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【No.14】ホテル住まい・2拠点生活の女性経営者/デザイナーの場合

#私たちのしごとバッグ

ミクニシオリ

いつも輝くあの人は、仕事でどんなバッグを使っているんだろう? バッグとその中身は、仕事への姿勢や価値観を映す鏡。企業で働くマイナビウーマン世代の女性をインタビューし、彼女たちの仕事バッグをのぞく連載です。

取材・文:ミクニシオリ
撮影:洞澤佐智子
編集:照井絵梨奈/マイナビウーマン編集部
撮影場所:THE LIVELY 東京麻布十番

「私本当に荷物が少ないんですけど、参考になるかなあ」

と、朗らかでフレンドリーな滑り出しでおしごとバッグを紹介してくれたのは、SNSデザイン事務所 株式会社hahaha design(ハハハデザイン)で代表取締役を務める、てるやしおりさん。沖縄出身の彼女のまとう空気はどこか晴れやかで、それでいておおらかだ。

彼女は自由を愛するあまり定住する家を決めず、仕事の多い東京と地元・沖縄を往復しホテル暮らしをしている、まさに自由な女性。今回はそんなてるやさんのしごとバッグを見せてもらった。

「ホテル暮らしとか起業家という言葉とは裏腹すぎる荷物の少なさに、初対面の人にはよくびっくりされます。家が無い分長距離移動は多いし、ホテルやカフェでのリモートワークが中心なので、荷物はなるべく軽く、コンパクトに! が自分のモットー。荷物が重いとか多いとか、わずらわしいことがキライなんですよ」

てるやしおりさん
株式会社hahaha design代表取締役。フリーランスデザイナーとして10年のキャリアを積んだのちに起業。SNSデザイン事業やinstagram ARフィルターの開発などを行う。

使えば使うほど味が出てきて、長く使える! ということが理由でレザーのアイテムが好きだというてるやさん。仕事用のかばんも、ハンドメイドのレザー作家さんを探し当てて購入したのだそう。

こだわりはね、クリアバッグと巾着を別々で使えるところ。仕方なくPCを持ち歩く時はクリアバッグを使うけど、ホテルから軽い外出をする時なんかは、巾着バッグだけにした方がコンパクトで心地良いんです。クリアバッグはシンプルだし、季節に合わせてスカーフやファーなどの小物をつければ、一年中使えちゃうからとっても優秀なの」

スカーフはいつも持ち歩いていて、寒い時は肩に巻いたり、ハンカチ代わりにしちゃう時もあるんだそう。一石三鳥でしょ?と嬉しそうに話すてるやさんの顔は常に好奇心に満ちていて、モノの新しい可能性に気づくと目を輝かせる。

バッグの中身

1 11インチiPad Pro Wi-Fi +Cellular 512GB – スペースグレイ
2 iPhone12 Pro、ascene B&C Flip Pocket case
3 Ray-Banのメガネ
4 メイクポーチ(ヴェネツィアのお土産)
5 充電ケーブル
6 Aesop ゼラニウム ボディバーム
7 ペンケース(ハンドメイド)
8 Airpods
9 スカーフ

中身を撮影させてもらうと、とってもコンパクト。たしかに、これが働くわたしたちの理想ではある。重たいかばんは足取りも、テンションも重くさせることもある。とはいえ、リモートワーク中心の起業家とは思えない荷物の少なさに、ちょっとびっくり。

「社員には怒られるんですけどね、そもそもPCがキライ。だってさ、重いじゃない。だから、普段私はタブレットとスマホしか持ち歩いていません。本当はタブレットすら持ち歩きたくないんですよ。タブレットも重たいもん」

その気持ち、すっごく分かる。でもなんだかんだで無いと不安で、外出の時は「とりあえず」でPCを持ち歩いてしまう女性もたくさんいるはず。

SNS業界で仕事をしているので、一番大切なのはやっぱりスマホだと思っています。ユーザーさんが私たちのデザインを体験するのは、スマホ上がほとんど。資料とかデータとか、PCじゃないと確認しづらいものはもちろんあるんだけど、不便でもスマホで確認しちゃったりします。

そのおかげで気づいてしまったんだけど、書類やデータもスマホで確認できるようになっていった方が良いと思わない? 不便だなっていう気づきから、新しいビジネスって生まれると思うのよね。誰かがやらないと当たり前は変わっていかない。だからまず、うちの会社としてはスマホで書類やデータがチェックできるよう、システムや体制を移行していっているところです」

スマホで資料やデータがチェックできて、移動の時はスマホだけで仕事が完結できたら……世の中の多くの女性が、きっとそう願ってきたはず。てるやさんはすでに、時代の一歩先を行っていた。

ちなみに、スマホの後ろにはクレジットカードや身分証と少しの現金が入っていて、スマホケースがお財布を兼ねているのだそう。ここ数年はコンパクトウォレットが流行しているけれど、てるやさんのモットーでいくと、財布は財布として持ち歩く必要はないのだとか。

「いくつかの機能を兼ねられるアイテムを選ぶと、持ち歩くものが少なくなって良いですよね。別にモノを減らすことが目的じゃないんだけど、自分が幸せで心地良く暮らすために、要らないものは持ちたくないの。でも自分にとって心地良いものなら、荷物が重くなっても持ち歩きます。デザインアイデアの構想を練る時は、スマホでメモするよりもペンで紙に書きたいの。だからペンケースは持ち歩いています」

なんでもかんでも、モノが少ないのが正義ってワケじゃない。自分に必要なもの、好きなものはきちんと持ち歩いているてるやさん。要らないもの、要るものの基準は「私を幸せにしてくれるアイテムかどうか」。はっきりしていてぶれない価値観が、彼女の真ん中にすっと通っている。

「アクセサリーは好きだから、たくさん持ち歩いてます。かさばらないけど、つけるだけで印象が変わるでしょう? でも、つけたり外したりするのは面倒だから、つけたままお風呂に入ったりできるようなものを集めています。華奢なアクセサリーも可愛いし大好きなんだけど、私は外したら失くしちゃうと思う。毎日つけ外ししている女性、全員褒めてあげたい」

当たり前に疑問を持つてるやさんは、時に私たちが「当たり前」と思ってやっていることを褒めてくれる。そんな彼女だからこそ、少なくとも今の時代は珍しいホテル暮らしを実践できているのだろう。

ホテル暮らししているのも、今の自分の価値観に固執したくないから。家を持たないと、フットワークが軽くなります。どこでも暮らせるから、行きたいところに行くための枷がなくなるんです。私はまだ独身なのですが、いつか結婚もしたいなって思っているし、ひとり暮らしのための家具って、いつかいらなくなっちゃうものだったりする。

もったいない、を理由になにかを諦めるのはイヤ。家具はホテルに揃ってるし、この仕事バッグと旅行用のトランク一つ、あとはクラウドサーバー。その他はこのホテルの一室にあるものが、今の私に必要なすべて。私の幸せの定義はね、自分の意思で選択ができること。好きな場所で好きな人と、好きな時間を過ごしたい」

そう言いながら、彼女は「足りないものはね、買えば良いしね」と言っていた。てるやさんは沖縄の海くらいおおらかでゆったりしていて、そして自由だった。

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