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好きなものがない私。「受け身」「流され」恋愛体質を克服したい

関由佳

何が食べたいかを聞かれて、「あなたの食べたいものを」と答える。人や物に好き嫌いやこだわりがなく、相手の要望を自然に受け入れるあなたは、とても“つきあいやすい”人。ただ、適度な距離感の関係性で有効にはたらくその性質も、恋人にとっては、「気持ちがわからない」「主張がなくてつまらない」「愛されている実感がない」と、理不尽な別れの理由になってしまうことも……。“本当に好きという感情がわからない”“夢中になれるものがない”、この原因はどこにあるのでしょう。心理カウンセラーの凛音さんが分析します。

選択を迫られると「なんでもいい」と答えてしまう……。これは答えるのが面倒というだけでなく、特に好きなものが本当になくて、「なんでもよい」と発している人もいます。

相手の要望を優先できるという意味では「やさしい」「つき合いやすい」と思われがちですが、深い関わりをすることになる恋人やパートナーとしての立場になると、悩みの種になることも。

場合によっては、別れの原因にもなりうる“好きなものがない問題”。このように、受け身タイプや流され体質なタイプの原因と対策について考えてみましょう。

“好きなものがない問題”を抱える人が持つ性格とは

好きなものがない

何を聞いても「なんでもいいよ」「あなたが好きなほうでいいよ」と答える人、あなた自身やあなたのまわりにもいませんか?

このような“好きなものがない人”には、2つの傾向があります。

ひとつは「本当になにごとにも興味関心がない」という“天然タイプ”。もうひとつは、「本当は好みがあるのに反射的に抑えてしまう」という“ガマンタイプ”です。

それぞれに見られる具体的な心理を見てみましょう。

責任を負えない

好きなものがない

こちらは“天然タイプ”に見られる考え方。自分で選択した責任を自分で担うという意思や経験に乏しく、おのずと、なにごとも他人に判断をゆだねてしまいます

デートの店選びや服選びといった小さなことだけでなく、進学先や就職先、場合によっては結婚相手といった人生の大きな決断さえも、親に任せてしまうという人も。

「母親が『いい』って言ったから」「〇〇さんが好きらしいから」というように、自分のこともひとごとのようにとらえている受け答えをしがちです。

成功体験をしていない

好きなものがない

こちらも天然タイプの傾向で、今までの人生で大きな成功体験をしておらず、達成感を味わっていないため、なにごとにも興味を示せないことがあります。

自分から告白してOKをもらえた、ダイエットしたら合コンで異常にモテたなど、自分の選択や努力が功を奏したという経験をしていると、その先の野心や目標も、自然とできてきます。

いわば、成功体験はインプット。人間は体験で学んだ情報や知識をインプットし、その先のアイデアや考えをアウトプットして導きだします。

つまり元のデータがなければ、その先の執着やこだわりが持てないということ。圧倒的に経験が不足しているのです。

失敗体験が足を引っ張っている

好きなものがない

上記とは逆に、失敗体験がインプットされたことで意欲がなくなり、“好きなものがない”という状態になっている場合もあります。

また、親やまわりの環境が行動をストップさせることも。「他人にやさしくしなさい」「お兄ちゃん・お姉ちゃんなんだから」という言葉を小さな頃から過剰に言われ続けていると、無意識に自分の欲求を抑えるようになり、思考が“好きなものがない”状態になってしまいます。

「どうせ自分が選ぶとうまくいかない」「相手の意見を優先させないといけない」と考えてしまい、自分で選択をしなくなってしまうのです。

こちらは“天然タイプ”と“ガマンタイプ”両方に見られる傾向です。

嫌われたくない

好きなものがない

“ガマンタイプ”の傾向で、自分が勝手な選択をすることで相手に嫌われたくないと思ってしまい、つい「なんでもいいよ」「あなたの好きなものでいいよ」とつい答えてしまいます

選択できないだけでなく、この考え方をする人は頼まれると「イヤ」と言えなかったり、いつも中立を貫く、という傾向も。

恋愛においても、「嫌われたくない」という気持ちから、特に好きなわけでもない相手からの告白を受けてしまったりします。

自分を守る手段として、“好きなものがない”状態になってしまうのです。

気を使いすぎる

好きなものがない

こちらも“ガマンタイプ”によくみられる傾向。根がやさしく、人と人の結びつきをなによりも大切にしたいと考えるので、周囲に波風が立つことに、悲しみや恐れを抱きます。

それゆえに、無意識的に「好きなものがない」と自分の意志や欲求を出さず、相手が気持ちよく動けるようにしたくなってしまうのです。

参考記事はこちら▼

消極的で受け身でいたい「受け」と積極的で常に攻めている姿勢の「攻め」。あなたはどちらのタイプですか? 10の質問で診断します。

好きなものがない人が注意したいこと4つ

このように“好きなものがない”という状態になっている人は、はたから見れば「気使いをしてくれるいい人」と思われがちですが、裏を返すと「自分の意見がない」とも言えます。

立場や状況によっては、相手や自分自身を苦しめることも。

“好きなものがない問題”がどんな影響を与えるのか、いくつか挙げてみましょう。

責任を押し付けられる

好きなものがない

「好きなようにしていい」と答えると、相手に選択責任が及びそうに感じますが、場合によっては真逆になることもあります。

相手はあなたの言葉を「OK」と解釈し、何か問題が起きたときに「あなたが『好きにしていい』って言ったから」と責任を押しつけてくることに。

つまり、相手任せの言葉は、自分にも責任が発生する状態を作り出すということ。しかも、自分の意志ではない決定事項の責任を負うことになるのです。

すべての主導権を握られる

好きなものがない

恋愛などの人間関係において、主導権を相手にゆだねるのは楽ではありますが、不満を感じても言えない立場になってしまいます。

食事のメニューやデートの場所にこだわらないという程度なら、相手に任せていてもそれなりに楽しく過ごせそうですが、告白や結婚、別れといった大きな節目のときに相手に主導権を握られっぱなしでいると、思ってもみない方向に話が進んでいくことも。

たとえば、本当に好きな人かどうかわからないのに告白を受けてしまった、結婚する気はまだなかったのに相手の親と会うおぜん立てをされてしまった、自分の気持ちをろくに聞かずに相手に別れを告げられた……などです。

普段から主導権がない立場だと、重要な局面においても、その関係性は変わりません。むしろ、相手が通したい要望であればあるほど、立場は弱くなるでしょう。

「なんで話を聞いてくれないんだろう」と思っても、その関係性はそれまでの自分が作り上げたものなのです。

相手をイラ立たせる

好きなものがない

恋人やパートナーなら、相手の気持ちを知りたいと思うのは自然なこと。特に人生をともに生きたいと思う相手ならば、なおさら一緒に考えて選択をしていきたいと思うはずです。

しかし、何を聞いても相手が「なんでもいい」「好きなものでいいよ」しか答えないと、最初こそ「気を使ってくれている」と思えても、その主体性のなさにだんだんとイラ立ちを覚えるようになります。

意見がないということはつまり、無視されるようなもの。相手は無責任につき放されたような気持ちになり、悲しみを募らせ、やがてそれが怒りに変わっていくことも

「好きなものがない」という立場からすれば、気を使って自分の意見をあえて言わないということもあるでしょうが、それは見当違い。相手は「意見を交わしたい」「一緒に選びたい」と思っているので、 “のれんに腕押し状態”のあなたに、相手はフラストレーションをためてしまいます

場合によっては、別れの原因にもなるでしょう。

自分にストレスがたまる

好きなものがない

いくら好きなものがないといっても、人間ですから、やはり嫌なことはあるはず。

「こんなはずじゃなかったな」「ガマンしなければよかった」とふり返るたびに、後悔や苦しい思いをするでしょう。

また、日ごろから相手に合わせて自分の感情をガマンする癖があると、不満が積もりストレスとなって、ひどいときは心を病むことも。

こだわりや執着がないのは周りにとって「楽」でも、ただ流されて自分の意思と異なる決定を受け入れることは、ときに「苦しみ」をもたらすのです。

参考記事はこちら▼

「草食系女子」とは、自分からなかなか行動が起こせない女性を指します。今回は、あなたの「草食系女子度」を10の質問で診断します。

ポイントは意識の変換! “好きなもの”の見つけ方

受け身であることは問題だ、ということがわかったとしても、やはりすぐに能動的に動けるものではありません。

“好きなものがない問題”の解決にはまず、意識を変換してみること。考え方を変えるヒントをいくつかご紹介しましょう。

自分を知る

好きなものがない

好きなものがない人は、成功体験の不足や失敗経験を気に病んでいることが多く、“自分を知ること”から目をそむけがちです。

本当に好き嫌いという感情がない人はいません。ただ自分のことをわかっていないだけなのです。

「私は何も夢中になれないんだよなぁ」とあきらめる前に、まずは自分に興味を持つことからはじめましょう

子どものころ好きだった絵本、選びがちな色、心地よいと感じる音楽のジャンル、過ごしやすい季節、味つけの傾向、行ってよかったと思う国や地域、うれしかったこと、悲しかったできごと……これらは一例ですが、客観的に自分をとらえてプロファイリングしてみると、さまざまな点が線となり、自分のことが少しずつ見えてきます

さらに客観的に自分を知りたいなら、心理学に基づいた性格診断テストを受けてみるのもいいでしょう。

自分が何を好きで何を嫌いなのかを自己分析できれば、こだわりや人生の方向性も自然と見えてくるはずです。

自分を第一に考える

好きなものがない

これは上で述べた“ガマンタイプ”の人にいえることですが、自分の意見を言わないということは、結果的に、自分を大切にしていないということ。相手優先の考え方は人間関係を円滑に進めやすいですが、自分を二の次にして、無意識に自らを苦しめています

まずはなにごとも自分を第一に考える努力をしてみましょう。

この自分第一は、いわゆる「自己中」とは異なります。自分勝手に考えるということではなく、「自分の意思を尊重する」ということ。

たとえば、彼は「ラーメンが食べたい」と言うけれど、あなたが「ラーメンよりカレーがいいな」と少しでも思っているなら、その希望はガマンせずに相手に伝えましょう。

ラーメンはイヤ、ではなく、あなたがカレーを食べたいという気持ちを説明すればいいだけ。意見を言うことは“反発”ではなく“議論”なので、彼とプレゼンし合えばいいのです。

そこで彼の言うことに一理あればそれに賛同すればいいですし、彼が自分の意見を理解してくれれば自分の希望がかない、“ガマンというストレス”を抱えずに済みます。

意見を表明することを恐れなければ、自分を大切にできるのです。

他人任せな言葉を封印する

好きなものがない

相手に選択を任せるほうが楽ですから、つい「なんでもいい」と他人任せな答えをしたくなる気持ちもわかります。ですが、意識を変えたいならば、ここはグッとこらえましょう。

どんなに小さなことでも「あなたの好きなほうでいい」「どっちでもいいよ」という言い方は封印。「私はこっちがいい」「どちらかというとこうしたい」というように、多少あいまいでもいいので、主体的にどれかを選ぶようにしましょう。

“選ぶ”という行動をくり返せば、頭が「こっちが好きなもの」「これは嫌いなもの」と自然と分類するようになりますので、選ぶことが苦ではなくなるはずです。

好きなものがない”と悩むあなたへ

いまの世の中、好きな人との大恋愛や、好きを仕事にした人を称賛する傾向にあります。おだやかな人にとって、不必要な劣等感を植えつけられることもあるでしょう。

しかし、たいていの人にとって、恋愛や仕事は非ドラマチックなもの。必ずしも、何かに強いこだわりを持ったり、夢中になったりする必要はないのです。

とはいえ、やはり一度しかない人生に彩りは添えたいもの。「この人が大好き!」「仕事がおもしろい!」と心が動かされる瞬間が少しでもあると、日常も少し華やかになります。

あなたが今、「好きなものがない」「本気で人を好きになれない」と感じているならば、まずは意識を少しずつ変えて、自分を愛してあげましょう。あなたが自分自身と向き合うことで、考えがクリアになり、本当に必要なことや必要な人が見えてくるはずです。

(凛音)
※画像はイメージです。

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