いい男を探し疲れた人へ、いい男を“育てる”発想のススメ #オンナの敵が教えるオトコの本音
女の敵のような数々の暴言で知られるロマンチックプランナーの朧さんが、男女間の綺麗ごとに斬り込み、オトコ側のエグい本音を大暴露。夢見がちなアラサー女性のための連載「オンナの敵が教えるオトコの本音」、まだまだクレーム覚悟で連載第8回です。
マイナビウーマン読者のみなさまこんにちは。
最近『ジョーカー』という映画を観たんですよ。映画史に残る“悪のカリスマ”がどのようにして生まれたのか、ホアキン・フェニックスが熱演した話題作なんですが、映画を観終わって思ったのは、この手の映画が他人事でない感情移入を伴って鑑賞できるようになったいまの世相は、ずいぶん不安や孤独が強い時代になったな、という憂鬱な寂しさでした。
そういえば風も冷たくなってきた最近です。なんというか、世の中にこれほど「いい男を探すノウハウ」が溢れているのも、こうした不安や孤独が強い世相をどこか反映しているのではないか、と思ったロマンチックプランナーの朧です。
ハロウィンとクリスマスの独り身がほぼ確定しつつあるアラサー女性のみなさま、いかがおすごしでしょうか。
ちなみにネットの見解をあれこれ渉猟すると、一年のうちでもっとも恋人ができやすいのは冬前、10月くらいだというデータがあるようです。 ほんとかな。
一体どうすればいまからハロウィンやクリスマスまでにカレピ の調達が間に合うことがあるのだろうか(いや、間に合わない)。 ※反語
さて今回のテーマは、端的に言うと「もういい男を探すのは諦めろババア」という話です。
「貴様、恋愛コラムを標榜しておいて『いい男を諦めろ』とはどういう了見だコラ!」とマイナビウーマン編集部に鬼電かましたくなるお気持ちは分かるんですが、どうかもう少しだけ話を聞いてくださいババア。
実は「いい男」は「探す」ものではなく「育てる」ものなのです。
いい男を“探す”発想の底にあるもの
これは常々不思議だったことなんですが、「好きな男」ではなく「いい男」から探そうとする女性心理はどのあたりにあるのでしょうか。
自分のスペックを差し置いて恋人のスペックから自慢しはじめる典型はTwitterでもよく見かける顕示欲ですが、これは男性側にはあまり見られないやつです。
いつも思うんだけど、女の人が「付き合っている相手のステータスが自分のステータスに算入されると思い込みがちな誤解」はどこから来ているのか。ろくな持ち物もない女の人は男の肩書きや名刺と恋愛するしかないのが気の毒。だから名刺のように消費されるんだよ。
— 朧 (@OB_RT) August 1, 2016
なんというか、現代の幸福は、他者から追認されて初めて“幸せ”としての実感を得られるような満足になってしまった気がします。
「いい男」と付き合う。相手はイケメンでハイスペだし将来の不安もなさそうだ。話題のスポット()で匂わせ投稿をすれば、フォロワーから「いいね」までもらえる――。
こうした打算から周りに自慢できる「いい男」や将来も安心できる「いい男」を探そうとする態度は、どちらかといえば“消費者的”であり、ここにすべての間違いがあるような気がします。恋愛はインスタ映えでも保険でもないんですから。
ただ、こうしたアラサー女性にありがちな打算的な選好には、いまや没落途上国と化した日本全体の不安を色濃く反映している印象もあり、ことさら責められるべき性質にも思えません。
とはいえ、こうした状況のなか、消費者的に、あるいは条件検索的に「いい男」を探す発想ばかりに目が曇ってしまうと、ほんとうに「いい男」を見落としてしまうのではないか、その危惧を率直に申し上げたのが冒頭の「もういい男を探すのは諦めろババア」という提言でした。
では、「いい男」を「探す」のではなく、「いい男を“育てる”発想」とはどのようなものでしょうか。
男の欠点を許容して“育てる”
実は15~16年くらいまえ、半ばヒモのような暮らしをしていました。ひとあし先に社会人になった同棲相手の女の子から毎日1000円程度のお小遣いをもらって、学校に行くふりをしながら部屋に籠ってゲームをしたり、小難しい本を読んではどこに寄せるでもない文章を書いたりしている毎日でした。
いい生活だと思いますか?
どうやら人間は、自分自身の無力感にそう長くは耐えられない仕様になっているようです。いまにして思えばたぶん幸せだったんですが、当時はひねもす井の頭公園のカモを眺めながらひたすら苦しかった記憶があります。
結局なんとか社畜として業界の底辺からキャリアをはじめ、やっと堅気に近づいてきたのがここ数年です。
紹介したケースはやや極端な事例ではあるんですが、精神的には女性よりも格段に幼い男が人間的にやっと完成してくるのはたぶんアラサーになってからで、そして、よくできた完成品ほどさっさと売れてしまうのはキャリア系アラサー女性のみなさまにとっても身に覚えのある痛感ではないでしょうか。
こうした市場環境でもっとも賢いアラサーの戦略は、完成品としてできあがった「いい男」を探すことを諦め、「こいつなら修理すればいい男になるかも」という男を不良品のなかから探す古民家リノベーション戦略です。
以下にオススメを挙げておきます。
といっても3パターンしかありません。今日はここをメモしてください。
ターゲットその1【とにかくダサい、女慣れしていない】
学歴や社会的なステータスは人並み程度にはありながら、自信のなさからコミュ障気味で、服装はカジュアルブランド、靴はダサ靴、下手するとマジックテープでビリビリ開く財布まで持っていそうな化石じみたタイプです。
いわゆるオタクであることが多く、三次元よりも二次元に興味があるケースも多いんですが、まれに元々の素材はまあまあ捨てたものではないオタクもいます。
彼らこそ世間知で勝るアラサー女性が狙うべきターゲットです。どうせなら年下も射程に入れましょう。
彼らのいちばんの問題は本人の自信のなさからくるコミュ障ぶりなんですが、これは恋愛などで少々“成功”体験を積めばわりと容易に改善されることが知られています。というか、童貞なら一発やらせればすぐに落ちるので楽です。
たぶん最初は彼ら独特の論理や常識に戸惑うことが多い気もするんですが、自尊心を傷つけないようにしながら、根気よく世の中の道理や常識をアップデートしてあげてください。必ず言葉が通じるようになります。
ターゲットその2【社会性皆無のロマンチック系クズ】
無職のヒモなどがこれにあたります。
いい歳してミュージシャンを目指していたり、小説家や漫画家を目指していたり、己の珠なるべきを半ば信ずるがゆえに、碌々として就職ができないでいる『山月記』の李徴みたいなタイプです。
最近では口だけ意識高めの起業系の亜種も見られるようになりました。いつの時代にもいる定番のクズジャンルです。
この手のタイプの課題は、第一に身のほどを知ってもらい虎になるまえに就職してもらうことです。
ひとまずは彼らの才能に理解を示すふりをしながら、大人の女性として社会参加へ上手く誘導しましょう。映画『南瓜とマヨネーズ』のような甘やかしはダメです。ブラックな制作会社など、できるだけ過酷な労働環境に放り込んでください。
というのも、社会性のない彼らがここまで図々しく生き延びてきたのは中途半端にモテたりしたからで、遊び散らかしているヒマがない環境に追い込むことは下半身の更生にもつながるからです。ゼ○シイで殴るまえにタ○ンワークで泡を吹くまで殴りましょう。
どうせ働きだせば病んだなんだと言いはじめますが、そのときは少しだけ甘やかしてあげてください。たぶんすぐに懐きます。
以上の2パターンです。
ターゲットその3はどうした 、というツッコミはさておき、彼ら不良品をなんとか更生させて「いい男」にしたあとでも、付き合っていく上で大切な心がけがひとつだけあります。
それは――
いずれ放流するつもりで付き合う
いい男を探すのは諦めたうえ、せっかく育てた「いい男」まで放流しろとはどういう了見だ? と叱られそうなんですが、これはとても大事な話なので黙って聞いてくださいババア。
どうやら人間には「自分が愛されてきた分までしか他者を愛せない」性質があるようです。
愛情の本質が犠牲と受容にあることは以前に述べた。けれども愛情は、他者からの愛情に励起される性質があり、その人がなし得る愛情は、その人が愛されてきた積分に等しく、誰からも愛されなかった人間は、やはり誰も愛せない。
— 朧 (@OB_RT) June 29, 2014
自分が愛された分までしか誰かを愛せないとすれば、これは人間についてずいぶん残酷な真理を言い当てている気がするんですが、虐待を受けた子どもが大人になっても愛着障害を引きずることが多い点を考慮しても、この説には一定の信憑性がありそうな気はします。
ところが、最近聞いた話でちょっと気になるものがありました。それは、「自分が愛されてきた分までしか誰かを愛せない」としても、「自分が誰かを愛した分までしか“他者から与えられた愛情”には気がつかない」というものでした。
つまり、他者から与えられる愛情の深さや重みに気がつくためには、自分も同じように誰かを愛した経験を要する、というのです。
なるほどなと唸りました。大人になってから親の愛情にやっと気がつくのはそういうことか、とも。
「いい男」には程遠い不良品を「いい男」に育て上げ、いずれ放流するつもりで付き合う、というのはそういうことです。誰かに無償の愛情を与えることではじめて、自分がどれだけ愛されてきたかにも気がつく仕組みになっているわけです。
もうお分かりではないでしょうか。
「いい男」を探すのに疲れたアラサーの女性が狙うべき最後のターゲットは、かつてあなた自身が不良品の烙印を押して手放した男性です。
あなたが誰かを愛せるなら、あなたも必ず誰かに愛されていたはずです。
いますぐ昔の男をリストアップしましょう。
そのなかには、いまにして思えば愛されていたことに気がつく男がいるかもしれないし、ほかの女に育てられて見事な“完成品”になっている男がいるかもしれません。
クリスマスまでに間に合うのは彼らです。
「いい男」を探すのは諦めましょう。
ほんとうに「いい男」は案外、不良品のなかに眠っていたりするものです。
(ロマンチックプランナー 朧)
※画像はイメージです