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女性がキャリア形成のために考えておきたい3つのこと

藤井佐和子(キャリアアドバイザー)

結婚や出産を考えている女性の場合、キャリア形成を考える上で気になるのが、「家庭と両立できるのか」ということ。そこで今回は、女性のキャリアと家庭の両立を取り巻く現状と、キャリア形成のために考えたいことについて、キャリアカウンセラーの藤井佐和子さんに解説してもらいます。

キャリアカウンセリングに来る女性の相談に乗っていると、「キャリアと家庭の両立は可能か」を不安に感じている人が、非常に多いと感じます。

見えない未来だからこそ、何をどう考えたら良いのか、判断が難しいですよね。

そこで、この記事では今後のキャリア形成について考えたいポイントを紹介します。

女性のキャリアと家庭は両立できる?

まず、女性のキャリアと家庭は両立できるのか、国の調査結果や制度なども踏まえながら考えていきましょう。

キャリアと家庭の両立は前よりしやすくなった

キャリアと家庭の両立で特に気になるのは、出産でしょう。

子どもができてから仕事を辞めてしまう女性がいるのは事実です。

『令和2年版 少子化社会対策白書』によると、2010~2014年の間に、出産を機に退職した女性の割合は、46.9%でした。

なお、正社員の女性が仕事を辞めた理由としては「仕事を続けたかったが、仕事と育児の両立の難しさで辞めた」が最も多かったとされています。

しかし、出産前に仕事をしていた女性が出産後も仕事を続ける割合は、年々増えています。

出産前に仕事をしていた女性が出産後も仕事を継続する割合は、1985~1989年では39.2%でした。しかし、2010~2014年では53.1%に達しています。半数以上の女性が、出産後も仕事を続けているのです。

このことから考えると、今は昔と比べて家庭とキャリアの両立がしやすくなったといえるでしょう。

今後はさらに女性がキャリアを形成しやすい時代へ

「女性活躍推進法」という法律があります。

これは、「働きたい女性が個性と能力を十分に発揮できる社会」の実現を目指し、事業主に以下を義務づけているものです。

(1)自社の女性の活躍に関する状況把握、課題分析

(2)1つ以上の数値目標を定めた行動計画の策定、社内周知、公表

(3)行動計画を策定した旨の都道府県労働局への届出

(4)女性の活躍に関する1項目以上の情報公表

(出典:厚生労働省 東京労働局「女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を策定しましょう!」)

2022年4月1日より、この女性活躍推進法が改正されます。

現時点では、労働者が301人以上の事業主にしか義務の適用がされていませんでしたが、この改正では労働者数が101人以上の事業主も義務の対象となります。

このような国からの後押しがあるわけですから、女性が家庭と両立しながら働き続けるための仕組みや制度は、今後さらに整っていくと期待できます。

キャリアと家庭を両立するために必要なこと

キャリアと家庭を両立しやすい環境が整ってきているとはいえ、結婚や出産などの大きなライフイベントがあると状況が変わるわけですから、働き方の見直しをする必要はあります。

働き方を見直すポイントとして、以下の3つがあります。

(1)産休育休に入る前に不安を解消する

キャリアカウンセリングに来る女性の中には、「復帰後に自分が浦島太郎になっているんじゃないか」「復帰後の職場に居場所はあるの?」などの不安を感じている人も多いです。

しかし、復帰に関する不安が多すぎると、復帰後どのようなキャリアを歩みたいのか具体的にイメージするのは難しいでしょう。

不安は1人で抱え込まず、自分の希望も伝えながら、復帰プランについて上司と相談しましょう。

ただ、出産してみないと分からないこともたくさんありますから、この時に立てるのは暫定的なプランで大丈夫です。

(2)時短勤務を使うことも考える

「みんなに迷惑をかけてはいけない」と、復帰直後から慌てて復帰前のペースを取り戻そうとする人がいます。しかし、頑張りすぎは続きません。まずは慣れるところからスタートです。

時短の期間を決めて働いてみれば、今の自分のキャパシティが分かります。その上で、時短期間を延長するか元のペースに戻すか考えると良いでしょう。

やはりこれも上司と話し合いながら決めていくとスムーズです。

(3)周囲にサポートを求める

大きなライフイベントの後は、今までと違う状況に慣れるのに、ただでさえ負担を感じがち。

いっぱいいっぱいにならないように、会社の人はもちろん、家族や外部のサービスなどにサポートを求めましょう。

実際、カウンセリングに来た人には、サポートを上手に受けて順調にキャリアと家庭を両立している人がいます。

女性がキャリア形成のために考えたい3つのこと

ここからは、女性がキャリアを形成のために考えておきたいことを解説します。

(1)長期的なキャリアプランの再確認

結婚したり産休育休に入ったりする前に、改めて自身のキャリアプランを見直してみましょう。

結婚や出産の後は、やることがたくさんです。特に第一子出産時は、未経験のことだらけ。

どうしても目先のことでいっぱいいっぱいになりますから、その前に長期的な視点で自分のキャリアのことをちゃんと考えておくことが大事です。

自分自身はどのようなキャリアアップを望んでいるのか? 将来どうなりたいのか?

これらについて具体的に考えることで、今後のキャリア形成のために今やるべきことが見えてくるはずです。

(2)「マミートラック」を回避する

「マミートラック」とは、子育てが忙しくて仕事のスキルをつけられず、昇格が難しい状態に落ち着いてしまっているキャリアコースのことです。

「いずれ子どもが大きくなってから、本腰を入れて仕事を頑張ろう。今は、時間内にできる負担のないルーティンワークを中心に働こう」。こう思う人は、少なくないようです。

しかし、子どもが大きくなって「さて頑張ろう」と思った時には周囲の同僚たちと大きく差が開いてしまい、今からその差を取り戻すことができない……と相談に来る人もいます。

マミートラックを回避するために、少しずつでも良いので、できることを増やしていきましょう。

(3)管理職も視野に入れる

キャリアアップの選択肢の1つとして、管理職になることも視野に入れませんか?

「私なんて」「管理職になったら大変そうだし……」といった理由で「管理職はやめておこう」と思っている人も多いでしょう。

しかし、前述した「マミートラック」を回避するためにも、今より大きい裁量権を手に入れてやりたいことを実現するチャンスを増やすためにも、管理職になることを検討してみても良いかもしれません。

また、前ページでも触れたように、国は女性の活躍を後押ししており、企業に対して「女性の管理職を増やすこと」を求めています。

それを受けて、今後さまざまな企業で女性の管理職登用が増えることが予想されます。「今の会社では無理」と思っていても、実はチャンスがあるかもしれません。あるいは、転職して管理職になるという方法もあります。

自分のためのキャリアを考えよう

「生活のために働く」というのはもちろん大事ですが、「自分の成長のため」「やりがいのため」に働くことができると、さらに仕事や人生は充実したものになるでしょう。

あなたの理想の働き方や生き方を、この機会にもう一度考えてみませんか?

キャリアと家庭の両立は大変なこともありますが、両立しているからこその豊富な経験が、あなたの可能性を広げてくれるはずです。

(藤井佐和子)

※画像はイメージです

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