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空気を読む力は練習で身につく? 空気を読む方法

平井妙子

小村由編

職場はもちろん、プライベートでも重要なスキルに「空気を読む力」があります。よく聞く表現ではありますが、どんな能力なのかわかっていないことも。また、「自分は空気を読めているのか?」と悩んでいる人や「空気を読む力をつけたい」と感じている人もいるのはないでしょうか。そこで今回は、空気が読めない理由や空気を読む力を身につける方法をメンタルチェンジトレーナーの平井妙子さんに教えてもらいました。

空気を読むってどんな意味?

まず「空気を読む」という言葉の意味について説明します。「空気を読む」とは端的に言うと、その場の雰囲気から状況を推察すること。具体的には、自分が何をするべきなのか、何をするべきではないのかを考えて行動したり、相手にとって何をしてほしくて、何をしてほしくないのかを憶測して判断したりすることを指します。

空気を読むことができないのはなぜ?

前提として、「空気を読む=場の雰囲気を読み取る」という意味合いで解説します。

まず「空気を読めない」性格としては、大きく2つが挙げられます。

空気を読めない性格

自己中心型

ひとつ目の性格は自己中心型と言って、まわりがどうであっても、自分の考えや気持ちを第一に行動するタイプ。このタイプの人は威圧的で攻撃的な人が多く、せっかちな印象を受ける人もいます。

マイペース型

2つ目の性格はマイペース型と言って、環境や人とは関係なく、自分のテンポ・リズムで行動するタイプです。こちらのタイプの人は、自己中心型の人とは反対に、おっとり・ゆったりとした印象を受けます。

しかし、性格だけでは判断しにくい点も。心理的に分析すると以下のようにさまざまなパターンがあります。

心理的要因

五感をうまく活用していない

視覚的情報(目で見て得られるもの)、聴覚的情報(会話・音など耳から得られるもの)、触覚的情報(その場から感じる温度やエネルギーなど)などの五感を十分に得ることができていなかったり、逆に一定の情報だけが優位に働いている場合があります。

現状把握ができない

自分のまわりで起こっている経過的な流れを認識できず、全体像が掴めていない状態です。

人の話を聞かない

人の話を「聞きたくない人」と「聞けない人」がいますが、両者とも他者とのコミュニケーション能力が低下しています。

相手の気持ちを汲み取れない

相手の会話や表情、態度などの観察ができていないため、他者の心情を察することができていないパターンです。

意識のベクトルが自分に向いている

他者に興味や関心がなく、自分の気持ちや思いに意識が向いているので、外側にアンテナを張っていません。そのため、状況を察知できていない状態です。

空気を読み取る速度が速い、あるいは遅い

会話が速い人と遅い人、食事が速い人と遅い人がいるように、空気を読み取る速度もそれぞれちがいます。早すぎてまわりの人を置いて先走りしたり、遅すぎて置いていかれたりすることも。そのため、他者と合わせることが難しくなります。

感情の起伏が激しい

自分の中で起こる感情に振り回され、それに伴うものだけに意識や視点が向くため、周囲に意識が向いていない状態です。

精神的に落ち込んでいる

ネガティブな意識になると、目線も下に向きがちで姿勢も悪くなります。これらが理由で視界からの情報も少なくなり、現状把握がますますできない状態になります。

思い込みが激しい

「〇〇のときは□□だ」「△さんは××だ」というように、自分の中で答えが決まっているなど、ルーティン思考となっている状態です。

興味がないことには無関心

自分の好きなことや興味のあることにのみフォーカスしているため、ほかのことに気づきません。焦点が狭い状態です。

空気を読んでいないと自覚していない

そもそも空気を読んでいない人、例えば、皆が帰える支度をしているのに「それでさぁ~♪」と話し続ける人などです。本人はただ楽しい話をしているだけにすぎず、皆が帰りたい気持ちや不快な感情になっていることにまったく気づいていません。しかし、自覚がない人のほうが多数です。

以上のように「もともと空気を読む力がない」というだけでなく、「空気を読めないとき」というタイミングがあります。誰しも、そのときどきの心理的状態によって「空気が読めていない」ことは起こり得ることなのです。

専門家が伝授! 空気を読む方法

「空気を読む」のが苦手な場合、職場やプライベートなどで要らぬトラブルを招いてしまうことも。そのため、こうした状況を改善したいと悩んでいる人も多いはず。これらのスキルは努力や練習で後から身につけることが可能なのでしょうか。

練習で「空気を読む力」は身につくの?

「空気を読む力」として必要なのは「コミュニケーション力」「観察力」、「五感力」の3つです。これらを高め「気づき」を増やすことで、「空気を読む力」は後天的に身につけることができます。

コミュニケーション力を鍛える

「間が悪い」「人の話を聞いていない」「唐突に話し出す」というような人を「空気が読めない」と表現することが多いのではないでしょうか。これらはすべて、会話のタイミングや話の内容のズレが生じているために起こります。相手が「どんな気持ちでいるのか?」「どんな話題なのか?」など会話のキャッチボールができているかどうかがキーとなります。

観察力を鍛える

観察力は「場の雰囲気」を察知しなければなりません。まさに、人と人の間に流れている空気がどんな状態なのかを把握することです。「活気があるのか」「沈着しているのか」「穏やかなのか」を把握しましょう。そして何が起きていて、どのような着地になるのかを読み取る先見力も大切です。

五感力を鍛える

五感とは「視覚」「聴覚」「触覚」「味覚」「臭覚」です。人は、これらの感覚から物事や出来事を認識して、脳にインプットしています。主として「見る・聞く・感じる」この3つの感覚を活性化させることです。これらが鈍いと、いわゆる「鈍感」となってしまい、つまり「空気が読めない人」となります。

「空気が読めない」と言われた、あるいは自分がそう思っている人は、上記のどれが自分の中でできていないのか、足りていないのかを、まずは認識することからはじめましょう。

次に、自分ができることからひとつずつ取り組んでいきます。例えば「自分の言いたいことを一番先に口走るタイプだから、最後に発言してみよう」、「話しかけるタイミングがわからないので『今、お話しても大丈夫ですか?』と声をかけるようにしよう」、「飲み会の様子を把握してないので、全体が見える位置に座るようにしてみよう」など、これまで自分が行ってきた行動パターンと真逆のアクションを取り入れてみると効果的。今まで気づかなかったことに気づけるようになるはずです。

また、職場などで「空気が読めない部下」に対しては、営業トレーニングとしてョ浮の内容を導入してみましょう。あまりにも状況判断ができず、業務に差し支えが生じるレベルなら、どのようなことがよくないことであるのかを理由と共に説明することで、学習的なものとして認識させることができます。

空気を読む方法って?

「空気を読む」能力は自分の中で「コミュニケーション力」、「観察力」「五感力」の何が足りてないのかを認識して、今までとは真逆の行動パターンを取ることなどで、後天的にも取得できることがわかりました。そこで、さらに詳しく「空気を読む」方法について紹介します。

【視覚的方法】見ることに留意する

・人の表情、目線、態度
相手が自分と話をしたい・自分の話を聞きたい態度になっているかを意識しましょう。例えば、目線が合っている、体が前に出ていてこちらに向いている、笑顔で頷くタイミングが合っているなどです。

・場にあるもの、場所、人数、参加者のタイプ
どのような場所にいるかで、会話や態度にもTPOが発生します。また、参加人数や年齢、職業、主旨によっても異なります。これらも視覚情報として瞬時におさえておきましょう。

【聴覚的方法】会話に留意する

・話の内容、流れ、言語の使い方
会話は流動的です。相手やまわりの話に耳を傾けて、今何を話しているのかを把握しましょう。状況や相手によって、冗談がOKなのか? そうではないのか? ということも、話の流れを掴んでいないとわからないことです。

・声の大きさ、トーン、テンポ、呼吸
声の大きさやトーン、テンポなどもチェックしましょう。楽しい・嬉しい話題のときは、比較的トーンも上がりテンポも速くなります。しかし、興奮したときや怒っているときも、声が大きくなりテンポも速まる傾向にありますよね。両者のちがいは声の質感として現れます。また、心が穏やかで落ち着いているときは、口調もゆっくりになるはず。このように、人の心情(気持ち)は、声の使い方に現れやすいのです。

【触覚方法】感じることに留意する

・場の空気感 明るさ、重さ、質感、色合い、エネルギー量
触覚で読み取る訓練のひとつとして、自己判断トレーニングがあります。これはその場の空間をどのように感じるのか、自分で判断するもの。明るいのか暗いのか? 重いのか軽いのか? ツルッとしているのかザラッとしているのか? カラーなのか白黒なのか? 熱いのか冷たいのか? 積極的なのか消極的なのか? などを判断してみましょう。繰り返していくうちに、場の空気を感じ取る力が強化されていきますよ。

【終始観察方法】

空気を読むためには、ひとつの話題が「はじまりなのか? 終わりなのか?」、会話が「まだ続くのか? 終わりに近づいているのか?」など、会話のスタートとエンドを見極めましょう。それらを把握するためには、会話に耳を傾けながらも、そこにいる人々の表情や態度にも意識を向けていなければなりません。

また、退屈そうにしていたり、適当に頷いたり、食事を全部食べ終えていたり、時計を何度も見ていたりなど、相手の状況を観察し、スタートとエンドのタイミングを知ることで、心情を掴むことができます。つまり、気をつかう・気を配ること=空気を読むことなのです。

「空気を読む力」は練習で取得可能!

今回は「空気を読む」のが苦手な人の傾向と、その対策方法についてご紹介しました。自己分析を行い、その場を観察することで、後天的でも「空気を読む」のがうまい人になれます。ぜひ今回のアドバイスを参考に、「空気を読む」のがうまい人への第一歩を踏み出してみてはいかがでしょう。

(監修:平井妙子、文:小村由編)

※画像はイメージです。

 

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