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「お体に気をつけて」は正しい敬語? 意味や使い方を解説

何気なく使っている人も多い「お体に気をつけて」という言葉。目上の人に失礼にならないよう、正しい使い方を覚えておきましょう。語彙解説が得意なライターの律さんが、「お体に気をつけて」の意味と使い方を解説します。

「お体に気をつけて」は、手紙やメール、年賀状など日常のさまざまなシーンで見かける言葉です。相手を気遣うフレーズではあるものの、どのようなシーンで、どのような相手に使うのが適切なのか、あいまいになってしまう方は少なくありません。

そこで今回は「お体に気をつけて」の意味や使い方を例文と併せて分かりやすく解説します。

「お体に気をつけて」の意味

「お体に気をつけて」とは、言葉が表す通り相手の健康を気遣う言葉です。

具体的に「気をつける」は「ある物事に対して心を掛けること」「注意すること」の意味。「お体に気をつけて」は「健康でいてくださいね」と直で伝えるよりも柔らかな表現であり、身近な人とのコミュニケーションによく用いられています。

季節の変わり目や夏本番、冬本番など、体調を崩しやすい時期に相手を気遣うあいさつとして使う場合が多いでしょう。

「お体にお気をつけて」がより丁寧な表現

「気をつけて」の前にも「お」をつけた方が、丁寧さが伝わります。「お体にお気をつけて」は二重敬語では? と思うかもしれませんが、この場合は二重敬語には該当しません。

二重敬語とは「尊敬語+尊敬語」のように同じ種類の敬語を重ねて使うこと。「お体」は丁寧語、「お気をつけて」は尊敬語なので二重敬語ではありません。

「お体」と「お身体」はどちらが適切?

「お体」を「お身体」と表記するのは誤りではありません。読みに関しても、どちらも「おからだ」でほぼ同じ意味を指します。

ただし、身体は通常「しんたい」と読むことが多いため「お体」と表記した方が読みやすいといえるでしょう。また、常用漢字でも「体」という漢字が使われています。

「お体にお気をつけて」を使う場合の注意点

「お体にお気をつけて」は便利なフレーズである一方、使用時にはいくつかの注意点があります。ここからは、より丁寧な「お体にお気をつけて」という表現の使い方を詳しく整理していきましょう。

相手が体調を崩している時には使わない

既に体調を崩しているのを知っていて、「お体にお気をつけて」を使うのはやや失礼な印象です。「お体にお気をつけください」よりも「体調にお気をつけください」の方が体調を労わる意味合いが強くなります。

体調を崩している場合には「一日でも早い回復をお祈り申し上げます」「お大事になさってください」などの表現が適切でしょう。

「くれぐれも」「どうぞ」などをつけると丁寧

「田中部長、お体にお気をつけてください」という言い方だと、場合によっては命令口調に聞こえてしまう恐れがあります。

もちろん相手を気遣う意味としては誤りではありませんが、より丁寧さを伝えられるよう「くれぐれも」「どうぞ」などワンクッション置くようにしましょう。

「お体にお気をつけて」の使い方(例文つき)

「お体にお気をつけて」を具体的にどんな場面で使うのが正しいか気になる方も多いはず。ここでは「お体にお気をつけて」を使う場面を例文と併せて紹介します。

年賀状

年賀状といえば1月。そして1月は風邪が流行る時期でもあるため、年賀状のあいさつ文には「お体にお気をつけて」がよく使われます。

目上の人から職場の先輩や同僚、知人まで、幅広く使えます。

例文

・どうかお体にお気をつけて、良い一年をお過ごしください。

・どうぞ皆さま、お体にお気をつけて健やかな毎日をお過ごしください。

・本年もお体にお気をつけて、お仕事に邁進(まいしん)されてください。

メールや手紙のあいさつや締め

「お体にお気をつけて」はメールや手紙にも使えます。

メールや手紙で使用する場合は、季節に合わせた文言と共に使用するのがおすすめです。

例文

・当分暑い日が続きますが、お体にお気をつけて、健やかにこの夏を乗り切ってください。

・まだまだ寒い日が続きますので、どうぞ皆さまお体にお気をつけくださいませ。

・くれぐれもご無理をなさいませんよう、お体にお気をつけてお過ごしください。

退職や引っ越しなどのお別れ

退職や引っ越しなど、お別れのあいさつやエールを送る際にも「お体にお気をつけて」はよく用いられます。

環境が変わると体調を崩しやすいため、十分に気をつけてというメッセージを伝えます。上司や先輩に対しても使えるので、気が利いた一言として受け止めてもらえるでしょう。

例文

・新天地でもお体にお気をつけてお過ごしください。

・田中部長、カナダはとても寒いので、お体にお気をつけていってらっしゃいませ。

・お体にお気をつけて、風邪など引かないようにしてくださいね。

「お体にお気をつけて」の類語・同義語

「お体にお気をつけて」には他に類語や同義語が多数あります。状況や相手に応じて使い分けることができる他、敬語のバリエーションも広がるため、できるだけ多くの類語や同義語を知っておくと良いでしょう。

ここでは「お体にお気をつけて」の類語や同義語を例文と併せて紹介します。

ご健勝をお祈り申し上げます

「ご健勝(ごけんしょう)」は体調が優れていて健康であることを意味します。

ただし「ご健勝」は個人の健康を労わる言葉であり、会社や企業全体には使わないため注意が必要です。

例文

・田中様のご健勝とご多幸をお祈り申し上げます。

ご自愛ください

「ご自愛」は「自分を愛する」と書くので、「心も含めて体を大切にする」という意味があります。つまり「お体にお気をつけて」とほぼ同じ意味です。

「愛」という言葉が柔らかい印象を相手に与えるので、堅苦しい表現を避けたい時におすすめ。

ただし「お体ご自愛ください」とは使いません。「ご自愛」が体を指す言葉であるため「体」が重複するので注意しましょう。

例文

・季節の変わり目ですので、どうぞご自愛くださいませ。

お体大切にお過ごしください

「お体にお気をつけて」よりも相手の健康を気遣っていることを強調したい時は、「お体大切にお過ごしください」が適切です。

ただし、人によってはなれなれしい印象に捉えられてしまうので、目上の人より近しい立場の人に使うのが良いでしょう。

例文

・寒い日が続きますので、お体大切にお過ごしください。

健康にはご留意ください

「お体にお気をつけて」よりも丁寧な印象を与えたい時は「健康にはご留意ください」で代用しましょう。

「ご留意」には「気にする」という意味があります。「注意・用心」よりはやや弱い印象ですが、目上の人を労わる言葉としては適切です。

例文

・連日のように寒い日が続きますので、くれぐれもお体にご留意ください。

お大事になさってください

既に体調を崩している人に対してや、怪我や病気のお見舞いに使えるフレーズが「お大事になさってください」です。

「用心・自重」の意味を表し、病院でよく聞く「お大事に」もこの「お大事になさってください」が由来となっています。

例文

・お怪我の状態はいかがでしょうか。くれぐれもご無理はなさいませんよう、お大事になさってください。

「お体にお気をつけて」に対する返事

今度は「お体にお気をつけて」を自分が言われた場合についてです。感謝の気持ちを伝えるのは当然として、具体的にどのように返答するのが適切なのでしょうか。例文と併せて解説します。

まずは相手の気持ちに感謝を伝える

「お体にお気をつけて」と言われたら、最初にお礼の一言を添えましょう。

単に「ありがとうございます」ではそっけない印象になってしまうので注意しましょう。「お気遣い」「お心遣い」などの言葉も添えて、相手の気持ちを尊重するのがポイントです。

例文

・お気遣いいただきありがとうございます。

・お心遣いに感謝いたします。

・温かいお言葉を掛けていただきありがとうございます。

次に相手の健康を気遣う一言を伝える

感謝の気持ちを伝えた後は、こちらからも相手の健康を気遣う一言を伝えましょう。

「ご自愛ください」「健康にはご留意ください」などバリエーションを増やしておくのがおすすめです。さらに相手の言葉をそのまま使うのではなく、少し言い回しを変えるのが自然な流れとなります。

例文

・ありがとうございます。田中様もどうぞご自愛ください。

「お体にお気をつけて」の英語表現

「お体にお気をつけて」と海外の取引先や知人に伝えたい時、日本語よりも英語で言えた方が会話もスムーズに進みます。ここでは「お体にお気をつけて」の英語での伝え方を紹介します。

例文

・ Please take care of yourself.
(お体にはお気をつけて)

・Please take good care of yourself.
(くれぐれもお体にお気を付けください)

「お体にお気をつけて」を適切に使おう

今回は「お体にお気をつけて」の意味や例文、さまざまなシーンで使える類語や同義語を具体的に紹介しました。普段何気なく「お体にお気をつけて」と使っていたかもしれませんが、相手や状況に合わせて使いこなせば、印象がさらに良くなります。

年賀状、手紙やメール、お世話になった方の旅立ちになど、どんなシーンであっても相手への気遣いを伝えることが何よりも大切です。「お体にお気をつけて」を積極的に使っていきましょう。

(律)

※画像はイメージです

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