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ロマンチックに、夏の大三角を見上げてみよう!

夏の夜空を見上げてみると、頭の上に明るく輝く3つの星を見つけることができます。

この3つを結んでできる三角形を「夏の大三角」と呼びますが、皆さんは見たことがありますか?

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まだ一度も見たことが無い方のために、今回はそんな夏の大三角についてご紹介したいと思います。

夏の大三角を作る星たち

夏の大三角を作っている星は、こと座の「ベガ」、わし座の「アルタイル」、はくちょう座の「デネブ」の3つで、すべてが明るい1等星です。

ベガは、地球からおよそ25光年(光の速度で25年かかる距離)のところにある星で、3つの星の中で最も明るい0.0等です。こと座の星ではありますが、その名前にはアラビア語で「落ちていく鷲」という意味があります。

これは、隣に光っているアルタイルとの対比で見られていたためです。

そのアルタイルは、ベガより少し暗い0.7等の明るさの星で、地球から17光年先のところに位置しています。その名前の意味は、アラビア語で「飛んでいる鷲」です。この星は自転スピードがとても速いのが特徴で、なんと秒速240km(地球の自転スピードのおよそ500倍)で回転していると推定されています。

そのために大きな遠心力が働き、赤道付近が膨らんだ形をしています。

ちなみに、夏のイベントと言えば七夕ですが、この七夕で有名な「おりひめ(織女星)」と「ひこぼし(牽牛星)」にあたるのが、それぞれベガとアルタイルになります。そして、ベガとアルタイルの間には、七夕伝説のとおり天の川が流れています。

おまけですが、仙台では七夕祭りが有名だということから、ベガとアルタイルがサッカーチーム「ベガルタ仙台」の名前の由来にもなっています。1年に1度しか出会えない2つの星の名前が融合しているなんて、ちょっとロマンチックですね☆

さて、最後にデネブですが、これははくちょうの尾にあたる部分に輝く星で、その名前もアラビア語の「尾」に由来しています。地球から見たときの明るさは、ベガやアルタイルよりも暗い1.3等ですが、その距離は地球からなんと1,400光年も離れていると推定されています(ベガやアルタイルとは比べ物にならないほど遠くの星ですね…)。

そんな遠い場所にあるにもかかわらず1等星として見えるのは、太陽の200倍もの大きさがあり、放つ光の量も太陽の65,000倍以上という、私たちの想像を絶するほど明るい星であるためです。

どこに見えるの?

それでは、実際にこの夏の大三角がどこに見えるのかをお話ししましょう。

7月後半から9月上旬にかけては、21時から23時頃の南の空高く、ほぼ頭の上に明るい3つの星を見つけられると思います。
このうち、一番低いところに輝いているのがわし座のアルタイル、そこから少し離れた左斜め上にある星がこと座のベガ、その右隣に見えるのがはくちょう座のデネブです。南の夜空に浮かぶ夏の大三角は、きれいな正三角形ではなく、アルタイルを頂点とした逆二等辺三角形に近い形をしています。

また、山間部のような周りが暗い場所に行けば、ベガとアルタイルの間を美しく流れる天の川を見ることができるかもしれません。

将来は北極星に

この夏の大三角を作っている3つの星のうち、ベガとデネブは未来の北極星になると考えられています。

北極星は日本からだと常に真北の方向に見える星ですが、この星がいつも同じ位置に見えるのは、地軸(北極と南極を直線で結んだ地球の自転軸)の北極側の延長線上にあるからです。けれども実は、この地軸そのものが26,000年という長い時間をかけて、コマの軸のように周期的に回転しています。

これを「歳差(さいさ)運動」といい、その影響によって北極の延長上に位置する北極星も移り変わっていきます。

その結果、今からおよそ8,000年後には、現在の北極星の代わりに、はくちょう座のデネブが、さらにその4,000年後には、こと座のベガがその座に就くことになると推定されています。

まとめ

夏の夜空に光り輝くベガ・アルタイル・デネブという3つの一等星と、それを結んでできる夏の大三角。
地球から見ると、どれもよく似た明るさの星ではありますが、デネブだけはベガやアルタイルよりもはるかに遠い場所から、圧倒的な明るさで輝いている星なのです。

街中のような明るい場所でも、比較的簡単に見つけることができますので、まだ見たことが無い方は、この夏ぜひ探してみてはいかがでしょうか。

(文/TERA)

●著者プロフィール
小さい頃から自然科学に関心があり、それが高じて科学館の展示の解説員を務めた経験も持つ。現在は、天文に関するアプリケーションの作成や、科学系を中心としたコラムを執筆している。

※この記事は2014年08月01日に公開されたものです

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