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嫌いな上司とうまく付き合う4つの方法

小野勝弘(キャリアコンサルタント)

木村俊夫(キャリアコンサルタント)

三浦一紀

会社というものは、さまざまな人が集まった集合体です。そのため、自分と気の合う人だけでなく、どうしてもうまくやれないタイプの人もいることでしょう。ただし、会社という組織の中の話なので、嫌いだからといってまったく付き合わないということは不可能です。特に上司が自分の嫌いなタイプの場合、避けて通るというのはほぼできないでしょう。そこで、嫌いな上司とうまく付き合っていくにはどうしたらいいか。キャリアカウンセラーの小野勝弘さんにお聞きしました。

職場で嫌われる上司の特徴

職場で嫌われる上司とは、一言で言えば人間関係が築けない上司です。なぜなら、好き嫌いというのは数値化できるものではなく、判断する人の主観が大いに影響するものだからです。その上司と人間関係があり、判断する自分との関係でしか、好き・嫌いという感情は起こりえません。今回は、行動レベルに焦点を当てて人間関係が築けない上司を解説します。

嫌われる上司その1 自分基準タイプ

常に自分流のやり方を押しつけ、部下を正当に評価できないタイプの上司です。また、過去の栄光を自慢する人はここに分類されます。たとえば、30年前の海外赴任の話を基準に今の仕事に口を出したり、手柄を横取りする、公平でない、提案を無視して自分が作ったやり方を押しつけるといった行動をしがちです。

嫌われる上司その2 話を聞かないタイプ

部下が報連相を行っているのに聞いていなかったり、相談しても最後まで聞いてくれないといった上司がこのタイプです。たとえば、報連相を徹底しているのに言った言わないでもめたり、話を少し聞いただけで「あー、わかったわかった」と話を終わらせようとします。

嫌われる上司その3 精神論で攻めてくるタイプ

とにかく「できるだけやれ!」という指示を出す上司がこのタイプです。これは、ノウハウや技術、スキルなどを教えるといったことをせず、根性論で仕事を語ったり、若いころのむちゃくちゃな仕事ぶりを主張するといったことをしてきます。

嫌われる上司その4 高圧的なタイプ

こちらから聞いても何も教えてくれない、もしくは教えてくれても言い方に問題があるというタイプです。教えない、答えないというのは相当な無言のプレッシャーを与えると言われています。また、言い方に問題があるというのは、多くの発言が個人攻撃になっていたりします。

嫌いな上司と付き合うポイント4つ

嫌いな上司ともなんとかうまくやっていかなければならないのが会社というもの。しかし、上司の人格は変えることはできません。人事異動などで上司が変わるといった物理的な環境変化はあり得ますが、上司の行動や気持ちを変えさせるための簡単な方法は、今のところないといってもいいでしょう。そう考えると、自分が変わるほかはありません。これを念頭に置いた上で、嫌いな上司とうまくやっていく方法を紹介します。

嫌いな上司とうまく付き合うポイント1 結論から言うように心がける

話をする際、理由から話をしていたりする場合が多いと感じることがあります。たとえば、仕事がうまくいかないという報告で「××の件なのですが、△△で……」という感じで、理由から先に話すパターンです。このパターンをやめ、結論から話すことを徹底してみましょう。

これらを実践する方法として「PREP法」というものがあります。これはPoint(主張)、Reason(理由)、Example(具体例)、Point(主張)という構成で言いたいことをまとめる方式です。先ほどの仕事がうまくいかない報告の場合は、

P:××の件がうまくいかないので助けてほしい
R:現状△△になってしまっている
E:具体的にはこうなっている
P:それなので××の件について力を貸してほしい

という感じになります。この方法で伝えると、少なくとも相手に結論は伝わりり、言いたいことが伝わらないという不満は少なくなることが期待できます。

嫌いな上司とうまく付き合うポイント2 自分の大事なものを知る

その上司のことがなぜ嫌いなのかを考えた場合、上司の行動ばかりが目について、なぜその行動が目につくのかまで考えることは少ないのではないでしょうか。たとえば、公平感をとても大事にしている人が、曖昧で主観的な評価をする上司に出会った場合、その上司のことを嫌いになってしまいます。しかし、本当は自分が公平感を大事にしているために、上司の行動が不公平に見え、結果的に嫌いになるわけです。

では、自分の大切にしているものを知るにはどうしたらいいでしょうか。それは、嫌いと思ったことを深く考察するしかありません。なぜその上司にされたときにイライラするのか、なぜその上司以外にはイライラしないのか、というような自問自答を繰り返していくのです。

ただ、ひとりで悩んでいても答えが出なかったり、メンタルがやられてしまうということもあります。そういうときは、キャリアコンサルタントに相談するというのもひとつの手段です。人に話すことですっきりする部分や、具体化する部分も多くあります。また、まったく知らない人だからこそ素の自分を見てもらえるという面もあります。

嫌いな上司とうまく付き合うポイント3 上司を知りポジティブに解釈する

上司はどういう人なのかを考えることで、自分のキャパシティを増加させるということです。たとえば、常にせっかちで話を聞かない嫌いな上司がいた場合、どういう行動がせっかちに見えて苦手に思えるのかを考えてみます。

話の途中ですぐ結論を求めてくるから、早口すぎて会話にならない、話し終わっていないのに問題を決めつけるなど、状況次第でいろいろと思いつくはずです。そこで忘れてはならないのは、その行動自体に良い悪いはないということです。話の途中で結論を求めるのは、少ない時間で多くの問題に取り組もうとしている、時間を大切に思っている証拠かもしれません。早口すぎて会話にならないのは、伝えたいことがあふれているからかもしれません。話が終わっていないのに問題を決めつけるのは、いち早く問題を解決して楽にしてあげたいと考えているからかもしれません。

好き嫌いという判断は、どんな行為にも紐付けられるもの。だからこそ、その行為の裏側にはどういう思いがあるのかポジティブに捉え直してみるというのもひとつの手段です。

嫌いな上司とうまく付き合うポイント4 逃げる

これは、うまく付き合うという点ではNGかもしれません。しかし、自らを守るという意味では、常に念頭に置いておきたい付き合い方です。たとえば、暴力を振るう人やハラスメントを毎日受けているなどの場合、相手の理解や自分に向き合うという方法で絶対に解決できません。もし、傷害事件やハラスメントで立件したとしても、自分の傷は癒えることはないでしょう。

これまでの3つのポイントについては視点の問題でしたが、この「逃げる」を選ぶケースは視点の問題ではなく、暴力という形で肉体的にダメージを負ったり、性別や出身など自分ではどうしようもない部分を攻められている場合が多いと思われます。残念ながらそういう場合は、逃げることを選択肢から決して外さないでください。

自分の気持ちを変えていくことから始めよう

小野さんのアドバイスにもありましたが、嫌いな上司の性格を変えるということはほぼ不可能でしょう。であれば、やはり自分がちょっと視点を変えて上司を見て、考え方を変えるというのが一番有効な手段かもしれません。嫌いな上司を少し違う確度から見てみると、新しい発見があるかもしれませんよ。

(文:小野勝弘・木村俊夫、構成:三浦一紀)

※画像はイメージです。

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