貧乏ゆすりをする人の心理・原因は? 癖を改善する方法
貧乏ゆすりをする人の心理状態とはどういったものなのでしょう? 貧乏ゆすりの原因と改善方法について心理カウンセラーの小日向るり子さんに聞いてみました。
近くに貧乏ゆすりをしている人がいると、その音や振動が自分に伝わって不快な思いをすることがありますよね。
「やめて欲しい」と言いたいところですが、相手が知らない人の場合は注意もしづらく、我慢した経験を持つ人も多いのではないでしょうか。
今回は、なぜ貧乏ゆすりをするのかといった原因や改善する方法などについて解説します。
貧乏ゆすりをする心理状態と原因
貧乏ゆすりをする原因として非常に多いのは「フラストレーションを楽にするため」です。
貧乏ゆすりに代表される、ほぼ無意味にやってしまう繰り返しの反応のことを専門用語では「固着反応」と呼び、それによってストレスを解消しようとしているのです。
(1)緊張からの解放
緊張すると、動悸がしたり、体が震えたりします。そうした体の状態に意識を向けるとますます緊張が高まってしまうため、貧乏ゆすりのように無意識に体をゆすって緊張を逃そうとします。
体を揺らす以外でも、髪の毛を指で回す、机を指でたたく、といった行動として表れることもあります。
(2)怒りの放出
怒りを感じると、破壊行動をしたり、大声で叫んだりとその「怒り」を吐き出したくなる人は多いでしょう。しかし、実際はそのようなことをできない場面の方が多いですよね。
そうした時に怒りを小刻みにして放出させるため、貧乏ゆすりをする場合があります。
(3)不安からの解放
例えば試験の結果待ちをしている時、気になる相手からの返信を待っている時など、心がそわそわと落ち着かない時に所在なさから解放されたくて貧乏ゆすりをすることがあります。
また、「爪を噛む」など日頃癖となっている行動が酷くなるという形で出ることもあります。
ここまでは『固着行動』ですが、疾患が原因となっている場合もあるため、気になる方は医療機関への受診を検討しても良いかもしれません。
▶次のページでは、貧乏ゆすりの癖を改善する方法を解説します。
貧乏ゆすりの癖を直す方法
貧乏ゆすりの原因は主に「ストレス解消を貧乏ゆすりに頼ってしまっている」という心の状態にあります。
まずは、貧乏ゆすりが自分のストレス解消ツールになってしまっている、という心の状態を認識しましょう。
そうすると、ストレスを別のやり方で解消させれば良いことに気づきますよね。ここからは、おすすめするいくつかの方法をご紹介します。
(1)足を組む
貧乏ゆすりを止める最も手っ取り早い方法が「足を組む」です。椅子に足を絡ませても良いでしょう。根本的な改善方法ではありませんが、取り急ぎそわつく気持ちを抑えたい! という時に有効です。
(2)立って何かをする
貧乏ゆすりは座っている時に生じやすいので、とにかく「立って」何かをしましょう。お茶や珈琲を入れる、トイレに行く、などのやり方があります。
(3)深呼吸をする
深呼吸をすることでリラックスにつながり、ストレス解消になります。
これも立って行うのがおすすめですが、立ち上がることができない場合は椅子の背もたれに背中をあずけて息を吸いながら両腕を思い切りあげ、大きく息を吐き出しながら腕を下げるという動作を何回か行うだけでも効果があります。
(4)ストレッチを行う
テレワークなど家で仕事ができる環境がある人は、深呼吸しながらストレッチも行うと効果的です。特に立ちながら行うストレッチがおすすめです。
(5)完全オフの日をつくる
楽しめる趣味を持つことは最大のストレス解消方法ですが、趣味がないという方も多いでしょう。
日常のやるべきことに追われてイライラしたり怒りっぽくなったりしている自分を感じたら、1日でも良いので怒りを感じる物事から自分を解放してあげる完全オフの日をつくってください。
日常を忘れてゆっくりするだけで貧乏ゆすりにストレス解消を求める心が治まっていくはずです。
▶次のページでは、周りの人が貧乏ゆすりしている時の対処法を解説します。
周りの人が貧乏ゆすりをしている場合の対処法
最後に、周りの人が貧乏ゆすりをしている場合の対処法についても解説します。
(1)さりげなく注意する
相手が貧乏ゆすりをしている時に「やめてください」など単刀直入に言ってしまうと場の空気が悪くなる可能性がありますので、さりげなく伝えましょう。
相手が貧乏ゆすりをしていない時に伝えるのがコツです。「○○さんって揺れている時が多いですよね」など軽い感じで伝えてみると良いでしょう。
(2)「ストレスがたまっている?」と声をかけてみる
相手との関係性にもよりますが、気軽に話せる場合は相手の気持ちに焦点を当ててみましょう。
ストレスがたまっているかと聞けば「なんで?」と返ってくると思うので、その時に「繰り返し行動が多いからイライラや不安があるのかなと心配になって」と伝えれば、相手が自ら貧乏ゆすりに気づいてくれる可能性があります。
(3)避難行動をする
日常的に関わらない相手であれば、避難することが一番穏便な方法です。その人のそばを離れる、椅子をずらして振動がこないようにする、など自分から離れましょう。
試験や演劇鑑賞などの場合、運営に伝えて可能な限り対処してもらうことも手段としてはアリです。
(4)会話を切り上げる
会話中に相手が貧乏ゆすりを始めたなら、会話内容に対して何かしらの緊張、怒り、不安を感じているのかもしれません。
相手の情緒が不安定な時には、あまり建設的な会話ができないでしょう。急ぎでないならば、一旦話の内容をずらし、会話を切り上げてしまうのも手です。
機嫌が良さそうな時に同じ会話を振れば、違った反応が返ってくるかもしれません。
別のやり方でストレス発散を
貧乏ゆすりやそれに類似した繰り返し行動のほとんどは「固着活動」といってストレスを逃がすために無意識にやっているものです。
したがってストレスを貧乏ゆすり以外の方法で解消してあげれば落ち着いてくるといえます。
今回は、改善する方法もいくつか紹介させていただきましたので、できそうなものからやってみてくださいね。
(小日向るり子)
※画像はイメージです