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面接で「尊敬する人」を聞く企業の思惑とは? 好印象な答え方【例文】

藤井佐和子(キャリアアドバイザー)

朝日絵美瑠

面接で「尊敬する人」を聞かれる意図とは? もしもいない場合、突然聞かれても戸惑ってしまうはず。そこで今回は、面接で聞かれたときの回答例や実際の人物、尊敬する人の見つけ方をキャリアカウンセラーの藤井佐和子さんに聞きました。

採用面接で聞かれることの多い「尊敬する人は?」の質問。定番なので、事前に答えを準備しておきたい項目ですが、漠然としていて、どんな答え方が正解なのかわかりづらいですよね。

一体、企業はどんなことを知りたくて尊敬する人を聞くのでしょうか。

採用面接にくわしいキャリアカウンセラーの藤井佐和子さんに、企業の思惑や好印象な答え方について聞いてみました。ぜひ参考にして、面接に役立ててくださいね。

面接官が「尊敬する人」を聞くのはなぜ?

実は厚生労働省において、採用面接で「尊敬する人」の質問をすることは「配慮が必要」とされています。

それでも、企業が「尊敬する人」を聞くのはなぜでしょう。まずは、企業が面接を受ける人の何を知ろうとしているのかについて理解しておきましょう。

「尊敬する人」は面接で聞いてはいけない!?

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厚生労働省では、面接を受ける人のプライバシーにかんする質問を面接で聞かないよう配慮すべきとしています。

これに当てはまるのが、宗教観や思想、支持政党、そして「尊敬する人」などです。

公正な選考を行うため、そういったことで採用の合否を決めるのはNGとされていますが、あくまで「配慮が必要」とされているだけ。

面接官が質問することについては、許されているのが現状です。

「尊敬する人」の質問から見えるあなたのこと

この質問で、企業側があなたの何を知ろうとしているのかは、以下のようなことです。

(1)これまで受けてきた影響

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面接をする側は「尊敬する人」の質問から、履歴書に書かれている過去の肩書きや取得資格だけでなく、内面的なことも知りたいと思っています。

たとえば経理経験5年や簿記2級といったスキルを持っている人が、そのキャリアを積む中で、どんな人からどのように影響を受けてきたのか。さらに、その影響をどんな風に自分のプラスにしてきたのか、というような、言ってみれば“内面的な履歴”を探ろうとしているのです。

(2)明確なビジョンの有無

また、将来、「何ができるようになりたいか」だけでなく、「どのような人になりたいのか」ということを知るためにも「尊敬する人」の質問が使われます。

自分の目指す姿を持ち、それに向けてまい進できる向上心はあるか。さらに、目標達成意欲や気力なども見られています。

(3)パーソナリティ

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前述したように、厚生労働省では、面接を受ける人の能力や適性と関係のないプライバシーにかんする質問には配慮が必要としています。

しかし実際の面接では、「尊敬する人」を聞くことで、「どんな人なのか」を知る目安としています。それは、宗教や思想などではなく、どんな価値観の持ち主なのかを企業は知りたいのです。

その人物を尊敬する理由は「思いやりがあるから」「リーダーシップがあるから」など答えは人によってさまざまですが、それはその人が何を大切にしているのかという価値観に通じています。そのため、「尊敬する人」を企業は面接の質問として使う傾向があるのです。

女性が「尊敬する人」として答えやすい人物は?

「尊敬する人は?」と突然聞かれても、すぐに答えが浮かぶ人は案外少ないかもしれません。そのため、面接の当日までにあらかじめ答えを準備しておく必要があります。

参考として、女性が面接を受ける場合に、実際にどのような人物が答えとして挙げられているのかを紹介します。その人物を答えることで、面接官がどんな印象を持つのかについても解説します。これらを知っておくと、面接の場面で役立つときが来るかもしれません。

母親

親に大切に育てられ、いい家庭環境で育ってきた素直な女性だという印象を与えます。

しかし、親離れができていないため、ストレスに弱いのではないかと思われる可能性もあるので、その面についてはさりげなくフォローしましょう。

学校の先生

学生時代に先生から高い評価を受けていたのだろうと推測できます。ですから、思春期に基礎的な人格がしっかりとできていた、安心できる人物だと思われます。

しかし、素直すぎるために、言われたことだけを実行し、自分から課題を見つけられないのではないかというマイナスの印象を持たれることもあります。どうしてその先生を尊敬しているのか理由を明確にし、自分の積極性についてもアピールできるようにしましょう。

マザー・テレサ

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困った人がいたら手を差し伸べる思いやりのある人、公平に物事と向き合える人、といった印象を与えます。

マイナス面としては、公平性や平等性を重んじすぎて、全体にとっての最適な判断ができないのではないかといった見方もできます。

そのため、どんなときにマザー・テレサのような行動が必要だと感じるのかをきちんと説明できるようにしておくといいですね。

シェリル・サンドバーグ

FacebookのCOOである彼女を答えたら、企業にとってプラスとなる、キャリア志向の高い女性だと見られます。

しかし、理想が高すぎて、実力がともなわないのではないかと思われる恐れもあるので、しっかりと自分の築いてきた実績についてもアピールできるようにしましょう。

キュリー夫人

理系の女性がよく答えに挙げる人物です。熱心にひとつのことに集中して取り組める、責任感の強い女性だろうと期待できます。

その反面、物事に没頭しすぎてまわりが見えなくなるのではないかといった危惧も感じさせるので、協調性についてもさりげなく自分の考えを伝えられるといいですね。

前職の上司

前職でよい人間関係を築いていたのだろうと推測できます。実際のビジネスの場に身近なロールモデルがいたことで、誠実に仕事をこなせる人物だろうと好印象を持たれます。

ですが、上司や同僚によって左右されるのではないかというマイナスのとらえ方もできるので、新しい職場への意欲についてもしっかりと強調しておきましょう。

「尊敬する人」を答えるときのOK例&NG例

「尊敬する人は?」の質問に対して、単に人物名を挙げるだけではもちろん採用につながりません。面接での答え方について、具体的な例文とともにポイントをまとめました。いい例とダメな例を見比べながら、自分の答えを考える参考にしてください。

採用に近づく「好印象な例文」

「私の尊敬する人は、前職の上司だった課長です。常に私たちメンバーにチーム目標を丁寧に語ってくれ、私たちのやりたいことや強みもよく理解した上で任せてくれていました。

ある時、私が隣の部署とのやり取りを任されたのですが、仕事を進める中で理不尽なことを押し付けられたことがありました。しかし、やり取りしていた人が私よりも数年先輩だったため我慢していたところ、『仕事はチームで動いているんだ。自分ひとりが我慢すればいいと思ったら大間違いだ。結果、チームに迷惑をかけることになるんだぞ』と課長から指摘されました。

課長から『自分が代わりに対応することもできるがどうするか?』と聞かれ、私は自分の成長のためにも自分で交渉したいと申し出たところ、交渉における注意点を指導され、任せてもらいました。結果、交渉はうまくいき、仕事もスムーズに進めることができました。

その後、小さいチームですが私自身が部下を抱えることになり、あのときの課長にならってすべてに手を差し伸べるのではなく、部下の成長を意識してときに助言しながら、それぞれが主体的に行動できるように関わっています。これからもその意識で自身のリーダーシップスキルを磨いていけたらと思っています」

例文のポイント

1.その人の行動でよいと思ったところを具体的に挙げている

有名人ではない場合、面接官はその人がどんな人か知りません。そのため、具体的なエピソードを盛り込むことで、面接官の理解も深まります。

2.意識していることや今後の課題などを語っている

実際に自分の行動に取り入れたり、意識していたりすることを伝えると、行動力や応用力の高さを感じさせます。

3.その人との関わりによって自分が成長できたことのアピール

尊敬できる人のエピソードだけでなく、その人から自分が影響を受け、成長して行動することができたという具体的なエピソードを話すと、向上心をアピールするポイントになります。

採用が遠ざかる「NGな例文」

「イチロー選手です。とにかく粘り強く、一生懸命なところが尊敬できます。私はあきらめるのが早いので、ただただ、すごいなーと感心してしまいます。残念なことに、私の身近にはなかなかすごいと思える人がいないので、ぜひこれからは尊敬できる人のもとで働き、自分も成長したいと思っています」

例文のダメなポイント

1.どこが尊敬できるのか具体的にわからない

誰もが知っている有名人だとしても、その人物のどんなことがすごいと思ったのかを具体的に伝えなければいけません。

2.尊敬する人以外を持ち出す必要はない

「身近にはすごいと思える人がいない」とありますが、わざわざ身近な人を持ち出す必要はありません。また「尊敬できる人のもとで働きたい」という話も、他人への依存度が高いと思われてしまいます。

3.自分と関連した内容になっていない

自分がその人の何を参考にしているのかや、影響を受けたことなど、自分と関連づけて語る必要があります。

この例では、自分を「あきらめるのが早い」とマイナス要素でアピールしてしまっているのが逆効果です。尊敬する人から学んで自分が実践していることなど、きちんとプラス評価となることを伝えましょう。

自分にピッタリの「尊敬する人」を見つけるには?

「尊敬する人」が決まっていないなら、誰を挙げるかじっくりと考えなければいけません。自分をアピールするための重要な質問ですから、慎重に選んでください。

自分の答えとしてふさわしい「尊敬する人」をぜひ見つけましょう。

「尊敬する人」の答えに悩んだら?

もし「尊敬する人」についてすぐに思い浮かばないなら、これまでの経験を改めて振り返ってみましょう。自分が大切にしてきたことや積み上げてきた実績と関連づけられる人物がきっといるはずです。

オススメは誰でも知っている有名人

まずは、誰でも知っている有名人や歴史上の人物がオススメ。面接官もその人物をイメージしやすいので、どうして尊敬できるのかという理由についても共感を得やすいからです。

ただし、最近のタレントやミュージシャンなどは、たとえ有名であっても面接官が知らない可能性もあるので、名前を出すのはリスクがあるでしょう。

身近な人の場合は詳細な理由説明を!

また、どうしても身近な人を挙げたいのであれば、面接官はその人についてまったく知らないわけですから、その人の性格や実績などをきちんと一から説明する必要があります。

しかも、身近な人を尊敬するはっきりとした理由が説明できないと、面接官には伝わりづらいので、注意してください。

「尊敬する人」を答えながら、自分の強みをアピールしよう!

面接では、「尊敬する人」について語りながらも、自分の強みをアピールできるかどうかが重要ですね。まずは、その人物についてきちんと面接官に説明し、自分がどんな影響を受けたのか語ることができるかがポイント。有名だからといって安易に歴史上の偉人を挙げても、その人物について大した知識がなかったり、自分と関連づけることができなければ意味がありません。

しっかりと自分のアピールしたいことが伝わる人物を選び、その人物について改めて勉強してから面接にのぞんでくださいね。

(文:藤井佐和子、構成:朝日絵美瑠)

※画像はイメージです

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