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「潔癖症」って病気なの? 特徴や克服法をチェック

ゆうきゆう

「トイレの便座に座れない」など、潔癖症のような症状に悩んでいませんか? 今回は、精神科医のゆうきゆう先生に、潔癖症の特徴や原因、克服法を詳しく教えてもらいます。

「つり革に触れられない」
「人の作ったものが食べられない」

と感じたとき、「自分ってもしかして潔癖症!?」と思ったことはありませんか?

潔癖症とは病気なのでしょうか? また、治るものなのなのでしょうか? 今回は潔癖症の特徴や克服法を詳しくお教えします。

潔癖症とは?

例えば誰かが肩に触れたら「汚れたのではないか?」と感じてしまう。また、つり革に触れると「何かの病気がうつるのではないか」などと怖くなってしまいつかめない。

そんなふうに、根拠もなく周囲のものが汚れている気がして触れられないなどの症状を「潔癖症」といいます。これはもともと周囲からストレスを感じやすい、敏感な心理の持ち主に表れやすい症状です。

「症」とつくからには病気の一種ですが、精神科では「不潔だと思うことで、日常生活に困難が生じるかどうか」で病気かを判断します。つまり、何か触りにくいものなどがあっても、本人が特に問題にしていないようなら「病気」ではないといえるのです。

逆に、潔癖症的な行為が自分でも気になってしまい日常生活が送りづらくなる場合は、それは「病気」であると判断します。

あなたも同じ? 潔癖症あるある

では、「潔癖症」の人にはどのような特徴があるのでしょう。「潔癖症あるある」をご紹介します。

(1)非合理的なこだわりを持っている

本人なりのこだわりが過剰にいきすぎてしまい、合理的な行動が取れないという点が潔癖症の持つ大きな特徴のひとつです。よくある行為例として、以下のようなものがあります。

・他人のものになるべく触れたくない
・つり革に触れられない
・他人の咳などを必要以上に嫌がる
・手を何度も過剰に洗う

潔癖症の人が手を過剰に洗うのは「病気がうつらないため」であるといいます。

しかし、その反面手を洗うことだけに熱心で、風邪予防に有効な「栄養を摂る」「休養を取る」など、その他のことについてはまったく考えません。それを他人から指摘されても、自分の考えを改めることはなかなかありません。

このように非合理的な「こだわり」を強く持ちます

(2)部屋が汚い

潔癖症の人の部屋は、案外汚いことが多いのです。

なぜかというと、潔癖症になるような人は周囲からのストレスに敏感なことが多く、何かに集中しようとしても他のことが気になって集中できないからです。

ですので、秩序立てて行わなければならない掃除などの作業がなかなか進みません。潔癖症の人は何かを論理立ててやる、つまり「次はこれ、その次はこれ」と順序正しくきちんとやるのが苦手なのです。

なおかつ、潔癖症の人は、自宅の汚れには甘いのです。自分の範囲のものですといくら汚れていても気にならない傾向にあります。

潔癖症になる原因

もともと発達障害を持つ場合に、「これでなければ」というこだわりをとても強く持っているという可能性はあります。

しかし、育った環境も大きく影響する場合が多いでしょう。例えば、親が寛容な性格だったら子どもも寛容になることが多いのですが、こだわりが強い親だと子どもにもその傾向が表れることがあります。

潔癖症は恋愛にも影響するのか?

例えば、デートのとき。箸の使い回しや飲み回しなど、やはりいろいろと気になってしまい、相手にストレスを感じさせてしまうかもしれません。

ただ、付き合いが進んで慣れ親しんでくると、相手を自分の範疇のものと認識するようになります。そして、自宅が汚くても気にならないのと同じように、相手に対しても潔癖症的な行為を起こさなくなります。

ですが、そこまでの間柄になるまでに時間を要するので大変でしょう。

潔癖症の克服法

若いときは過剰な潔癖症状に悩まされていても、年を取るにつれて過剰であった精神エネルギーが低下してくるので、症状が落ち着いてくることもあります。

今すぐにできる対処法としては、まずは心配事を書き出すことです。

「つり革が持てないのが嫌」「手を洗いすぎるのをなんとかしたい」など、困っていることを書き出すことによって、悩みを明確にすると対策も立てやすくなります。

例えば日記には「手を洗った回数」、「つり革を持たずに踏みとどまった回数」などを記します。「今日は5回、昨日は8回」など。そのとき、できれば「してしまった回数」より「我慢できた回数」などポジティブな行為のほうを優先的に記入してください

ある心理実験で「たばこを吸った本数を記録してください」と指示すると、たばこを吸う本数が増え、「たばこを我慢した回数を記録してください」というと吸う本数が減ったという調査結果があります。

人は意識したことを無意識に奨励されているように感じるものなのです。ですから、「してしまった回数」より「我慢できた回数」を記録したほうが潔癖症の克服に有効です。

過剰に思いつめないで

潔癖症は「治そう」と意気込んでもすぐに治るものではありません。ときが経てば軽くなると信じて過剰に思いつめたりせず、できるだけ気にしないことも大切です。

とはいえ、潔癖症の症状によって日常生活があまりに過ごしづらく感じるときには、メンタルクリニックといった専門機関で専門家のアドバイスを受けるようにしましょう。

ひとりで悩まず、一緒に対処していきましょうね。

(ゆうきゆう)

※画像はイメージです

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