腹筋ローラーは下腹に効く? 効果を出す鍛え方を解説
おなか周りの筋肉を効率的に鍛えられる腹筋ローラーは、ぽっこり出た下腹を引き締めたい人におすすめです。今回は、パーソナルトレーナーの山内佑太郎さんに、腹筋ローラーで下腹が鍛えられる理由やおすすめの使い方を解説してもらいます。
太って見えたり、洋服のサイズが合わなくなったり……、ぽっこり出た下腹が気になっていませんか? たるんだ下腹には、「腹筋ローラー」を使ったトレーニングが効果的です。
腹筋ローラーと言うと上級者向けに感じるかもしれませんが、正しく使えば、筋トレ初心者でも下腹を鍛えることができますよ。
今回は、下腹に効く腹筋ローラーのやり方や回数、注意するポイントを解説します。自宅で効率的にトレーニングをして、ぽっこりおなかを解消しましょう。
腹筋ローラーで鍛えられる部位とは
腹筋ローラーでは、おなかの正面部分にある「腹直筋」や、脇腹にある「腹斜筋」を鍛えることが可能です。
腹直筋とはいわゆる“インナーマッスル”のことで、鍛えるとおなかの縦のラインが引き締まります。そして、腹斜筋はおなかの両サイドにあるので、鍛えることでおなかにくびれを作りやすくなります。
また、腹筋ローラーで鍛えられる筋肉は腹筋だけではありません。脇の下から腰にかけての筋肉「広背筋」と、背骨を支える「脊柱起立筋」にも刺激を与えられます。背中の筋肉を鍛えられるので、腹筋ローラーを行うことで姿勢の改善効果も期待できます。
さらに、両腕で体を支えながら腹筋ローラーを押し出す動きを行うため、「上腕三頭筋」も鍛えられます。上腕三頭筋は腕の下側にある筋肉で、二の腕の引き締めに効果的です。
下腹を鍛えるのに腹筋ローラーが適している理由
腹筋ローラーは腹筋だけでなく、背中や腕など、体のさまざまな部位を鍛えることが可能だということが分かりました。中でも、特に下腹に高い効果が期待できます。
下腹を鍛える運動は他にもありますが、なぜ腹筋ローラーでのトレーニングが良いのでしょうか。
(1)腹筋全体を鍛えることができる
腹筋ローラーは、腹筋の一部分だけではなく、腹筋の複数の筋肉を一度に鍛えることができます。
例えば、腹筋運動の代表格「クランチ」では、腹直筋の上部しか鍛えることができません。ぽっこり出た下腹を鍛えるには、腹直筋の下部や腹斜筋も含めて、おなか全体をバランス良く鍛える必要があります。
クランチとは、床に仰向けになって膝を立てて上体を起こす動きのこと。クランチで腹直筋の下部や腹斜筋を鍛えるには、いろいろな動きを組み合わせなければなりません。筋トレ初心者には少しハードルが高く感じますよね。
その点、同じ動きで複数の筋肉を鍛えられる腹筋ローラーは、下腹を中心としたおなか痩せを効率的に行えるのです。
(2)下腹部の収縮運動ができる
下腹を効果的に鍛えるためには、収縮運動(筋肉を伸び縮みさせること)が必要です。下腹部は鍛えにくい部位ですが、腹筋ローラーを使うことで効率的に収縮させることができます。
腹筋ローラーは前に押し出す時に筋肉が伸び、手前に戻す時に筋肉が縮まります。腹筋ローラーを使ってトレーニングを行うことで、自然と収縮の動きができるのです。
ただし、下腹を伸縮させるには、正しいフォームで行うことがポイントです。記事下部で正しい腹筋ローラーの使い方を紹介するので、確認しておいてくださいね。
(3)強度を調整できるため、続けやすい
腹筋ローラーは、ローラーを前に押し出して、元の場所に戻すだけのシンプルな動きです。どれくらい前に押し出すのか、または膝をつくかどうかでも負荷が大きく変わります。
このように、段階的に強度を調整可能なので、継続して行いやすいのも腹筋ローラーのメリット。
下腹痩せに限らず、筋トレは継続して行うことが大切です。腹筋ローラーなら継続しやすいため、下腹への効果を実感できる人が多いでしょう。
下腹痩せに効く腹筋ローラーの使い方
腹筋ローラーで効率良く下腹を鍛えるには、膝を立てて行う「膝コロ」がおすすめです。
膝をついた状態で腹筋ローラーを使うと、腕や肩、足の負担が減るので、腹筋だけに集中することができます。
膝コロのやり方
1.腹筋ローラーのグリップを両手で握り、床に膝をつけます。
2.腹筋ローラーをゆっくりと前へ転がしていきます。
3.限界まで転がしたら、ゆっくりと手前に引いて元の姿勢に戻ります。
背中が反らないようにおなかを丸めることが下腹へ効かせるコツです。息は止めず、体を倒す時に息を吸って、元に戻す時に吐くようにしましょう。
腹筋ローラーをできるだけ前に押し出すと強度が増します。きっと下腹がプルプルしてくるはずです。最初から無理をすると体を痛める危険があるので、徐々にレベルを上げていきましょう。
初心者の方は、慣れるまで壁に向かって行ってみてください。腹筋ローラーはストッパーがないのでどんどん前に転がってつらいですよね。進行方向に壁があると、ストッパーの役割をしてくれます。
前へ押し出した時に、背中が反らない位置で止まるようにセッティングしましょう。
また、腹筋ローラーは素早く行うよりも、ゆっくりやる方が負荷を掛けられます。
【目的別】腹筋ローラーの効果的な回数と頻度
腹筋ローラーを行う回数や頻度は、トレーニングの目的によって変わります。目的別の目安は下記を参考にしてください。
目的 | 回数 | 頻度 |
運動不足解消 | 5回×2セット | 2〜3日おき |
ダイエット | 10回×3セット | 2〜3日おき |
筋トレ | 15回×3セット | 2〜3日おき |
初心者の方は5回×2セットから始めて、慣れてきたら回数や頻度を増やしていきましょう。
トレーニングは何よりも、コツコツ継続することが大切です。まずは無理のない頻度で習慣化することを心掛けてみてください。
筋トレ目的の方は、膝コロに慣れてきたら膝をつかずにチャレンジしてみましょう。さらに負荷を掛けることができ、筋力アップ効果が期待できます。
腹筋ローラーで効率的に下腹痩せを目指すコツ
腹筋ローラーを正しく使えていないと、下腹への効果が半減してしまいます。そして、間違った姿勢でトレーニングを行うと、腰を痛めるなど、けがをする可能性があります。
腹筋ローラーを使用する時の注意点をまとめたので参考にしてください。効果が感じられない場合は自分の動きをチェックしてみましょう。
(1)正しい姿勢で行う
腹筋ローラーはただ回数を重ねれば効果が出るというわけではありません。下腹を意識し、正しい姿勢で行うことが重要です。
腹筋ローラーを引き寄せる時に、おなかを丸めて縮める意識を持ちましょう。ぐっとおなかに力を入れ、おへそを持ち上げるイメージです。同時に、背中を反らさないようにするのもポイントです。
背中が反るとおなかが伸びるので、腹筋への負荷が小さくなってしまいます。また、腰を痛める原因になるので注意してください。
(2)息を止めない
腹筋ローラーを行う時は、呼吸が止まらないように気をつけましょう。体に力が入ると、つい息が止まってしまいます。
腹筋ローラーを倒す時に息を吸って、元に引き戻す時に息を吐くというように、一定のリズムで呼吸ができるように意識してください。
腹筋ローラーを使っている時に呼吸を止めると、血圧が上がりやすくなる可能性があります。急激な血圧の上昇を防ぐためにも、意識して呼吸を行いましょう。
(3)負荷の見直しをする
全てのトレーニングに通じますが、効果的に筋肉を鍛えるには筋肉を追い込み、力を出し切ることがポイントです。最初は少ない回数から始めてOKですが、楽にこなせるようになってきたら内容を見直しましょう。
回数の増加やレベルの変更、姿勢のチェックを行ってください。下腹に効いている実感があるトレーニング内容で行いましょう。
(4)筋肉痛がある日は休む
腹筋ローラーで筋肉痛になった場合は、トレーニングを休みましょう。
腹筋ローラーを行うと筋線維の一部が破断され、それが修復する際に筋肉が育ちます。この現象は「超回復」と呼ばれ、期間は約24〜72時間だとされています。
そのため、痛みがある場合は2~3日筋肉を休めることも大切。また、無理にトレーニングを行うと疲れた筋肉をかばってフォームが崩れやすくなり、逆効果になる可能性があるのでしっかり休むことが大切です。
腹筋ローラーを正しく使って下腹を引き締めよう
腹筋ローラーを使えば、下腹を集中的に鍛えることができます。シンプルな動きなので、初心者でも挑戦しやすいトレーニング方法です。
正しい姿勢で行うことが効果を出すポイントなので、意識して取り組んでくださいね。トレーニングを継続して、キュッとスリムなおなかを目指しましょう。
(監修:山内佑太郎、取材・文:#TOKYOWORKOUT)
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※本記事はトレーナーの見解に基づき解説しております