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【心理学】レジリエンスとは? 意味や高める方法を紹介

心理学の基本

桑野量(心理カウンセラー)

「レジリエンス」という言葉を知っていますか? 回復力や再起力という意味を持つレジリエンスは、心理学では「問題や課題をうまく解決して乗り越える力」を示します。心理カウンセラーの桑野量さんに、レジリエンスの意味や高める方法を解説してもらいます。

「レジリエンス」という言葉を聞いたことはありますか?

レジリエンスは「回復力」や「再起力」を意味する言葉。近年では、ビジネスの場面でもよく見聞きするワードになりました。

ストレスや変化の多い現代社会で、このレジリエンスの高さをより求められる場面もあるかもしれません。

今回は心理学で用いられる「レジリエンス」の理解を深めて、仕事や社会で役に立てられるようにしましょう!

レジリエンスの意味は?

まずは、レジリエンスの意味や概念を見ていきましょう。

レジリエンスとは「問題や課題をうまく解決して乗り越える力」

レジリエンス(resilience)は、「回復力」や「再起力」などを意味する英単語です。

心理学では、困難や逆境に対して「うまく適応できる能力」や「問題や課題を解決して乗り越える能力」を「レジリエンス」といいます。

このレジリエンスが高いほど、逆境や困難をうまく乗り越えることができる傾向にあります。

先の見えない時代だからこそ求められる能力

社会状況や労働環境の変化、人間関係の多様化など複雑化していく現代社会。その中で、しっかりと適応していく能力として、レジリエンスが重要視されるようになりました。

変化が激しく、先の読めない時代だからこそ、柔軟に適応できる能力が求められるのです。

レジリエンスが高いことで、職場の人間関係や仕事のストレスにもうまく対応でき、心と体のバランスを崩すのも避けられます。

また、顧客のニーズや社会の変化にも適切に対処できるようになり、困難を乗り越える力として、組織からも高く評価されるでしょう。

レジリエンスが高い人の特徴

では、レジリエンスが高い人にはどのような特徴があるのでしょうか?

ここではいくつかの特徴を紹介します。

(1)感情をコントロールできる

社会や組織の変化、複雑な人間関係の中でも大きなストレスを抱えることなく、ネガティブな感情に影響されることがありません。

ネガティブな感情を我慢や抑圧できるというよりも、うまくコントロールしつつ発散する能力を持っています。

(2)物事を前向きに捉える

困難や逆境の中にいても、物事を前向きに捉えられます。

状況や未来を前向きに捉えることで、それを乗り越える方法やするべき行動を適切に判断できるのです。

(3)コミュニケーション能力が高い

レジリエンスが高い人は、自分だけの力では限界があることを知っています。

そのため、周りとうまくコミュニケーションをしながら問題や変化に対応していくことができます。

レジリエンスを高めるためのトレーニング方法

レジリエンスは生まれながらに身についた先天的なものではなく、経験や知識によって後天的に身に付けて成長することができるものです。

人間は、自分では何もできない赤ちゃんの頃から、少しずつ能力を身につけて社会や人間関係に適応していきます。そのように適応する力として、レジリエンスは誰もが持っている能力なのです。

ここでは、レジリエンスを高める方法をいくつか紹介します。

(1)成功体験を重ねる

成功体験を積むことで、逆境や困難に遭遇した時もネガティブな感情に支配されず、その成功体験が自信となって前向きに捉えられます。

大きな成功体験を求める必要はありません。小さなことでも積み重ねていくのが大切です。

大きな問題に直面した時は、ついつい自分の過去の成功体験を忘れてしまうことがあります。小さな成功体験を記録して、振り返ることができるようにしましょう。

(2)感情の整理をする

ビジネスでは思考が優位になってしまって、つい感情を抑圧しすぎてしまいます。

しかし、抑圧された感情がストレスになって、仕事に支障をきたすことがあります。

そのため、こまめに感情の整理を行っていきましょう。誰かに気持ちを話したり、紙に書き出したりなど、客観的に自分の感情を整理することを意識してください。

(3)休息をしっかりとる

レジリエンスが高いからといって、休むことなく頑張り続けられるわけではありません。むしろ、しっかり休養をとって、困難や変化に対応できるエネルギーを蓄えておくことが大事です。

不規則な食事や睡眠不足も、判断・思考能力を低下させてしまいます。体調面でのメンテナンスにも意識を向けましょう。

(4)自己肯定感を高める

自分に対してネガティブな評価をしている状態では、物事を楽観的に捉えることも、自分の能力を信じることも難しくなってしまいます。

自己肯定感を高めるためにも、自分に否定的な言葉を使っているなら、それをやめる意識を持ちましょう。

また、ささいなことで良いので、自分の1日を振り返って褒める習慣をつけるのも大切です。

自分に対してポジティブな言葉を掛けることで、自己肯定感も変化していきます。

(5)信頼関係を構築しておく

信頼関係を築くことで、あなたの安心感にもつながります。その安心感が逆境の時でもあなたを支えてくれます。

周囲との信頼関係を築くためには、自分の能力が高くないといけないと思ってしまうかもしれませんが、誰かに頼ったり任せたりするだけでも信頼関係は築くことができます。

コミュニケーションにおいて素直さと感謝はとても重要です。それらを意識して、普段から積極的に周囲と関わっていきましょう。

レジリエンスは誰にでも高められる

問題や状況にうまく対応できなくて、自分のことを「できない人間」「心が弱い」と評価してしまう場面もあるかもしれません。

しかし、人には、できないことを乗り越えていく力がちゃんと備わっています。

立ち止まって考えるばかりでは、ネガティブな思考から抜け出せなくなってしまいます。

変化や困難な状況の時こそ、自分にできる行動をしていきましょう。たとえ失敗しても、その経験こそがあなたを成長させてくれます。

さまざまな経験を積むことで、それがあなたの糧になってレジリエンスを高めてくれるはずです。

(桑野量)

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