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デリケートゾーンの黒ずみが気になる。黒くなる原因と簡単ケア方法

宋美玄(産婦人科医・医学博士)

デリケートゾーンが黒ずんでいるような気がする……。そんな悩みを持っている人は意外と多いのではないでしょうか。そもそも、なぜ黒くなるのでしょう。その原因と、どうすれば対処できるかについて産婦人科医・医学博士の宋美玄先生に伺ってみました。

他人と比べたことはないけれど、なんだか私のデリケートゾーン、黒ずんでいる気がする……そんな悩みを抱いたことのある人は少なくないでしょう。

デリケートゾーンやV・I・Oゾーンはなぜ黒ずんでしまうのか、黒ずみを治すにはどうしたらよいのかについて、一緒に考えてみましょう。

デリケートゾーンの黒ずみとは

デリケートゾーンとは、一般的に恥丘、大陰唇、小陰唇、陰核(クリトリス)などの外から見える女性器=外性器のことを指す言葉です。V・I・Oゾーンの「I」~「O」の部分というとわかりやすいかもしれません。

ところで女性の皆さんは、自分のデリケートゾーンを見たことがありますか? 見たことがある人は、この部分の皮膚が手足や顔などよりも「黒ずんでいる」と感じたのではないでしょうか。じつはこれには理由があります。

メラニンが多いデリケートゾーンは、もともと黒ずみが目立つ部位

デリケートゾーン周辺の皮膚には、メラノサイトという色素細胞が多く存在しています。このメラノサイトは肌や毛髪、瞳の色を作るメラニンという色素を生成しています。メラニンの量はメラノサイトの数に伴って増減し、皮膚内に存在するメラニンの量が多ければ多いほど、皮膚の色が黒く見えるようになっていきます。

ということは、メラノサイトが多く、メラニンの量も多いデリケートゾーンの皮膚は、周囲の皮膚より黒ずんでいるのが自然な状態ということ。つまりデリケートゾーンが黒ずんで見えるのは、当然のことだったです。

セックスの経験が豊富だと黒ずんでいる? それはウソ!

「アソコが黒い女性は男性経験が豊富で遊び人」といったうわさを耳にしたことのある人もいるかもしれませんが、それは真っ赤なウソ。都市伝説に過ぎません。

腟の入り口(腟口)は粘膜なので、そもそも摩擦で黒ずむようなことは基本的にありません。デリケートゾーン周辺の皮膚が黒ずむのは、さきほども説明したようにメラニンが豊富で、そもそも黒ずみが起こりやすい部位だから。セックスの回数に影響されることではないので、黒ずんでいるように感じても、気に病む必要はないですよ。

デリケートゾーンが黒ずむ原因

「デリケートゾーンは黒ずんでいて当然」とはいえ、黒ずみが気にならない程度の人もいれば、かなり目立ってしまう人もいます。こうした違いは先天的、つまり生まれつきの肌の色やメラノサイトの数の違いも関係していますが、後天的な影響も少なからずあるようです。

黒ずみが目立つということは、皮膚の中のメラニンの量が増えているということ。メラニンには紫外線に当たったり、皮膚がダメージを受けたりすると増える性質があります。

デリケートゾーンは紫外線に当たることがあまりない部位ですので、それ以外の何かしらのダメージが皮膚に与えられてメラニンが増え、黒ずみが目立っている可能性が考えられます。ダメージの原因となるものとは、たとえば以下のようなことです。

(1)下着や服による摩擦

きつい下着や服を身につけていると、デリケートゾーンの黒ずみが目立ってくることがあります。下着や服と肌の摩擦によって皮膚がダメージを受け、メラニンの生成が促されてしまうためです。下着のほか、生理用ナプキンも摩擦の原因になりやすいといわれています。

(2)洗うときの刺激

デリケートゾーンを清潔にしようとするあまり、洗うときに強くこすってしまうと、それが刺激となってメラニンの生成量を増やし、皮膚が黒ずんでしまう可能性が考えられます。

(3)妊娠

妊娠によって女性のホルモンバランスが急激に変化すると、皮膚の色素沈着が起こりやすくなります。乳首、乳輪、腋、へその周囲や傷跡が黒ずむほか、お腹に紫や茶色の「妊娠線」が見られたり、へそから陰部を結ぶ正中線(せいちゅうせん)と呼ばれる黒い線ができたりすることがあるのと同様に、デリケートゾーンの黒ずみも強くなっていきます。

この妊娠による色素沈着は出産後、徐々に目立たなくなっていきますが、消える時期には個人差があり、人によっては数年にわたって残ることもあります。

このほか、若い世代におこることはまれですが、皮膚がんの一種である乳房外パジェット病がデリケートゾーン周辺に発生した場合、色素沈着が生じることがあります。

デリケートゾーンの黒ずみを改善するセルフケア方法

知らず知らずのうちにデリケートゾーンの皮膚を刺激し、黒ずみが目立つようになってしまった……そんなとき、以下のような方法を試してみると、多少なりとも黒ずみが改善できるかもしれません。

(1)洗うときは、やさしく丁寧に

デリケートゾーンを正しく洗えていますか? もしかすると正しく洗えていないために、本来ならばはがれ落ちているはずの古い皮膚がそのままになって、黒ずんだように見えていることがあるかもしれません。まずはデリケートゾーンをやさしく、丁寧に洗うことから始めてみましょう。

よく泡立てた、デリケートゾーン専用のソープを使って、やさしくなでるように洗うのがおすすめです。ただし、洗いすぎは黒ずみを増やすことにつながります。くれぐれも注意しましょう。

(2)保湿をする

正しい方法でデリケートゾーンを洗った後は、できれば保湿もしっかりと行ってみてください。乾燥も肌に黒ずみを出やすくする原因のひとつです。デリケートゾーン専用の保湿クリームやミルキーローションなどのアイテムを使い、ケアするとよいでしょう。

(3)締め付けの少ない下着にする

デリケートゾーンの黒ずみは下着による摩擦の影響が大きいとされています。一般的な女性用のショーツは、脚を通す部分のゴムがデリケートゾーンに当たる形状になっているため、摩擦が起きやすい傾向にあります。

たとえばボクサー型やTバックなど、デリケートゾーンが下着で直接こすれないようなデザインのものに変えることで、黒ずみが軽減されるかもしれません。

そのほか、セルフケアではありませんが、美容整形外科などでレーザーを当てるなどすると、皮膚の黒ずみが改善されることもあります。どうしても黒ずみが気になるという人は、美容皮膚科を受診し、専門医に相談してみるという手もあります。

日々の生活でのNG習慣

何気なく行っていた日々の習慣が、皮膚の黒ずみを悪化させる原因になっているかもしれません。こんな習慣に心当たりがあったら、すぐに見直しましょう。

(1)ゴシゴシこするのはNG

黒ずみをなくしたいからといって、ナイロンタオルで強くこするように洗ったり、トイレで拭くときに、必要以上にゴシゴシと力を入れたりするのはNGです。黒ずみがなくなるどころか、かえって悪化させてしまう可能性があります。デリケートゾーンには力を入れず、やさしく触れてください。

(2)デリケートゾーン周辺を締め付けるのはNG

前述のとおり、デザインやサイズが体に合っておらず、締め付けの強い下着は、摩擦による刺激でデリケートゾーンの黒ずみを悪化させてしまうかもしれません。また、あまりにタイトなボトムスも、デリケートゾーンの摩擦の一因になることがあります。

黒ずみが気になるのであれば、ゆったりとしたデザインや、足の付け根付近に余裕のあるサイズの服を選ぶのが無難でしょう。

(3)不適切な脱毛方法はNG

アンダーヘアは、デリケートゾーンのかゆみやにおいの原因になるといわれています。そのため、処理しておいたほうがより清潔さを保てるのですが、処理方法によっては皮膚に刺激を与えて黒ずみを目立たせてしまうことがあり、注意が必要です。

カミソリで剃るなど、刺激の強い方法でアンダーヘアを処理するのは避けたほうがよいでしょう。なお、処理後はきちんと保湿をすると、黒ずみ予防にさらに効果的です。

気にしすぎず、でもデリケートゾーンのことは大切に

どんな人でもデリケートゾーンは、少なからず黒ずんでいるものです。黒ずみがあるからといってコンプレックスを感じ、気に病む必要はありません。が、デリケートゾーンの状態を意識し、観察しておくこと自体は、とても大切なことといえます。

日常的にチェックやケアをすることで、もしも異常が生じた場合にも、早めに気付くことができるでしょう。黒ずみ防止に限らず、大切なデリケートゾーンのケアはぜひ続けていってください。

(監修:宋美玄、取材・文:山本尚恵)

※画像はイメージです

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