【新連載】壊れたスマホに入っていたのは、昔の彼のメールアドレス……
Story2 ★街コンであの微笑みに
「今日は、どこから来たんですか」
その人懐っこそうな男性……隼人は、
街コン会場の店のざわめきが落ち着くと、
そんな風に話かけてきた。
わたしはありのまま住んでいる町の名前を言う。
「けっこう遠いですよね」
「ええ。隣のあさみはこの辺に住んでいて、
今日は彼女に連れられて来ました。
それに勤め先が、隣の市なので」
「あ、お勤め先、どの辺ですか」
わたしはちょっとためらった後、
でも素直に自分の勤め先を告げた。
「ああ、ぼくあの辺の高校卒業してるんです」
頭の中に、会社から少し離れた所にある、
高校の建物がぼんやりと浮かんできた。
「たしかあそこ……男子校ですよね」
「そうそう、野郎ばっかり!」
ありきたりの会話だったけれど、
でも隼人の笑顔がステキで、
とても楽しい気持ちになれた。
ちなみに、あさみの向かいには、
年齢不詳のヒゲの男性が座っていた。