鎌倉時代以降の用法。目上の人が物などをくださる。「臣下に金一封を―・る」
3 神の許可を得て、通行を許してもらう。
4 (補助動詞)動詞の連用形、また、それに「て」を添えた形に付いて用いる。

出典:(『デジタル大辞泉』小学館)

例えば「ご理解賜りますようお願い申し上げます」は、「こちらの事情を汲んで理解してほしい」と相手に理解を求める際に用いる表現です。

「もらう」の謙譲語である「賜る」を使うことで、一方的にこちらの事情を押し付ける印象を軽減することができます。

ビジネスシーンではよく使うフレーズのため、目上の人に何かをお願いする時にはスマートに使えるよう、しっかりと意味を理解しておきましょう。

「賜りますよう」は敬語?

「賜りますよう」は敬語として使える表現です。もともと「目上の人から物などをいただく」という意味を持った言葉なので、自分がへり下った言い方になります。

そのため、上司や取引先、お客様など目上の人に対して使えるフレーズです。「○○賜りますようお願い申し上げます」といった使い方をすることが多く、直接会話で使う他、お客様に対してお知らせやお願い事がある時にも使います。

「賜る」と「承る」の違い

賜るという言葉と似た意味を持つ単語に「承(うけたまわ)る」があります。

「承る」は「受ける」や「聞く」「承諾する」の謙譲語で、相手から要望や依頼を受けた時に「既にその話は聞いている」といった意味で使うフレーズです。

「賜る」と言葉の響きは似ていますが、異なる意味を持っているので混同しないように注意しましょう。

「賜りますよう」の使い方(例文付)

「賜りますよう」は、こちらの希望や要望を伝える時のフレーズです。

主に取引先やお客様などに使う機会が多く、「してください」というお願いを丁寧で物腰柔らかな印象に変えられます。

特にビジネスシーンは、お客様や取引先などに「してほしい」「してもらいたい」といった要求をする場面が多くあります。

そんな場面で「ご協力賜りますようお願いいたします」といった丁寧な表現にすることで、相手に失礼のないお願いができますよ。

例文

・「今後とも変わらぬご愛顧を賜りますようお願い申し上げます」

・「勝手を申して恐れ入りますが、何卒ご高配賜りますようお願いいたします」

・「お手数ですがご協力賜りますようお願いいたします」

「賜りますよう」はその場で誰かにお願い事をする場合や、「今後ともよろしくお願いします」といったあいさつも兼ねて使うことがあります。

また、例文の「ご高配(こうはい)」とは、相手の心遣いに敬意を示した言葉。「ご高配を賜りますようお願い申し上げます」は、「お心配りをしてもらえますようにお願いします」という意味になりますよ。

「賜りますよう」を使う時の注意点

「賜りますよう」は丁寧な表現ですが、お願い事をするニュアンスがあるからこそ、一歩間違えれば失礼になってしまうかもしれません。

そこでここでは「賜りますよう」を使う時の注意点を3つご説明します。

(1)頻繁に使わないように注意する

「賜りますよう」は、頻繁に使いすぎると冗長な印象になってしまいます。

特に気をつけたいのが、ビジネスメール。メールでは読みやすさを考えた上で、似たような表現を並べないよう注意が必要です。相手に複数のお願い事がある時、その度に「賜りますよう」を使わないように気をつけてください。

(2)「賜りたく」「賜れれば」なども使い分ける

「賜りますようお願い申し上げます」だけでなく他の言い方にすることで、文章が被ってしまうことや回りくどい表現を避けられます。

例えば「賜りたく存じます」「賜れれば幸いです」など、別の表現に変える方が、シンプルで伝わりやすい場面もあるでしょう。

(3)シーンによっては別の表現を使う

「賜りますよう」という表現は「してほしい」を丁寧にした敬語です。敬語として目上の人に使いますが、どちらかと言えば普段関わりが薄い取引先やお客様に対してなど、距離が近くない目上の人に向けて使うことが多いです。

普段から接する機会が多い先輩や直属の上司に使うと、かえって堅苦しい印象になってしまいます。「賜りますよう」ではなく、比較的カジュアルな「いただけますよう」など別の敬語表現に変えた方が良い場面もあるでしょう。

「賜りますよう」の類語・言い換え表現

「賜りますよう」は丁寧な敬語表現として使えます。しかし、シーンや相手によっては堅苦しい印象を持たれてしまうことがあるかもしれません。

そこで、「賜りますよう」に似た意味のフレーズを知っておくことで、状況に合わせて言い換え表現が使えます。ここでは「賜りますよう」の言い換え表現を見ていきましょう。

(1)「くださいますよう」

「賜りますよう」よりもカジュアルな表現として「くださいますよう」があります。例えばお客様に注意喚起をする時に「ご注意くださいますようお願い申し上げます」といった言い方ができます。

「賜りますよう」だとかえって堅苦しくなってしまうような場面では、シンプルに「くださいますよう」に言い換えても良いでしょう。

(2)「いただけますよう」

「いただける」は「○○してもらう」や「○○をもらう」といった言葉の謙譲語。「賜りますよう」と同じく、何かをやってほしい時に使える表現です。

ちなみに何かをしてもらいたい時に使う場合は「頂けますよう」ではなく、「してもらう」の意味である「いただけますよう」のひらがな表記にしましょう。

(3)「お願い申し上げます」

「賜りますようお願いいたします」では回りくどい表現になってしまう時は、シンプルに「お願い申し上げます」と言い換えても問題ありません。

特に直属の上司や先輩など近しい相手にお願い事をする時は、「賜りますよう」だと丁寧すぎる表現になってしまうことがあります。「お願い申し上げます」といった分かりやすい表現も取り入れていきましょう。

「賜りますよう」を正しく使おう

「賜りますよう」は上司やお客様、取引先など目上の人に対して、「○○してほしいです」といったお願い事をしたい時の丁寧な表現です。

ただし、使い過ぎてしまうと回りくどい印象になってしまうこともあります。正しい意味を理解した上で、適度に言い換え表現も取り入れていきましょう。

(にほんご倶楽部)

※画像はイメージです

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