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人と比べてしまう原因は何? この癖をやめるには【心理学】

小日向るり子

ついつい人と比べてしまう性格。比べては落ち込む癖。つらいだけなのにどうして人と比べてしまうのでしょう? 心理カウンセラーの小日向るり子さんに、この性格の原因と対処法を教えてもらいました。

私たちの悩みの多くは、人と比べることから派生したり深まったりしていることが多いです。

「周りは人と上手にコミュニケーションが取れるのになぜ自分はできないのだろう」。
「同期の昇進から自分は完全に遅れをとっている」。
「友人がどんどん結婚していくのに自分は出会いもない」。

人と比べない自分になれたらどんなに楽だろう、と思っている方は多いのではないでしょうか。

今回は他人と比べてしまう心理の原因と、この癖への対処法をご紹介したいと思います。

人と比べてしまうのって例えばどんな時?

人と比べてしまう性格の人もいれば、他人は気にせず「自分は自分」と考えられる人もいます。

では、人と比べてしまう性格の人は、例えばどんなシーンで他人と自分を比較してしまうのでしょうか。

(1)インスタで知り合いのキラキラした生活を見た

インスタなどのSNSを見ていると、大好きな恋人や結婚相手がいて、毎日楽しそうに暮らしている人。かわいい子どもの写真をUPしたり、微笑ましい子育てエピソードを投稿したりしている人。

そこには、知り合いのキラキラした生活が広がっています。

一方の自分はインスタに投稿したいような出来事もなく、変わり映えのない日々。他人の人生を「うらやましい」と感じてしまうことがあるでしょう。

(2)仲の良い友達が結婚した、彼氏・彼女ができた

「私たち結婚できるのかなあ」なんて言い合っていた友達に恋人ができて、おまけに結婚が決まって幸せそう……。

もちろん喜ばしいことですが、「自分は一生独身なのかもしれない」「相手がいない自分はダメなんじゃないか」なんてしんどい思いを必死で隠す瞬間があるかもしれません。

何となく婚活をしてみてもなかなかうまくいかなかったりすると、幸せそうな友達には相談できず1人で悩みを抱え込んでしまいがち。結婚や恋人の有無で幸せが左右されることはないと分かっていても、つい人と自分を比べて落ち込んでしまうのが本音です。

(3)友達に子どもができた、子育てが楽しそう

独身の間は結婚しているかどうか、いざ結婚したら、今度は子どもがいるかどうかを比べてしまう人もいます。

子どもを生んだから幸せかなんて、誰にも分かりません。それに、楽しそうに育児のエピソードを話す友達も、実は陰で悩んでいるのかもしれません。

生き方は人それぞれだと分かってはいても、子どもがいることがついうらやましいと感じてしまうことって、ありますよね。

(4)友達がダイエットに成功し、容姿が磨かれている

容姿を人と比べてしまうこともあるかもしれません。

ダイエットに成功してきれいになった友達に対して、自分はストレスで暴飲暴食を繰り返してばかり。理想の体型からは程遠い状態だと、「自分はダメだ」と落ち込んでしまうことがあります。

(5)同僚や友達の給料が上がった、昇進した

社会人になると、仕事の能力や努力が評価される環境に置かれる人も少なくありません。

そんな状況で、職場の同期がどんどん昇進していくのに自分は、友達に比べて自分の給料が少ない……なんて、周りと自分を比較して落ち込んでしまうことも。

これは仕事だけでなく、スポーツの世界や学歴、大学受験などでも言えることかもしれません。

人と比べてしまう原因

なぜ人と比べてしまうのでしょうか。

以下に考えられる原因をいくつか挙げてみます。

ご自分に当てはまる要因がないかチェックしてみてください。

(1)負けん気が強い(勝ち気)

順位がつくことになると力が発揮できる、遊びのゲームでも負けると非常に悔しい、など負けん気が強い性格。

勝負事に勝つと、脳からアドレナリンという快楽物質が出ます。この快感を知るとまた味わいたいために、よくも悪くも常に他人を意識して行動する癖がつきます。

優越感を味わいたくて、必死になってしまうのです。

(2)自分に自信がない

上記に挙げたものとは真逆の心理状態です。

この性格形成には親から褒められることが少なかった、きょうだいと比較して怒られることが多かった、といった幼少期の教育が関係していることが多いです。

(3)優柔不断

たとえば、独身の友人と旅行に行ってとても楽しい気分で帰宅したのに、SNSで子どもと一緒に写っている既婚の友人の写真を見たら、独身で呑気に旅行していた自分が惨めになって落ち込む。

そんなふうに人の言動によって自分の価値観や気分がコロコロ変わってしまうタイプです。

(4)閉鎖的な地域性

生き方の多様性が認められにくい地域に住んでいる場合。

その地域で考えられている平均的な生き方、こうあるべき、という人生から少しでも外れると自分が思っている以上にまわりから奇異な目で見られます。

そうした地域性が、次第に人の目を気にして他人を意識する性格形成につながっていきます。

人と比べてしまう性格はなぜつらいのか

原因はさまざまありますが、人と比べてしまう性格はつらいですよね。ではなぜつらいのでしょうか。

人と比べること、あるいは過去の自分や未来の自分と比べることを「相対的幸福認識」といいます。

一方、比較することなく感じる幸福は「絶対的幸福認識」といいます。

人は、絶対的幸福認識を手に入れないと真の意味で幸せを感じることはできないといわれています。人と比較をしはじめたらキリがないからです。

日本だけでも約1憶人いるのに、さらにそのうちのひとりであるAさんと比較したとして、Aさんの収入、Aさんの容姿、Aさんの家族、など多角的に比較していくとそれこそキリがなくなります。

限られた人生の時間に対して比較事象が極端に多すぎるのです。心は当然疲弊します。

参考記事はこちら▼

あなたの「劣等感の強さ」を診断で詳しくチェックしてみましょう。

人と比べてしまうのを辞めたい。悩んだ時の対処法

それでは人と比べてしまうとき、どのような対処法を取ったらいいのでしょうか。

人と比べないコツを紹介します。

(1)比較している人をきちんと考えてみる

漠然と他人と比較して悩んでいる方もいますが、臨床では

「会社の○○さんをいつも意識して落ち込む」。
「高校時代の友人のSNSを見たくないのに見てしまう」。

など特定の比較対象がある場合も多いです。

こういう方はその対象の人のことを考えてみましょう。あなたはその人が見せる一部だけ切り取って劣等感を抱いているだけではありませんか?

SNSに載せている子どもと楽しそうな写真はその人の瞬間でしかありません。それ以上の何を知っているのでしょうか。

大人になればなるほど人は当たり障りのないことしか公にしないものです。一面だけを切り取って劣等感を感じることはナンセンスです。

(2)素直に「うらやましい」と言ってみる

前述の「人と比べてしまう原因」で挙げた「負けん気が強い」にご自分が該当すると思う方はぜひやってみてください。

比較して落ち込むのではなくて、「ああーうらやましいなあ。私もあんな風になりたい!!」と素直に認めてみるのです。

白旗をあげるのは恥ずかしいことではありません。その気持ちを憧れに近づくエネルギーに変えるほうがずっと生きやすいです。

(3)他人をけなさない

匿名性を楯に他人をディスったり傷つけたりする文章をネットに書く人たち。最近社会問題になっていますよね。

この行為は自分は匿名という守られたところにいつつ、他人と自分を比較して他人を貶め、優越感に浸ることが安易にできるので癖になります。

ストレス解消として深く考えずに書き込む人も多いですが、これも他人と自分を比較しているということです。しかも他人を貶めることで満足感を得ているのですから悪しき習慣です。

(4)情報を取捨選択しすぎない

ネット社会の台頭によって、情報や映像は受け身から主体的に選んでいくように変わりました。

それによって気になることだけネット検索する、興味のある動画だけを見る、など無意識に自分にとって都合のいいものしか取り入れない人が増えています。すると視野が狭くなり、同じ比較対象しか現れないなんてことに。

結果、悩みのサークルをグルグルするだけになります。

ニュースはひと通り目を通す癖をつける、誘われて時間があったらとりあえず行ってみる、など心のアンテナを広くすることを心がけましょう。

人と比べそうになった時に思い出したい言葉

人と比べそうになった時、「自分は自分」という言葉を思い出してください。

自分にとって一番快適な状態は、自分らしくいること。恋人や結婚相手と幸せそうな人をうらやむ自分も、子どもと幸せそうにしている人をうらやむ自分も、全部愛すべき自分です。

完璧な人生なんて、きっと誰も送ることができません。うまくいかないことや悩み事、後悔を抱えながらも、前に進もうともがいているあなたはかっこいいし、魅力的。

そこに気づけたら、人と比べてしまう悪い癖が少しずつなおっていくかもしれませんよ。

人と比べなくなると幸福度は上がる!

比較をするときの心理というのは、自分が比較したいある事象だけを取り上げて「だからあの人は自分より幸せそうだ」とトータルの幸せに置き換えて考えがちです。

しかし、何から何まで幸せな人なんていません。傍からそう見える人でも実は他人には言わない悲しみや苦しみを心に抱えているものです。

人と比較するのではなく、他人の心に思いを馳せることができる人間になっていきましょう。

きっと生きるのが楽になるはずですよ。

(小日向るり子)

※画像はイメージです

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