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結婚したら考えたい保険って? 加入&見直しのポイント

川部紀子(ファイナンシャルプランナー/社会保険労務士)

朝日絵美瑠

結婚したら、家族が安定した生活をずっと続けるためにも堅実なライフプランを考えたいですよね。ライフプランを立てるときの重要なポイントとなるのが保険選びです。結婚を機に、保険の加入や見直しを検討する人も多いですが、たくさんある保険の中から、一体どれを選べばいいのでしょうか。そんな保険について悩んでいる人のために、ファイナンシャルプランナーの川部紀子さんから話を聞きました。プロのアドバイスを参考に、夫婦でじっくりと保険について話し合ってみてください。

結婚前から加入している保険はどうすればいい?

親が加入した保険や、知人にすすめられて契約した保険など、独身時代にもすでにいくつかの保険に加入している人は多いでしょう。結婚すると、夫婦で支え合っていく新しい生活が始まりますから、独身時代に入った保険については、結婚を機に見直してみる必要があります。そこでまずは、すでに加入している保険を結婚後も継続するか解約するか、見極めるポイントについて説明します。

継続か解約か見極めるポイントは?

貯蓄性のある保険は継続を

契約日が古い保険の中でも、「個人年金」と「養老保険」、さらに「パッケージ商品の終身保険部分」については、安易に解約することはオススメできません。この3つの保険は、払った保険料よりも戻ってくる金額のほうが多くなるという貯蓄性を秘めている可能性があるからです。しかも、金利が低い預貯金よりもずっとお得で、中には払った保険料の2倍以上が戻ってくるケースも存在しています。

「保険料がちょっと高いな」と感じているものは、節約のためにもつい解約したくなってしまいますが、実は、貯蓄性のある保険がほとんどです。保険料が高いだけの理由がある、将来的にメリットの大きな保険と言えます。このような貯蓄性のある保険は、結婚しても継続しておいたほうが賢明です。

掛け捨ての死亡保険は保険料に注意

逆に、保険料の少ない掛け捨ての「死亡保険」は、貯蓄性が少ない保険です。しかも、日本人の寿命が伸びていることで、以前よりもさらに安い保険料のものも登場していますから、すでに加入している死亡保険は、結婚を機に見直してみるといいでしょう。

結婚したら、どんな保険に加入すればいい?

結婚して家族ができたら、保険の選び方は独身時代とは変わってきます。万が一のことがあったときに、家族の生活がダメージを受けないよう、慎重に保険を選びたいですね。そこで、共働き、専業主婦、子持ちと、それぞれのライフスタイルに合わせて検討したいオススメの保険をご紹介します。

共働きの場合に加入を検討したい保険は?

不測の事態で困窮するリスクは少ない

夫婦のどちらかだけが家計を支えているわけではありませんので、不測の事態を保険で全て補おうとしないこと。まず「死亡保障」に関しては、共働きのどちらかが亡くなっても金銭的にすぐに困窮することは少ないですし、国の公的年金から遺族年金をもらえる可能性もあります。

また「医療保障」については、健康保険の傷病手当金で補うこともできます。会社員や公務員であれば、病気やケガで働くことができない場合、給料のだいたい3分の2ほどを1年半にわたって受け取れるのです。

さらに、職業にかかわらず、その月の一般的な治療に対する医療費は一定額の負担で済むように高額療養費の給付があります。平均的な年収であれば、どんなに医療費がかかったとしても、支払う上限は月に9万円ほどになります。

専業主婦になる場合に加入を検討したい保険は?

夫の死亡保険は必要性が高い

専業主婦の場合、夫にもしものことがあると家賃や生活費の問題に直面します。そのため、共働き世帯と比べて、夫の死亡保険の必要性は高いと言えます。もちろん、どんなときでもすぐに自分が仕事をはじめられるなら別ですが、特に夫が自営業の場合は、医療保険を考えることもすすめます。専業主婦の方自身も最低限度の医療保険は検討してもいいでしょう。ただし、収入に対して保険料の負担が大きくなりすぎないように注意してください。

子どもができたら加入を検討したい保険は?

会社員なら公的な遺族年金をあてにできる

子どもが生まれたからと言って、あわてて保険に加入する必要はありません。子どもがいる世帯で世帯主が亡くなった場合は、国から遺族年金が多く支給されるからです。特に、会社員の場合は遺族基礎年金と遺族厚生年金の二階建てによる手厚い年金となります。しかし、自営業で厚生年金に加入していないなら、死亡保険を検討しましょう。

また、女性が医療保険に加入していれば、出産に関する入院や帝王切開で給付を受けられる可能性があります。

月々に支払う保険料の目安はある?

心配だからといって、あれこれと保険に加入していけば、当然、家計を圧迫してしまいます。毎月の収入に対して、保険料はどれぐらいまでにおさえるのがベストなのでしょうか。

保険の内容によって目安はちがう

保険料の目安については、それぞれの保険商品の中身によって変わるため、一概に目安となる基準を提示することはできません。たとえ1万円の保険料だとしても、支払った金額の2倍になって戻ってくる貯蓄性の高いものもありますし、逆に完全に掛け捨ての保険もあるからです。ただし、キャッシングやカードローンが重なって家計が苦しいと感じていたり、毎月の収支がギリギリだという世帯は、家計全体を見直す必要があります。当然、保険に入りすぎている可能性もあるので、その際は見直しを検討しましょう。

保険による万が一の備えは、夫婦のスタイルに合わせて

独身時代とはちがい、夫婦ならどちらかの危機を支え合って生活できるのが結婚の強みとも言えます。しかし、もしもの時に支え合うことも必要になってきますし、専業主婦のように夫婦のどちらか一方の収入のみで生活する場合は、万が一のときにダメージが大きいので保険を慎重に選んで、リスクを減らしておきたいですね。大切なことは、結婚後に夫婦がどんな生活をし、もしものときに家計面で対応できるかを考えること。保険の入りすぎには注意したいですが、賢く活用して、もしものときの不安を解消しておくのも幸せな結婚生活の第一歩と言えます。

(文:川部紀子、構成:朝日絵美瑠)

※画像はイメージです

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