今回のお悩み「野菜が高すぎて絶望。こんな状況でもおいしく自炊をするには?」
最近、野菜が高くなりすぎじゃないですか? 今までの感覚でスーパーに行くと、買いたいものの多くが予想以上に高くなっていて、こんなんじゃ自炊の方が高くつくのでは……? とすら思ってしまいます。安いスーパーの探し方や、できるだけお得に買い物できる方法、こんな状況でもできるだけヘルシーな食生活を送るための節約術を教えてください!(20代後半/IT関連技術職)
さまざまな食品の値上げが続いていますが、これまではパンなどの小麦製品や冷凍食品などの加工食品が主に値上げされてきました。
日々の食費のやりくりのためには、値上げが続く加工食品ではなく、米と旬の野菜を中心とした自炊をすることが、食費節約の近道とされていましたが、昨年夏ごろから米不足で米の価格が高騰し、さらに野菜の価格までも高くなってしまったことで、食費のやりくりにも厳しい状況が続いています。とはいえバランスの良い食事は、健康にも大切なので、上手にやりくりをしたいものです。
■昨今の野菜の価格高騰の原因とは
手ごろな価格で自炊生活の助けになっていたキャベツの値段が、ピーク時には1玉1,000円を記録するなど、さまざまな野菜の価格が高騰しています。長引く野菜高騰の主な原因は、昨年夏の猛暑が起因しており、また12月にも気温が低く、雨が少なかったことなどで、野菜の生育環境が良くなかったことが挙げられます。
このように野菜は天候に左右されるだけではなく、害虫や病気などのさまざまな原因で収穫量が減り、結果的に値上がりします。それ以外にも、肥料価格の高騰や上昇や労働力不足などによる生産コストの上昇も価格高騰の一因とされています。
■今後野菜の価格の見通しは?
農林水産省が2月末に発表した「野菜の生育状況及び価格見直し(令和7年3月)について(※1)」によると、令和7年3月は、キャベツ、白菜等引き続き高値傾向で推移する見込みの品目がある一方で、果菜類(きゅうり、なす、ピーマン)等を中心に平年並みの価格で推移する品目が増える見込みとのこと。
これから野菜が冬野菜から春野菜へと変わります。春キャベツや新じゃが、菜の花、たけのこといった野菜も出てくるので、ここから雹が降るといったダメージ要因が無い限りは、価格も安定してくるでしょう。
■野菜を安く買う6つの方法
野菜の値段はどこも同じではありません。どこで買うか、いつ買うか、何を選ぶかによっても変わります。野菜をお得に買うコツをまとめてみました。
◇1.スーパーの特売品を狙う
一番身近な存在のスーパーは、その日限りの目玉商品として野菜が特売品となることがよくあります。これらの商品は、客寄せ商品のため通常価格よりも安くなっています。
また、スーパーによっては、土曜日は野菜の日など特定の日や曜日に特売することがあります。よく行くお店の野菜が安くなるタイミングなどを、チラシや店頭情報などをチェックしておくと、お得に買えるチャンスを逃しません。
◇2.見切り品を狙う
見切り品とは、おつとめ品とも呼ばれ、消費期限や消費期限が短いものが割引シールなどを貼られて安く売られています。野菜にも見切り品があり、傷み具合にもよりますが割引価格で売られています。
すぐに食べる分には問題無いものですので、変色などの傷みの度合いをチェックして、許容できる範囲であれば、買っても良いでしょう。
◇3.道の駅や無人販売で買う
道の駅とは、道路利用者の休憩施設や地域振興の拠点として、一般道に設置される施設のことで、おでかけ先に寄ったことがある方も多いかと思います。この道の駅では、地元の生産者が地場の旬の野菜を出品していることも多く、スーパーなどの小売店よりも、新鮮かつ安価に野菜が手に入ります。
他にも地元の野菜を安く手に入れる方法として、無人販売も候補に挙がります。近隣に畑がある地域にお住まいなら、無人販売が近所に無いか散歩も兼ねて探してみるのも良いでしょう。
◇4.B級品の野菜を選ぶ
B級品の野菜とは、規格外野菜とも言い、基準を満たさなかった野菜や等級の低い野菜のことです。曲がったきゅうりや、サイズが小さいじゃがいも、大きすぎるサツマイモなど、さまざまな理由で、一般的な販売ルートに乗ることができなかったものですが、味に変わりは無いとされています。
これら規格外野菜は、一般的なスーパーではあまり売られることはありませんが、八百屋系の小売店、業務用の食品を取り扱うスーパーなどでは、特価品として売られていることがあります。
他にも、規格外野菜を取り扱うサイトとして、「みためとあじはちがう店」()や、「ロスヘル」()、「タダヤサイ」()、「食べチョク」()、「ポケットマルシェ」()があります。
一般的な価格よりは割安ですが、一人暮らしには量が多い、送料を負担すると、結果的には割高になる可能性もあるので、お試しパックがあれば、まずはお試しで利用してみてから、継続するかどうか考えても良いでしょう。
注意点としては、届くまで中身が分からない野菜セットの場合、それらを最後までムダなく食べ切るには、ある程度の料理スキルが必要となること。料理初心者さんには不向きかもしれません。
◇5.価格変動が少ない野菜を選ぶ
もやしなど、年間を通して価格変動が少ない野菜を選ぶことによって、他の野菜が高騰していても、やりくりしがやすくなります。もやし以外の野菜では、豆苗などのスプラウト類、サラダ菜、小松菜、きのこ全般、長芋、かぼちゃ、さつまいもなどの根菜類です。
また、農林水産省では、消費量が多い野菜や需要が見込まれる、キャベツ、きゅうり、さといも、だいこん、トマト、なす、にんじん、ねぎ、はくさい、ピーマン、レタス、たまねぎ、ジャガイモ、ほうれんそうの14品目の野菜を「指定野菜(※2)」として、野菜の値段を安定させるように指定しています。
◇6.ポイントが貯まりやすいお店や特定の日に買う
ポイントの付与は値引きに相当するものですので、ポイントアップデーや、2重取り、3重取り、などポイントの重ね取りを狙って、上手に貯めたいものです。食材を購入しながらポイントを貯めていけば、後日そのポイントを使用して食材を購入できるでしょう。ただし、より多くのポイントを貯めるために、余計なものまで買わないように注意が必要です。
ポイントの貯め方のコツは、ポイント経済圏を決めることです。よく行くスーパーがどのようなポイントが貯まるのかチェックしておき、クレジットカードや携帯キャリア、コード決済などを関連企業のものでまとめることで、ポイントがより貯まりやすくなります。
他にも、クーポン割引などお店によってもお得に買う方法は多少異なりますが、アプリ会員になってクーポンをチェックするとお得になったり、系列店舗専用のキャッシュレス決済の利用で、割引になることもあります。よく利用する店舗であれば、会員になってそれら割引を活用すると良いでしょう。
■余裕があれば、家庭菜園にチャレンジしてみても
野菜の高騰などで、どうしても料理の見た目が茶色っぽく、彩りが少ないということはありませんか。そんなときは、ネギ、大葉、パセリといった比較的育てやすく、彩りになる野菜を育ててみると良いでしょう。
100円ショップでは2つで100円とお手頃な価格で種を買うことができます。また、近隣にホームセンターがあるなら、種だけではなく、土とプランターを用意すれば、しばらくは土とプランターは使い回して収穫することも可能です。植物を育てることが好きな方におすすめの方法です。
■買った野菜を上手に使い切る4つのコツ
せっかく買った野菜や食材は、最後までおいしく食べきりたいものです。購入したら、適切な保存方法で、野菜室などで保存しつつ、作り置きおかずにしたり、冷凍保存しておきましょう。
◇1.野菜は切り口を少なくする
野菜はレジ袋や野菜専用の保存袋に入れてから、野菜室で保存します。野菜は切ったところから傷みはじめるため、できるだけ切り口を少なくするようにしましょう。
キャベツは、半分や4分の1などにカットされたものよりも、葉を1枚ずつ剥きながら使った方が長持ちします。
◇2.冷凍保存する
冷凍のコツは、小分けにしておくこと。きのこ類は、石突きを取ってバラしたものをジップ式の袋に入れて冷凍します。また、ブロッコリーは、洗って小房に切り分けたものをそのままジップ式の袋に入れ冷凍ができます。
他にも筋を取ったインゲンやざく切りにした小松菜などの野菜でも同様に冷凍保存ができます。使うときは、必要な量を凍ったまま鍋に入れて、加熱調理します。そのまま解凍すると、食味が悪くなるので注意しましょう。
◇3.使い回しを考えて食材を選ぶ
お買い物の際は使い回しができる食材と組み合わせて購入し、調理の工夫をしてみましょう。例えばキャベツと一緒に豚こま肉を購入しておけば、1日目は豚肉入りのお好み焼き、2日目は豚肉とキャベツの炒め物(回鍋肉)、3日目はせん切りキャベツと豚こま肉の豚こまボールなど、同じ食材でも違うおかずとなり、効率良く、また、飽きずに使い回しをすることができます。
◇4.レシピ動画やアプリなどを活用する
自炊を始めたばかりで、レパートリーが少ないなら、使い切りたい食材と組み合わせたい食材をキーワードにしてレシピサイトやYouTubeといった動画サイトで検索をすると、レシピが複数出てきます。
その中からその日の気分や出来上がりの時間の目安で作れそうなものを選ぶだけです。一般的にフライパンで炒める調理方法は、短時間で作れるため、忙しいときの自炊の助けになりますよ。
米や野菜など、さまざまな食材が値上がりする中でも、買い方、保存方法、使い切りのコツなどを参考にして、節約をしながらも栄養バランスの良い食生活を心掛けましょう。もし、自炊のための予算が足りないときは、通信費やサブスク代といった固定費の見直しをして、浮いた分を回すのも一案です。自炊ができることは、その後の生活における財産にもなりますので、ぜひできることから取り入れてみてください。
令和のマネーハック118
買い方、保存方法、そして食材を使い切ることに気を付ければ食費の節約は可能! まずはお近くのスーパーの特売日を調べることから始めてみては?
※1参考 野菜の生育状況及び価格見通し(令和7年3月)について 令和7年2月28日 農林水産省
※2参考 指定野菜について 農林水産省
(文:丸山晴美、イラスト:itabamoe)