太る原因はこれ! ムリなく痩せる方法を医師が解説
女性が太る原因には、生活習慣や食習慣だけでなく、ホルモンバランスなどもかかわっています。頑張ってダイエットしているのに、ちょっとしたことですぐに体重が増えてしまったり、なかなか体重が減らなかったりすると、イライラしてしまいますよね。そこで、女性が太る主な原因と対処法について内科医の三輪菜つ美先生に教えていただきました。
<目次>
「太る」ってどういう意味?
「太る」という言葉がありますが、具体的にどんな状態になったら太ったことになるのでしょうか。まずは「太る」という言葉の定義について、一般女性のみなさんと三輪先生の意見を聞いてみましょう。
一般女性が太ったと感じる瞬間
Q.どんな瞬間に太ったと感じますか?(※)
第1位 洋服がきつくなったとき……36.8%
第2位 体重が増えたとき……31.4%
第3位 見た目が変わったとき……22.7%
第4位 モテなくなったとき……3.8%
第5位 その他……2.2%
第6位 体脂肪率が増えたとき……1.6%
第6位 太ったと言われたとき……1.6%
※四捨五入の関係で100%にならない場合があります
アンケート結果では「洋服がきつくなったとき」に太ったと感じる女性が最も多いようです。次に「体重が増えたとき」「見た目が変わったとき」と続いています。半分以上の女性は、洋服がきつくなったり、見た目が変化したときなど、数値ではなく体感で太ったことを感じることが多いようですね。
医師が考える「太る」定義
三輪:太っているかどうかの基準として、医学的に使用されているBMIという指数があります。BMIは体重÷(身長×身長)で計算することができます。以下の表を確認してみて、自分のBMIが肥満1度~3度に当てはまっている人は、医学的に「太っている」ということになります。
・18.5未満なら低体重
・18.5以上25.0未満なら普通体重
・25.0以上30.0未満なら肥満1度
・30.0以上35.0未満なら肥満2度
・35.0以上40.0未満なら肥満3度

痩せたいのになぜか太ってしまう……。実は、毎日の何気ない習慣が太りやすい体を作ってしまっていることもあるようです。あなたの「おデブ習慣度」を診断します。
太る原因6パターン
女性が太る原因にはどんなものがあるのでしょうか。「体質」「時期」「生活習慣」「食習慣」「時間帯」「ダイエット」の6パターンに分けて聞いてみました。
太りやすい体質
三輪:「体質」とは生まれ持った性質であるため、遺伝的な要素のことを指します。確かに太る原因には体質などの遺伝的な要素も関係していますが、実際に太っている人の多くは、実は体質以上に生活習慣などの後天的な要素が大きく影響しているといわれています。
太りやすい時期
三輪:女性の場合、1カ月の身体のサイクルが「エストロゲン」と「プロゲステロン」と呼ばれる2つの女性ホルモンに影響されています。生理前に多く分泌されるのはプロゲステロンという黄体ホルモンで、このホルモンが増えると、身体は栄養を蓄えるために、細胞に水分や塩分をため込もうとします。そのため、生理前はむくみやすくなり、身体が重く感じるようになります。また、プロゲステロンには脂肪の代謝を遅らせる性質もあるため、太りやすい時期だといえるでしょう。
太りやすい生活習慣
三輪:太りやすい生活習慣はさまざまですが、特に運動と睡眠が大きく関係しています。
運動
運動にはエネルギーを消費し、体脂肪を減らす効果があります。太りやすい方は、デスクワークが中心でほとんど動く機会がなく、少しの距離でも歩かずにエスカレーターやエレベーターなどを使ってしまう傾向があります。
睡眠
睡眠不足の方は、睡眠をしっかりとっている方に比べて太りやすくなります。睡眠不足になると食欲を抑えるホルモンである「レプチン」の分泌が減り、食欲を増進させるホルモンである「グレリン」が多く分泌されてしまうからです。
太りやすい食習慣
三輪:太りやすい食習慣は主に3つあります。
エネルギーの消費量よりも摂取量が多い
まずは摂取エネルギーが消費エネルギーよりも多い場合。身体にエネルギーが余っていれば、その分は脂肪として身体に蓄えられやすくなります。普段の食事以外にも、何気なく食べているおやつやジュースなどによって、気づかないうちにエネルギー量が増えてしまっている可能性が高いでしょう。
食事のバランスが悪い
エネルギーのバランスだけでなく、食事内容も大事です。食事の基本は炭水化物、タンパク質、脂質の三大栄養素とビタミン、ミネラルをしっかりバランスよく摂ることです。炭水化物ばかり食べていたり、お肉ばかり食べていたり、野菜だけしか食べないといった偏った食生活を続けていると、偏った栄養素しか摂れません。
栄養素はチームで働くので、バランスよく摂取することで身体に吸収されやすくなります。バランスの悪い食事では栄養をしっかり活用できず、筋肉の減少や脂肪を蓄えやすい身体になってしまいます。
空腹時間が長い
三輪:空腹時間が長ければ長いほど、身体は次に摂取した食事の栄養を蓄えようとして、吸収率を上げて脂肪をため込もうとします。ダイエットで1食抜く方法がありますが、空腹時間が長くなって結果的に次の食事を食べすぎてしまい、太りやすくなります。
太りやすい時間帯
三輪:夜の22時以降は太りやすい時間帯です。この時間は眠るだけなのでエネルギー消費量が少なく、食べたものが脂肪として蓄えられやすくなります。特に深夜のお菓子や飲み会後のラーメンなどは、太る原因となりやすいので注意が必要です。
太りやすいダイエット方法
三輪:リバウンドしやすいダイエット方法の代表が、太るからといって無理に食事量を減らしたり、食事を抜いたりすることです。空腹の時間が長いと、身体は筋肉を分解してエネルギーを作り出そうとするため、脂肪を燃焼する働きのある筋肉が減りやすくなり、次の食事で食べすぎてしまい、結果的に太りやすくなります。
痩せる方法6パターン
太る原因を6パターンに分けて紹介しましたが、痩せるためにはどうすればいいのでしょうか。痩せる方法についても6パターンに分けて解説します。
痩せやすい体質
三輪:食べているのに太らないという人は、痩せやすい体質なのかもしれません。しかし、「太りやすい体質」で紹介したように、太る原因のほとんどは後天的な習慣によるものです。つまり、痩せやすい習慣を持っている人が、結果的に痩せやすい体質になるといえるでしょう。
痩せやすい時期
三輪:女性は生理周期に合わせて、ホルモンバランスが変化します。痩せやすいホルモンであるエストロゲンは生理後から約2週間増加します。エストロゲンには、代謝をよくする働きや食欲を抑える作用があるため、生理後は痩せやすい時期だといえます。
痩せやすい生活習慣
三輪:痩せやすい生活習慣で特に大事なことは、身体を冷やさないことです。痩せやすい身体になるためには、普段から基礎代謝を上げておく必要があります。体が冷えていると、代謝が下がって血流が悪くなり、脂肪や老廃物が排出されにくくなってしまいます。特に女性は男性に比べて筋肉量が少ないため、代謝が低くて冷えやすい傾向にあります。冷房に当たりすぎたり、冷たい飲み物を飲みすぎないようにしてください。
また、エネルギー消費量を増やすためには運動も必要です。運動といっても、激しく身体を動かすスポーツを行う必要はありません。1駅だけ歩いたり、階段を積極的に使ったりなど、ちょっとした工夫で運動量を増やすことができます。健康に必要だといわれている歩数は1日8,000歩です。ちょっとした時間を使って、上手にエネルギーを消費するように心がけましょう。
痩せやすい食習慣
三輪:痩せやすい食習慣は、太りやすい食習慣の真逆です。摂取エネルギーよりも消費エネルギーを多くしたり、食事のバランスを整えたり、空腹時間を長くしないことが大切です。また、食事はよく噛んで食べるようにしてください。人間の脳には満腹中枢があり、食事をして血糖値が上がると、満腹中枢が刺激されて、お腹がいっぱいになったという指令を出します。満腹中枢が働くまでには約20分かかるといわれているため、それまでに食べ終わってしまうと、おかわりをするなどして食べすぎてしまう可能性があります。
痩せやすい時間帯
三輪:痩せやすい時間帯は朝です。午前中に身体を動かすことで、1日の基礎代謝が上がって痩せやすくなります。特に寝起きのストレッチはおすすめです。朝起きてすぐに体を動かすことで、凝り固まった筋肉がほぐれ、リンパ液や血液の流れがよくなります。全身を伸ばす、肩を回す、首を回すなど簡単なストレッチで大丈夫なので、ぜひ生活に取り入れてみてください。
痩せやすいダイエット方法
三輪:痩せるためには、摂取エネルギーよりも消費エネルギーを多くして、基礎代謝を上げることがポイントです。消費エネルギーが多くなると、身体は脂肪を分解してエネルギーを作り出すため、痩せやすくなります。
基礎代謝は生きているだけで消費するエネルギーのことですが、1日の消費エネルギーの約70%は基礎代謝が占めています。つまり、基礎代謝を上げることで自然と痩せやすい体質になるのです。基礎代謝を上げるためには、ランニングなどの有酸素運動よりも、筋トレなどの無酸素運動がおすすめです。大きな筋肉を使う腹筋、背筋、スクワットなどにチャレンジしてみましょう。
まとめ
痩せられない理由を「太りやすい体質」のせいにしてしまう女性がいますが、ダイエットに関しては体質よりも習慣のほうが重要です。無理なダイエットをするよりも、生活習慣や食習慣を改善するほうが、結果的に痩せやすくなります。できることから生活に取り入れて、美しくて健康的な身体を目指しましょう。
(文:三輪菜つ美、構成:マイナビウーマン編集部)
※画像はイメージです
(※)マイナビウーマン調べ
調査日時:2017年5月2日~5月8日
調査人数:185人(22歳~39歳の女性)
※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.05.24)
※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください