農業に関わる仕事へ就職したい学生27.5%　生協調査

更新: 2018.04.03

パルシステム生活協同組合連合会は、農業やその周辺産業に関わる仕事や職業に興味がある学生1,000名(15歳～22歳)を対象に、「農業に興味がある学生の実態調査」を実施した。調査期間は5月22日～5月28日。

●?アニメ・漫画?の影響で農業に興味を持った人が増加

農業に興味を持つにあたり、影響を受けたものを聞いたところ、1位は「テレビ番組(37.6%)」だった。次いで、2位「実際の体験(36.4%)」、3位「学校の授業(27.7%)」、4位「親(24.4%)」となっている。

農業に興味を持つにあたり、影響を受けたもの

2012年5月に実施した調査結果と比較して影響力を増したのは、「アニメ・漫画(3.9ポイント増加)」で、視聴経験を通じて農業に興味を持つようになった学生が増えている傾向がみられた。

また、メディアや作品(「テレビ番組」「アニメ・漫画」「ゲーム」)を通じて、農業に興味を持つようになったと回答した人に、具体的な名前やタイトルをあげてもらったところ、「テレビ番組に影響を受けた人(回答者数376名)」では、「ザ!鉄腕!DASH!!」が75件で最多。次いで、「満天☆青空レストラン」が14件、「中居正広の金曜日のスマたちへ(ひとり農業)」が8件だった。

「アニメ・漫画に影響を受けた人(回答者数161名)」では、「銀の匙」が71件、「もやしもん」が37件、「百姓貴族」が4件。さらに、「ゲームに影響を受けた人(回答者数99名)」からは、「牧場物語」が57件、「どうぶつの森シリーズ」が5件、「農園ホッコリーナ」が3件あげられた。

●6割の人が「安定した収入」があれば就農を検討

農業に関わる仕事へ就職したいと思うか質問したところ、「就職したい(「就職したい」と「どちらかといえば就職したい」の合計)」は27.5%となっている。

農業に関わる仕事へ就職したいと思うか

一方、「どちらともいえない」「どちらかといえば就職したくない」「就職したくない」と回答した725名に、どのような環境や支援があれば農業に関わる仕事への就職を検討するか質問したところ、「安定した収入が見込めれば」が最多で59.4%だった。

どのような環境や支援があれば農業に関わる仕事への就職を検討するか

次いで、「必要な技術や経営の指導があれば(34.8%)」、「高収入が見込めれば(34.1%)」となり、収入に関する内容が上位にランクイン。以下、「初期投資が必要なければ(25.4%)」、「農地が簡単に借りられるようになれば(24.4%)」が続いている。

●農業の将来で不安に感じること「食料自給率の低下」「TPP参加」「風評被害」

日本の農業の将来について不安に感じることを質問したところ、「後継者問題(人手不足)」が最多で64.5%。次いで、「食料自給率の低下(60.8%)」「農業従事者の高齢化(51.3%)」、「TPPへの参加(48.2%)」となった。

日本の農業の将来について不安に感じること

就農意向のある学生(275名)については、全体的に不安を感じている割合が高く、特に「農業従事者の高齢化」(就農意向あり:57.1%、就農意向なし:45.8%)、「TPPへの参加」(就農意向あり:51.6%、就農意向なし:39.1%)、「原発事故による風評被害」(就農意向あり:43.3%、就農意向なし:31.1%)などで差が際立っている。

●TPP参加による「食品の安全性の低下」は、男性よりも女性が危惧

日本のTPP参加による農業分野での懸念材料について聞いたところ、TPP参加によって「農業従事者が減少すること」を「不安に感じる(「不安に感じる」と「やや不安に感じる」の合計)」と答えた人が91.0%にのぼった。

TPPに参加することでの懸念点についてどう思うか

同様に、「食料自給率が減少すること」が89.8%、「安価な外国産が増え食品が安くなり、デフレが深刻化すること」が82.7%となり、関税の撤廃による影響、安価な外国産の台頭による農業の弱体化を不安に感じている人が多くみられる。

また、TPP参加により食品の安全基準を外国に合わせるといった、関税以外の規制緩和もその影響が懸念されており、「食品の安全性が低下すること」では91.0%が「不安に感じる」と回答。特に女性は不安視する傾向が強く、93.5%(男性88.0%)が「不安に感じる」と答えている。

TPPに参加することで食品の安全性が低下すること(男女別)

●TPP参加の場合、就農意向のある学生の4人に3人が就農意欲低下

就農意向のある学生(275名)に対し、TPPに参加した場合の就農意向の変化を聞いたところ、73.4%が「弱まる(「就職したいという気持ちは弱まる(22.5%)」と「就職したいという気持ちはやや弱まる(50.9%)」の合計)」と回答。TPP参加の場合、就農意向のある学生の4人に3人が就農意欲を低下させることが明らかになった。