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【新連載】先輩のことが大好きなのに、私たちの関係は曖昧で不透明……

「乾杯!」
先輩とグラスを合わせるこの瞬間、
いつも心から幸せだと思う。
それから先輩はいつも楽しみにしている、
深夜のトーク番組をつけた。
そして突然ケラケラと笑ったかと思うと、
CMの時、突然無言でわたしの方に向き直り、
さっきTVに映っていた芸人さんと、
まったく同じ口調、同じ表情、同じ仕草で語り出す。

「う、う、うぐっ……」
わたしはその似すぎているモノマネで、
笑ってワインを吹かないよう口を押さえ、
ただひたすらに笑いの嵐がすぎるのを待った。
「先輩、やめてください。卑怯すぎる」
「ちぇっ、今日こそ吹くかと思ってたのに。残念」
そういって、ニヤッと笑う先輩は、
本当にかっこいいし、ステキだ。

それから酔いの回ったわたしたちは、
TVに映るタレントさんをほめたりけなしたり、
そしてもう、何十回も話をした大学の頃の、
おたがいの失敗談を飽きずに蒸し返す。
その後、夜中の1時をまわった頃わたしたちは、
ダイニングテーブルを大雑把に片付け、
おたがいの肩や腰に手を回しながら、
先輩の寝室へと入っていった。

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