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日本産の米がなくなるかも?「補助金がもらえる減反制度、2018年を目途に終了」

日本の食事に欠かせない米。そんな米の生産は、決められた量よりも「作らない」と補助金をもらえたり、所得が補償される不思議な「減反」政策のうえに成り立っている。しかしこの政策が、2018年を目途に終了する。

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減反政策が廃止されると、ほかの作物に切り替えると補助金がもらえ、米農家が米を作るともらえない…そんな矛盾が始まり、「日本産の米」がなくなる日が来るかもしれないのだ。

減反政策ってなに?

かつて政府は、農家から米を高く買い、市場に安く売っていた。これは主食である米の価格を安定させるためだったのだが、生産量が増えるほど政府は損をし、さらに売れ残りが出て値崩れが起きてしまう。それを避けるために「減反」という生産調整をおこなわれるようになったのだ。

1994年以降は政府による米の買い取りはおこなわれておらず、各農家に「生産目標」の名で「生産量の上限」が割り当てられ、それを達成した農家に補助金を出す仕組みになっている。さらに、自給率の低い作物を余った農地で作ると補助金を得ることができるのである。

この「減反」という生産調整の位置づけが変わったのは、「戸別所得補償」が導入された2010年だ。この制度は、作物の価格が生産コストを下回った場合に、国がその差額分を生産農家に補償するのである。そのうえ「減反」を条件に、農地10アールに15,000円の補助金が一律支給されているのだ。

しかし、2018年にこの政策が廃止されることが閣議決定された。その理由はもちろんTPP。補助金も2014~2017年は7,500円に減額され、それ以降は生産目標(制限?)がなくなるため、どれだけ米を作ってもOKだが、補助金はもらえなくなるのである。

減反廃止後はどうなる?

そもそもTPPにより、米の関税が撤廃されれば、生産調整も意味がない。

現状は「減反」しても補助金が得られるので良いのだろうが、生産目標以上の作物を作れないこの制度は、自主的に生産性を高めてどんどん商売をしたいと思っている農家の夢を阻む側面がある。つまり、弱者は守られるが、強者が育たないのである。

TPP交渉に決着はついていないものの、今後は海外から安い米がガンガン入ってくることが、容易に予想される。価格で太刀打ちするのは困難なので、「売れる」米で勝負するしか道はなく、価格以上の価値を生み出す「ブランディング」が大事になっていくのである。

この勝負、相当工夫を凝らさない限り、勝ちめはないだろう。それを知ってか、政府は食用米以外の栽培を推奨し、飼料用米などに切り替えると10アール当たり8万円の補助金を出していたが、2014年から最大10.5万円に拡大することを決めた。

これは「米作りを止めなさい」というメッセージにほかならない。

2012年の「農業経営統計調査」では、水田の平均「粗収益」は1農家当たり250万足らずで、そのうち30%を補助金が占めているのが現状だ。そして0.5ヘクタール(=5,000平方メートル)未満は概ね赤字…となると、減反廃止=補助金打ち切りを期に、廃業か転作を余儀なくされるだろう。

流通量が減るうえに、ブランド化された日本産の米は、超高級食材に変わることも考えられる。つまり、今までのように日常的に食べることができなくなるかもしれないのだ。競争力強化が目的ということになっているが、主食が輸入頼りでは、本末転倒と言えよう。

まとめ

・減反は、米を作らないと補助金がもらえる制度

・2018年から、減反政策が廃止になる

・どれだけ作っても構わないが、「自分で売りなさい」の意味

・食用米以外に転作すると、補助金がもらえる

米農家の廃業/転作が増え、希少で高価なブランド米だけが生き残る可能性が高い。

ふっくらつやつやとした米に幸せを感じるということは、間違いなく日本人であるという証なのだ。ただただ、銀シャリが庶民の食卓から消えないことを祈るばかりだ。

(沼田 有希/ガリレオワークス)

※この記事は2014年06月13日に公開されたものです

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