【医師監修】産科で「子宮口、3センチ」と言われたら? お産は近い?

【医師監修】産科で「子宮口、3センチ」と言われたら? お産は近い?

妊婦健診などで主治医から「子宮口、3センチ(cm)」と言われたら、それはどんなことを意味しているのでしょうか。長かったマタニティライフが終わりに近づいていることは間違いありません。その言葉の意味を分娩までの経過とともに紹介します。


「子宮口、3cm」の意味は?

お産が近づくと赤ちゃんは徐々に下ってきて、頭が骨盤の入り口に固定され、子宮口を押し広げます。主治医から「子宮口、3cm」と言われたら、その広がり具合が「3cm」という意味です。この状態は、医学的には子宮口開大曲線の「加速期※」にあると診断されます[*1]。

※加速期とは:陣痛が始まってから子宮口が全開大(10cm)になるまでを「分娩第1期」と呼び、分娩第1期はさらに「潜伏期(ゆっくりお産が進む)」と「活動期(本格的にお産が進む)」に分けられます。加速期は活動期の序盤にあたります。なお、子宮口全開大から胎児が出てくるまでが「分娩第2期」、胎児が出てから胎盤が出てくるまでが「分娩第3期」。

なお、赤ちゃんの頭がママの骨盤内に下りてきて固定されるタイミングは初産婦と経産婦で違っていて、初産婦では妊娠10ヶ月(36〜39週)ごろ、経産婦は分娩開始近くとされます[*2]。

松峯先生
「子宮口が開くのは赤ちゃんの下降の結果で、主治医は子宮口の開大度だけでなく、赤ちゃんの下降の状態と陣痛の強さ・間隔、それらの相関を注意して診て、お産の時期や分娩方法について検討しています」

「3cm」から、その後どうなるの?

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一般的に、その時点で分娩につながる陣痛が起きていれば、子宮口の開大度は大きくなっていきます。
4cmを超えると医学的に子宮口開大曲線の「極期」と診断され、さらに加速度がついて広がっていき、分娩時にはおおむね10cmとなります[*1]。

つまり、すでに「1時間に6回以上で規則的な陣痛」が起きていれば、開大度3cm時点は「分娩第1期(開口期)」に入っていると考えられ、入院して出産にのぞむこととなるのです[*3]。

ただし3cm時点(開大度7~8cm以前)では、まだ分娩がどんなペースで進むか、実際にはわからない場合も少なくありません。

「前駆陣痛」と言って子宮の収縮が起こす不規則で弱い痛みがある場合も、赤ちゃんの進みがゆっくりですぐに分娩につながる陣痛に至らないこともあります。

松峯先生
「数時間で分娩につながる陣痛が起こることもあれば、前駆陣痛が2、3日間、続く人もいます。一旦、帰宅をして本格的な陣痛を待つことはまれではありません。いつ生まれる?! などと焦らずに、リラックスしてお散歩などして過ごしましょう」

陣痛までの過ごし方は?

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主治医から「子宮口、3cm」と言われたタイミングでまだ陣痛が起きていない場合、どのように過ごしていたら良いのでしょうか。

陣痛に備える時間をどう過ごす?

すぐにお産に至らなくても、マタニティライフはいよいよ終盤ということです。安全に分娩を迎えるために次のようなことに気をつけて過ごしましょう。

腹式呼吸でリラックスをし、痛みを緩和

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痛みの自覚の程度は人によってさまざまなので、前駆陣痛であってもつらく感じる人もいます。痛みをなるべく緩和するために、ゆっくり、大きく腹式呼吸をして、心と体の緊張をほぐしましょう。

適度な活動

ウォーキングや、軽い体操をして適度に体を動かしながら陣痛を待ちましょう。自然な陣痛を促し、心身の緊張をほぐします。

ゆらぎ体操:やり方
立っていても、座っていてもOK。安定感がある姿勢をとります。
肩から上は動かさず、なるべく上半身の中心線の位置を変えないまま、腰を左右に振ります。

松峯先生
「ゆっくり呼吸しながら、ゆっくりゆらぐようなイメージで行うと、リラックスできます」

排泄はがまんしない

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自然な便意や尿意があったら、がまんせずに用を足しましょう。

軽い食事と水分補給

前駆陣痛以降、陣痛の痛みに耐えることで体力を消耗し、大量の汗もかくので、軽食と水分をとっておきましょう。

松峯先生
「分娩時には強い陣痛が赤ちゃんを押し出す力になります。そのときのママは『満腹でも空腹でもない状態』が理想的です。満腹では気持ちが悪くなってしまうし、空腹では体力を保ちづらいでしょう。そして分娩後しばらくは脱力状態で食事がとれない場合もあります。 そのため分娩第1期までの陣痛が軽いうち、痛みの合間におにぎりなどの軽食をとり、『満腹でも空腹でもない状態』を維持しておくと良いでしょう」

パートナーや家族がするといいことは?

妊婦さんの側にいる身近な人はどのようなサポートができるでしょうか。

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陣痛間隔測定

妊婦さんが痛みを訴えたら、痛みはじめから次の痛みが始まるまで、もしくは痛みのピークと次のピークの間隔を測ります。不規則だった痛みが規則的になり、陣痛周期が10分以内(1時間に6回以上)になったら、分娩につながる陣痛が来ていると考え、その時点が「分娩開始」となります。速やかに産院へ連絡をとり、移動しましょう[*4]。なお、10分間隔になるより前に連絡するように事前に伝えられている場合は、それに従いましょう。

はげましや労い

陣痛に耐えている妊婦さんを労い、はげましの声をかけてあげましょう。

松峯先生
「 “大したことない”“出産する女性は誰でも経験すること”などとは決して言わず、痛みをただ受け止めてあげ、労ってください。労いの言葉が妊婦さんを和ませます。安全な分娩も一大仕事ですから、メンタルのサポートがあると心強いです」

マッサージ

妊婦さんの要望を聞き、腰などをさすったり、マッサージすると痛みがまぎれるようなら、はげましの声をかけながらマッサージしましょう。

松峯先生
「“手当て”という言葉がある通り、親しい人の手がやさしく触れると安心し、心身の緊張がほぐれます。てのひらを妊婦さんが希望するところに当てるだけでもいいので、やさしくケアしてください」

水分補給、食事のサポート

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分娩前に適度な水分と軽食の補給ができるようサポートしてください。

まとめ

子宮口の開大度が3cm時点では、前駆陣痛の段階にある、分娩につながる陣痛が始まっているなど、人によって状態が違い、分娩までの時間や過ごし方も違ってきます。分娩は「1時間に6回以上の規則的な陣痛」が起きてから始まるので、まだの場合はそれまでなるべくリラックスして過ごすことが大切で、不安なことがあればすぐ産科に連絡し、主治医や助産師とコミュニケーションをとりながら、陣痛を待ちましょう。

この記事の監修ドクター
松峯美貴先生
医学博士、東峯婦人クリニック副院長、産前産後ケアセンター東峯サライ副所長(ともに東京都江東区)妊娠・出産など女性ならではのライフイベントを素敵にこなしながら、社会の一員として悠々と活躍する女性のお手伝いをします!どんな悩みも気軽に聞ける、身近な外来をめざしています。
http://www.toho-clinic.or.jp/

(文・構成:下平貴子、監修:松峯美貴先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1] 正常経腟分娩の管理
http://fa.kyorin.co.jp/jsog/readPDF.php?file=to63/60/10/KJ00005047149.pdf
[*2] 「病気がみえるvol.10 産科」(メディックメディア),p11
[*3] 「病気がみえるvol.10 産科」(メディックメディア),p228.230
[*4] 「病気がみえるvol.10 産科」(メディックメディア),p229

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

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