【FP監修】独身のまま女性が老後を迎えたら~用意したい貯金と今できること~
このまま一生独身だったらどうしよう……なんて不安にかられる女性もいるのでは? そんな不安にFPの石川福美先生が答えます! 備えるべき貯金は? 今からどうしたらいいの? 細かく解説!
<目次>
他人事じゃない! 独身で老後を迎える女性は2割以上も!?
厚生労働省のデータ(平成26年版厚生労働白書~健康・予防元年~)によると、2035年には女性の生涯未婚率は約2割という予測がなされています。つまり、今のアラサー女性は、少なくとも2割は独身で老後を迎えるはず。離婚者も含めれば、その割合はさらに高くなると予想されます。独身のまま老後を迎える事態は、他人事ではないのです。
【生涯未婚率の推移】
※平成26年版厚生労働白書 ~健康・予防元年~より
○男性
・2005年 16.0%
・2015年 24.2%
・2025年 27.4%
・2035年 29.0%
○女性
・2005年 7.3%
・2015年 14.9%
・2025年 18.9%
・2035年 19.2%
生涯未婚率の推移を見ると、このままいけば、年々未婚率は上がっていくのが分かりますよね。現在20代30代の女性たちの世代では、もしかするともっとその割合が高くなるかもしれません。結婚だけが人生ではないと考えている人が、増えているのかもしれませんね。
独身で老後を迎えたら不安なこと
続いて、35歳~60歳の未婚女性に、独身で老後を迎えることについて、どのように感じているのか本音を調査してみました。
●独身で老後を迎えることに不安な人の割合
結婚しないまま老後を迎えるのは、不安に感じている女性も多いのでは。そこで未婚女性に、独身のまま老後を迎えることについて、アンケート調査してみました。
Q.独身のまま老後を迎えることは不安ですか?
・不安(32.05%)
・どちらかといえば不安(38.37%)
・どちらかといえば不安ではない(16.48%)
・不安ではない(13.09%)
※有効回答443件、四捨五入の関係で合計が100%にならないことがあります。
全体で7割近くの女性が、老後のことを不安に感じているようですね。元気なうちは良いですが、体が弱ってくる老後の独身ということを考えると、心配になってくることも多いのでしょう。
●独身で老後を迎えた場合に不安なこと
このまま独身で老後を迎えた場合、どんなことが不安になってくると感じているのでしょう。引き続き35歳~60歳の未婚女性の本音を探ってみました。
<金銭面>
・「金銭面でちゃんと今の生活水準を保持できるかどうか」(51歳/機械・精密機器/事務系専門職)
・「金銭面。最低限の生活かできるのか不安」(35歳/マスコミ・広告/秘書・アシスタント職)
夫婦でいるならば、年金生活でも何とか生活できると思えても、一人ならば金銭面で不安になってしまうもの。公的年金が期待できない現在では、男性に比べて収入が低くなりがちな女性の独り身では、いろいろ不安になることも多いですよね。
<孤独死>
・「孤独死が一番心配です。死体のまま何日も放置されるのが一番嫌です」(55歳/その他/秘書・アシスタント職)
・「孤独死、誰にも気づかれずに死んでしまったら大変! 定期的に誰かに連絡は取るようにしてる」(52歳/医療・福祉/専門職)
一人で暮らしていると、常につきまとうのが孤独死の心配かもしれません。自分が亡くなった後に、誰にも気付いてもらえないと悲しいですよね。
<病気になったとき>
・「自分が病気になったときに面倒見てくれる人や世話をしてくれる人がいない」(40歳/人材派遣・人材紹介/事務系専門職)
・「病気になったときや入院したとき、身寄りがなければ、世話をしてくる人もなく、全てを孤独に乗り越えなければならず、不安すぎる」(56歳/その他/事務系専門職)
独身生活で一番困ってしまうのが、病気になったときではないでしょうか。身の回りの世話を全て自分でしなくてはならないため、おちおち病気になることもできません。年老いてくるとさらに心配は募りそうです。
<寂しいこと>
・「一人で話し相手がいない。孤独感に襲われても、誰もそれを解消してくれる人がいない」(46歳/その他/事務系専門職)
・「一人で話し相手もなく寂しく暮らす。病気になったら不安」(48歳/その他/その他)
仕事をしている間は、会社に行けば嫌でも話をすることはあるものですが、老後となると、友人もいなければ、独身だと寂しいかもしれません。話し相手がいないと、老化も早まってしまいそうに感じますよね。
<介護が必要になったとき>
・「介護が必要になった場合にお金がないと何もできないのではないか」(42歳/医療・福祉/事務系専門職)
・「子どもはいるが、他府県なので一人暮らしで、病気や介護が必要になったときのことが心配」(55歳/その他/その他)
元気なままで老後を迎えたいものですが、いつ介護が必要になってくるかは分からないもの。夫や子どもが介護してくれるとは限りませんが、若干でも心配は和らぎますよね。独身で金銭的にも余裕がないと、まともな介護も受けられないのではと心配になる気持ちも分かります。
<持ち物の後始末>
・「死んだ後の始末をどうしたらいいのか」(52歳/その他/その他)
・「残された持ち物の整理が心配です」(54歳/団体・公益法人・官公庁/その他)
自分が亡くなったときに、残された持ち物をどのように始末してよいか、今から悩んでいる人もいるようです。終活、なんて言葉も流行りましたが、独身で子供もいないとより一層ちゃんと取り組まないといけないかもしれません。
★独身で老後を迎えた場合に不安なことまとめ
金銭面や健康面で、いろいろ不安になってしまうことは多いようですね。元気なうちに仕事以外の知人を作ったり、いろんなサークルなどに積極的に参加することで、孤独に対する不安は解消できるのではないでしょうか。
独身女性が老後のためにしていること
独身女性が老後に備えて、どんなことをしているか気になるところですよね。独身女性(35歳~60歳)にお話を聞いてみました。
●老後のために何かしている独身女性の割合
老後のことを考えて、何か備えたり準備していることがあるかを、独身女性にアンケート調査してみました。
Q.老後のために今からしていることって何かありますか?
・ある(40.41%)
・ない(59.59%)
※有効回答443件
およそ4割近くの女性は、老後に備えて、準備していることがあるようです。いざというときのために、前もって用意しておくことは大切ですよね。
●老後のために独身女性がしていること
老後のために準備していることがあると答えた女性に、具体的にどんなことをしているのか、教えてもらいました。
<運動>
・「健康維持。将来身体が不自由になりたくないので、日々軽いウォーキングと、体幹ピラティス運動を心がけている」(46歳/建設・土木/専門職)
・「健康第一なので、とにかくボケと寝たきりにならない様に運動と睡眠、食事には人一倍気をつけている。また、経済的なことは年金には頼れないので生涯働けるように今の仕事に就いた」(46歳/その他/専門職)
普段から運動を心がけることで、年を取ったときに健康でいられる可能性は高まります。老後に足を踏み入れてから始めるのではなく、元気なうちから始めたいですね。
<貯金>
・「貯金。何かあってもなくても、最終的に頼りになる」(37歳/団体・公益法人・官公庁/事務系専門職)
・「とにかく貯蓄に励むように心がけています」(39歳/その他/その他)
普段から貯金を心がけている独身女性も多いようですね。いざというときに一番頼りになるのは、やはりお金かもしれません。
<個人年金>
・「公的年金があてにならないので、個人年金に入ったり、少しでも利率の良いところに貯金をして老後に備えている。近所との交流や町内行事への参加など、周りとの関わりを持つようにしている」(47歳/金属・鉄鋼・化学/その他)
・「個人年金に加入して老後資金を貯めています」(45歳/その他/その他)
年々、受給額が減少している昨今では、公的年金をあてにすることはできないもの。生命保険などの個人年金を活用している人も多いのでは。
<資産運用>
・「資産運用といった貯蓄と、健康でいるための運動や食事に気をつける」(41歳/金融・証券/その他)
・「資産運用をして資金をためたり、老後に住むマンションをさがしている」(50歳/その他/その他)
貯蓄だけでは心許ない場合、投資などで資産運用をしておくのも一つの方法ですよね。早くから資産運用をすることで、貯蓄を増やせる可能性は高まります。
<物を増やさない>
・「できるだけシンプルな生活、毎日過ごすようにしてます。部屋に物も増やさずにしてます」(45歳/その他/その他)
・「物を増やさず、使用していないものは処分している」(55歳/ホテル・旅行・アミューズメント/事務系専門職)
なるべく物を増やさないように、普段から気を付けて生活している人もいるようです。自分にもしものことがあったとき、物が多すぎると後片付けも大変です。
<健康管理>
・「経済面がとても不安なので、病院代がかからないように健康に気をつけてる」(40歳/医薬品・化粧品/事務系専門職)
・「健康管理をしっかりとすることと、ある程度の蓄え」(52歳/運輸・倉庫/その他)
健康に自信があるからといって、健康管理を怠っていると、病院代がかかってしまうこともあるものです。毎年まめに健診にいくようにしたりと、気遣いたいですよね。
★老後のために独身女性がしていることまとめ
大きく分けると「お金」と「健康」のために、今からできることをしているようですね。お金は老後からは増やしにくいもの。健康も若い頃からの積み重ねが大事になってきます。独身だからこそ人一倍気をつけている人もいるかもしれませんね。
FPに聞く! 女性が独身で老後を迎えたら起こるリスクとその対処法
独身女性にアンケート調査をした結果、みんなそろって気になることは「お金」と「健康」のこと。そこで、FPの石川福美さんに、女性が独身のまま老後を迎える際の懸念点やリスクと、その対処法について詳しく話を聞きました。
●女性が一生独身だと起こりうるリスク
老後の特に大きなリスクの一つが、生活費の不足です。退職後、多くの人の収入の柱となるのが公的年金ですが、男性・女性という観点でリスクを見ていくと、まず所得水準の影響を受ける、厚生年金の受取額の違いがあげられます。現在は女性の社会進出が進んだことにより、高収入を得る女性も増えてきました。しかし数字的に見るとまだまだ男女の平均年収の違いが見られます。これにより将来的に受け取れる厚生年金の受取額が変わってきます。
≪男女の平均年収≫
男性:約430.1万円
女性:約266.8万円
※厚生労働省 平成27年度
≪厚生年金受給額≫
男性:平均17万9,000円/月
女性:平均10万8,000円/月
※厚生労働省 平成26年度
さらに準備資金においては、後ほど述べます「男女の平均寿命」の違いから、女性の方が準備額が大きくなるのは明白です!
結果として「老後破綻」といったフレーズが生まれ、現在では日本の65歳以上の単身世帯の貧困率は48%、ほぼ半分の人が貧困!という事実があります。(約78万人が生活保護を受給)
●独身の老後に用意したい貯金額
前述したように女性は男性より平均寿命が長いため、より多くの老後生活資金の備えが必要です。女性の老後生活とは何年あるのでしょうか。
≪平均寿命≫
男性:80.79歳
女性:87.05歳
※厚生労働省 平成27年度
現在、退職後の単身世帯の支出の平均は「約15.2万円/月」という数字が出ており、上段で述べたように、女性の厚生年金受給額の平均は「約10.8円/月」です。つまり毎月「4.4万円」が不足する計算になります。
これを女性が平均寿命(87.05歳)まで生きたとすると、60歳で退職してからの27.05年間不足し続けます。65歳までの5年間は年金ももらえないので、不足すると考えられる金額は……。
(15.2万円×12カ月×5年)+(4.4万円×12カ月×22.05年)=約2,076万円
となります!
さらに、将来的には公的年金の受給開始年齢が70歳に繰り上げられるという案も濃厚ですから、そうなると無収入の期間が増え、さらに手厚い備えが必要となります。
(15.2万円×12カ月×10年)+(4.4万円×12カ月×17.05年)=約2,724万円!!
また、難しいのは平均寿命と健康寿命は異なるということです。自身の医療や介護の費用の備えも必要となるのに加え、親の介護問題などにより、自身の老後資金の為の蓄えを充てなければならないケースも増えています。このことから、老後の生活資金として、最低でも3,000万円は備えておきたいものです。
しかし、ぎりぎりの生活よりは、ゆとりのある老後生活を送りたい人は「プラス5万円/月」、さらに公的年金受給開始年齢の繰り上げや、医療技術の進歩による平均寿命の伸びなどの変化が今後も起こると考えると、安心できる金額というのは、さらに変化していきそうですね。
ですので、現金だけでなく、不動産や投資などでお金にも働いてもらいながら、なるべく多くの資金準備をしておくことが求められると思います。
●老後の病気などに備えておく方法
女性の場合は、そもそも既婚・独身に関わらず、女性特有の病気もあったりなど、健康に関しての備えは必要となります。
独身の場合は、例えば自分が働けなくなったときに、誰かに養ってもらうということが難しいケースが多いと思いますので、給与が止まってしまうような状況になった時の為、半年分の生活費などは貯金・投資などで準備をしておきましょう。
陥りやすいのが、不安だからといって安易に保険に頼ること。もちろん必要な保険もありますが、半年分くらいの生活費が準備で来ている人は、日額系の医療保険に入るよりは、しっかりと社会保障制度(高額療養費など)や会社の福利厚生制度を知ることに時間をかけるべきです。
●女性が一生独身の場合に今からできること
一生独身の場合に今からできることは、知識をつけて、行動しておくことです。
正直、将来のことは誰にもわかりません。ですので、自分の想像を超えた「まさか」が襲ってくる可能性もあるのです。その時に身を守ってくれるのは自分自身の知識と経験、そして信頼できるプロ(FPなど)です。まずは、何に備える、ということより自立する為に、自分の現状を把握し、描けるところから未来描くことから始めてみてください。
保険に入る、投資をする、といった手段は、あとからでも対策は可能です。
まとめ
独身だからといって、必要以上に構える必要はありませんが、何かあったとき頼れるのは自分だけの可能性が高いのは確か。大事になってくるのはやはりお金のことのようです。石川先生のアドバイスを参考にしながら、知識をつけ、若い頃から老後に備えておくことが大事なようですね。
(監修:石川福美/クレア・ライフ・パートナーズ、文:ファナティック)
※画像はイメージです
※『マイナビウーマン』にて2017年3月にWebアンケート。有効回答数443件(35歳~60歳の未婚女性)