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【新連載】妊娠……? それはあまりにも突然の出来事で

Story3 ★祝福をくれる友人と驚く彼

「いってまいります」
物流会社に勤める創ちゃんは、
毎朝おそろしく早く家を出るので、
わたしが家を出る時は、
誰もいない空っぽの部屋に挨拶をして出ていく。
でもこれから行くのは会社じゃない。
有給休暇をとったので、まずは産婦人科へ。

年配の女医さんが経営する小さな産婦人科は、
水曜の午前中でもかなり混んでいて、
待合室ではこれから、
お姉ちゃんお兄ちゃんになる小さな子たちが、
笑ったり泣いたりの大騒ぎをしていた。

「おめでとうございます。
妊娠2カ月です」

白髪の上品な女医さんは、
静かに微笑みながら祝福してくれた。

帰り道、ツタのからまる塀の脇を歩きながら、
わたしは言葉にならない喜び感じつつ、
創ちゃんが子どもを受け入れず、
別れることになる可能性を考えていた。
かなり気持ちが重くなったが、
不思議に産むことへの迷いはなかった。

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