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メタ認知とは? 意味とトレーニング方法

秋カヲリ

「メタ認知」という言葉を知っていますか? 自分の言動や考えを客観的に認知することを意味します。今回は、心理カウンセラーの秋カヲリさんに、メタ認知が高い人の特徴や身につけるメリット、トレーニング方法まで解説してもらいます。

「メタ認知」の能力が高い人は、冷静な判断ができるため、問題解決力が高い傾向があります。

プライベートではもちろん、仕事でも的確な判断ができるので、多くの人から信頼される存在です。

感情的になってしまったり、悩みが多かったりする人はメタ認知を鍛えると生きやすくなるでしょう。

今回は「メタ認知」の意味を解説し、メリットや簡単な鍛え方まで解説します。

メタ認知の意味は?

まずは、メタ認知の意味を紹介します。

メタ認知とは「自分の言動や考えを客観的に認知すること」

メタ認知とは、自分の思考や感情、記憶や判断などを客観的に認知することで、自分自身の言動や考えを客観的に評価する状態を意味します。

「自分が知っていることを知っている」とも表現され、自意識が強い現代人ほどメタ認知能力は高い傾向があります。

メタ認知は哲学の発祥とされる

メタ認知はアメリカの心理学者であるジョン・H・フラベルが1976年に定義した「メタ記憶」がベースとなっています。

さらにさかのぼると、ギリシャの哲学者・ソクラテスが唱えた「無知の知」もメタ認知だといえます。これは「私は私が知らないことを自覚している」ということです。

つまりメタ認知は、哲学の発祥にもなっている、歴史ある概念ともいえるでしょう。

メタ認知が高い人の特徴

それでは、メタ認知が高い人にはどんな特徴があるのでしょうか。

よく見られる特徴をピックアップして解説します。

(1)中立的で平等

メタ認知が高い人は、偏見や個人的な好みの左右されず、冷静に分析・思考できるので中立的です。

主観的な意見を言ったり、偏った行動をしたりすることはありません。

仕事やプライベートでも他人の印象や状況によって判断を鈍らされることなく、公正・平等を好み、さまざまな情報を踏まえて冷静な判断をします。

そのため、あらゆる考えの人から信頼される存在でしょう。

(2)感情的にならない

自分を客観視できないと主観的になり、感情的になることが珍しくありません。

メタ認知が高いと自分の状態を冷静に捉えられるため、感情のコントロールがうまく、必要以上に心が乱されることはないでしょう。

もし感情的になっても「今は冷静じゃない状態だ」と自分で認識できるので、いったん心が落ち着くまで待つなどして、感情的な行動をしないように自制します。

(3)じっくり調べてから判断する

メタ認知が高い人はとても論理的かつ理性的で、自分が中立的な見方ができるように情報収集したり質問したりして、あらゆる観点から事実を検証します。

観察眼も鋭く、直感や勘に頼らずに最善の判断ができるように時間をかけて解決策を追求し、的確な判断をします。

結論にすぐ飛びつかず、過程を大事にするのが、メタ認知が高い人の特徴なのです。

メタ認知を鍛えることのメリットは?

人材教育でも、メタ認知は重要なスキルだとされています。

ここでは、メタ認知を鍛えることで、仕事やプライベートにどんなメリットがあるか解説します。

(1)問題解決力が上がる

メタ認知が鍛えられれば、的確な判断ができるようになり、問題解決能力が上がります。

今の状況と問題が起きている原因を冷静に分析・解明することで、最適な対策が考えやすくなるのです。

どうすれば今よりいい状態になるかを考え、適切なプロセスをイメージできるようになれば、難しい仕事もスムーズに進行できます。

ただし、プロセスに時間をかけすぎると納期に間に合わなくなったり、考えすぎて深みにはまってしまったりするので、全て1人で抱え込まず他人と協力して取り組む姿勢を忘れないようにしてください。

(2)感情に流されなくなる

仕事でも恋愛でも、感情的になると判断力が鈍ります。

感情に流されて正しい判断ができず、仕事でミスしたり信頼関係が崩れたり、恋愛で深刻なケンカに発展したりするケースは珍しくありません。

メタ認知を高めることによって、ビジネスで重要視されるアンガーマネジメント(イライラや怒りの感情をコントロールすること)のスキルも上がるでしょう。

ただ、あまり理性的になりすぎると人間味がなくなったり、共感能力が下がってしまったりするので、多少は感情に基づいて行動するのも大切です。

(3)人間関係が良好になる

メタ認知を鍛えれば、自分を客観視したり、感情をコントロールしたりできるようになり、円滑なコミュニケーションをしやすくなります。

自分を客観視できないと一方的な意見を相手にぶつけてしまうことがありますし、感情的になれば強い言葉をぶつけてしまうこともあるでしょう。

こうした行動は信頼を損なうため、相手との関係に亀裂が入ってしまうのです。

メタ認知を鍛えることによって、相手に合わせた冷静な対応ができるようになるため、仕事でもプライベートでも良い人間関係を築きやすくなります。

メタ認知のトレーニング方法

では、どのようにメタ認知を鍛えたらいいのでしょうか?

最後に、おすすめのトレーニング方法をいくつか紹介します。

(1)自問自答する

自分を俯瞰して認知する習慣をつけるために、自問自答するクセをつけるのがおすすめです。

例えば、怒りを感じたら「私は今なんで怒っているんだろう?」「どうして~に怒ったんだろう?」「どうすれば怒りを感じなかったんだろう?」と、どんどん自問自答して、自分の本音を探っていきましょう。

そうやって自問自答しているうちに冷静になり、自分が今何を考えているのか、何を望んでいるのかなどが分かってきます。

その結果、メタ認知の能力が上がって、感情に流されずに理性的な判断ができるようになります。

(2)考えていることを書く

自問自答がうまくいかなければ、思っていることを片っ端から紙に書き出していくフリーライティングをしてみましょう。

どんなことでもいいので、今の感情や悩みなどを10分ほど紙に書き続けてください。

自分をうまく認知できないのは、自分で自分の心に壁を作っているせいかもしれません。

その壁を取り払うために、とにかく紙に書いて自分の内面をさらけ出す練習をするのです。

それによって自分でも気づかなかった感情や願望に気づき、自分の知らなかった一面を知ってメタ認知が高まります。

メタ認知でベストな選択ができるようになる

メタ認知ができるようになると、自分が葛藤した時や悩んだ時に自分を冷静に客観視できるので、解決の糸口をつかみやすくなります。

自分のことだけでなく、他人のことや仕事のことなども冷静に捉えられるようになり、仕事がスムーズに進むようになったり、コミュニケーションが円滑になったりと多くのメリットが生まれます。

メタ認知を高めて、最善の判断ができるようにしていきましょう。

(秋カヲリ)

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