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「結婚を年齢で考えると失敗する」は本当か

にらさわあきこ(文筆家、美容研究家)

結婚を考えたときに、自分の年齢によって焦ることってありますよね。一方で、年齢による焦りから結婚すると、失敗したり、後悔したりする、なんて話も聞かれます。果たして年齢から結婚を考えるのはアリなのでしょうか? 数々の結婚や婚活に関して取材をされてきた文筆家のにらさわあきこさんに、詳しく教えてもらいました。

結婚したいと思うけれども彼氏もいないし、婚活もしていない。

「このままのん気にしていたら、手遅れな年齢になってしまうのだろうか」と焦ることってありますよね。

女性が結婚を考えたときに、降りかかってくる年齢問題。いわゆる「適齢期」というのは、どれくらい意識するべきものなのでしょうか。私と一緒に考えていきましょう。

日本人の結婚年齢と理想の結婚年齢

実際に結婚している人たちは、何歳くらいで結婚しているのでしょうか。また、独身女性が考える「理想の結婚年齢」とは何歳くらいなのでしょうか? まずは、国のデータとアンケートから見ていきましょう。

女性の初婚平均年齢は29歳

厚生労働省が発表している「平成28年度人口動態統計特殊報告」によると、平成27年における女性の初婚平均年齢は29.4歳でした。男性の初婚平均年齢は31.1歳です。

日本では、男女ともに初婚平均年齢が年々上昇する傾向にあり、10年前に比べて約2歳数値が高くなっています。(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai15/dl/kekka.pdf

その背景には、女性の進学率の上昇や共働き世帯の増加などがあると思われます。

理想の結婚年齢

続いては、「理想の結婚年齢」について20~30代の未婚女性にとったアンケート結果を見ていきましょう。

Q.あなたの理想の結婚年齢とは以下の中ではどれですか? 自分の気持ちに一番近いものをお選びください。

・20代前半(20歳~23歳)(2.6%)
・20代半ば(24歳~26歳)(21.5%)
・20代後半(27歳~29歳)(47.2%)
・30代前半(30歳~33歳)(21.0%)
・30代半ば(34歳~36歳)(5.1%)
・30代後半(37歳~39歳)(1.3%)
・40代以降(40歳~)(1.3%)
※有効回答390件。単数回答式

アンケート結果を見ると、20代後半で結婚したいと考える女性が47.2%と半数近くを占めました。20代半ばと、30代前半がそれぞれ約2割で続きました。

内閣府男女共同参画局の「男女共同参画白書 平成29年版」によれば、2018年度の女性の大学・短大への進学率は57.1%で過去最高となっています。(http://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/h29/zentai/html/honpen/b1_s05_01.html

「学校を卒業して、仕事に慣れてから結婚したい」と思うと、「結婚するのは、20代後半くらいかな」と考えるのは自然なことでしょう。

また、アンケートでは9割以上の女性たちが「30代前半までに結婚したい」と考えているようです。これは「出産のリミットを考えて、35歳までには結婚しておきたい」と多くの女性が思うからだと考えられます。

では、結婚には適正と思われる年齢や、結婚が難しくなってくる限界年齢というものが本当にあるのでしょうか?

結婚に適齢期はあるのか

いわゆる適齢期という概念は個々人によってちがうものです。

ですが、結婚した女性のデータを見てみると、平均初婚年齢から大きく離れない中で結婚している人が現実には多いようです。

そのことから、平均初婚年齢付近を「適齢期」と呼ぶ、という考えもあるのかもしれません。

結婚に難しい年齢や手遅れな年齢はあるのか

では、結婚の上限年齢や厳しくなる年齢というのはあるのでしょうか。

実のところ、何歳になっても結婚する女性は存在していますから、厳密な意味での上限はありません

ただし、未婚率の変遷を見てみると、2005年の国勢調査で30代後半女性の未婚率が18.7%だったのに対し、2015年国勢調査における40代後半女性の未婚率は16.1%でした。

このことから、30代後半で未婚の人は40代後半でもほとんどが未婚のままである確率が高いといえます。(国立社会保障・人口問題研究所資料 http://www.stat.go.jp/data/kokusei/2015/kekka/kihon1/pdf/gaiyou1.pdf

また、50歳時点での未婚率を表す“生涯未婚率”は、2015年の調査では、女性は14.1%でした。2010年では10.7%、10年前の2005年では7.3%でしたので、生涯未婚率は年々上昇していることがわかります。

実際の婚活現場を見てみると、アラフォー女性の多くが同世代の男性を希望するのに対し、男性は年下女性を希望する傾向にあります。マッチングの可能性という意味では、年齢が上がるにつれて確率が低くなっていくという事実はあるでしょう。

これらの事実から30代後半を「厳しい年齢」「限界年齢」と捉える、という考え方をする人もいるのだと思います。

結婚に年齢は関係ない?

結婚に年齢が関係ないといえるかどうかは、「確率」をどう捉えるかという問題になってくると思います。

たとえば、東大合格率が10%の高校があったとして、一生徒にとっては受かるか落ちるか100か0なわけです。その高校全体の合格率が10%だとしても、「受験資格なし」と門戸が閉ざされるわけではありません。

婚活や結婚においても一緒で、自分ひとりにとっては、「結婚する」か「結婚しない」かの2択の結果になるわけです。

とはいえ、結婚に年齢はまったく関係ないと言い切れるかというとそんなことはなく、年齢を重ねることにより、「結婚を遮る(邪魔する)要素」が増えてくるというのはあると思います。

結婚を邪魔する要素というのは、本人のやる気や容貌の変化、生活習慣や病気の有無、家族関係などのことです。

結婚について長らく取材してきた私からすると、「女性の結婚」が年齢によって左右される事実があるとしたら、年齢そのものが左右するというよりは、結婚に至りづらくするさまざまな要素が年を重ねるにつれて増えてくるというのはあると思います。

結婚を年齢だけで考えると失敗する?

「29歳だから結婚しなきゃ」「35歳までに結婚しなきゃ」と女性はよく、年齢を意識して結婚を考えはじめますよね。

そういう思いでした結婚が吉と出るか、凶と出るかというと、何ともいえないというのが本音です。

年齢を意識して婚活をした結果、子どもを授かったり、かけがえのないパートナーに巡り合えたという女性は多いです。その一方で、年齢を意識しすぎるあまり、焦って結婚をして「失敗した気持ちでいるが、離婚に踏み出せない」「離婚して男性不信になった」と後悔している人たちがいるのも事実です。

つまり、年齢をきっかけにして結婚に至ったとしても、その結婚が成功するか、失敗になるかは、ケースバイケースということ。

年齢だけを意識して婚活をした女性が、20代後半に結婚し、早々に離婚するという例は多々あります。一方で実は、そういう女性たちは30代半ばに再婚しているケースが結構多いです。

「婚姻数の3分の1が再婚」というのが現実です。そう考えれば、「早々に経験して学ぶ」という生き方も一昔前よりも一般的になったような気がします。

一方、経験(失敗)をしていない側、アラフォー以上の未婚女性から、「もっと早く婚活していれば」「30代のうちに産んでおけばよかった」という声を聞くのもまた事実。

これらを鑑みると、年齢だけにとらわれて焦る必要はありませんが、ある程度の年齢ごとに自分の今後について見つめ直してみるのは重要なのかもしれません。

結婚を年齢で考えるのはアリ

世間ではよく、「結婚を年齢だけで考えると失敗するよ」などといわれます。

確かに女性だけに年齢をつきつける風潮には、私も疑問を覚えることもあります。

でも一方で、年齢を意識するからこそ、立ち止まって人生を考える機会があるというのも事実だと思います。

「適齢期」とされる年齢や、「結婚限界年齢」なども、意識すること自体はまちがいではないのかもしれません。

自分の心に何らかの引っ掛かりを感じるワードが出たときは素直にそのことを考えて、未来をイメージし直してみると、また新しい視点が生まれてくるのではないでしょうか。

(にらさわあきこ)

※画像はイメージです

※マイナビウーマン調べ
調査日時:2019年3月7日~3月10日
調査人数:390人(22~34歳の働く未婚女性)

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