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2023年01月17日 14:54 更新

離乳食はいつから、どう始める?知っておきたい基本のポイントまとめ【管理栄養士監修】

子の成長に伴って始まる離乳食。しかし始めるタイミングや進め方で戸惑うことも多いのでは。今回は離乳食を始める目安から調理方法や食べさせ方、注意点まで、離乳食の始め方、進め方に関するポイントをご紹介します。

離乳食を始める時期はいつ? 目安は?

離乳食を赤ちゃんに食べさせるママ
Lazy dummy

離乳食の目的

離乳食とは「乳」から「離れる」と書きますが、母乳やミルクをやめることを意味しているのではありません。少しずつ母乳やミルクの栄養から、食事で栄養をとっていくようになるまでの過程のことを指します。

離乳食とは、母乳やミルクをやめるということが目的ではなく、母乳やミルクでは足りない栄養を補完することを目的としています(これを補完食と呼ぶ場合もあります)。

また、離乳食の期間を通じて、食事を規則的にとることで生活リズムを整えたり、食べる意欲や楽しさを体験したりすることも目的の1つです。

離乳食の開始は生後5~6ヶ月ごろ

離乳食を開始する月齢の目安としては、生後5~6ヶ月ごろが適当といわれています[*1]。もっとも、これはあくまで目安であり、絶対守らなければいけないものではありません。月齢だけで考えるのではなく、子供の発達や発育の状況も踏まえて開始時期を判断していきましょう。

離乳食開始OKの発達の目安

月齢以外で離乳食の開始時期を判断する目安としてあげられるのが、子供の「食べたがっているサイン」です。たとえば以下のような発達が見られれば、離乳食を始めてみてもよいといえます。


生後5~6ヶ月くらいの月齢になり、上記のようなサインが見られたら、少しずつ始めていくとよいでしょう。

離乳食の流れ

離乳食を食べる赤ちゃん
Lazy dummy

最初はなめらかですぐに飲み込める状態から始めますが、その後はお子さんの発達に合わせて少しずつ食べ物の硬さを変えながら進めていきましょう。

離乳食の4つの段階

離乳食は「初期」(5~6ヶ月)・「中期」(7~8ヶ月)・「後期」(9~11ヶ月)・「完了期」(12~18ヶ月)の4つの段階があります。

この4つの段階は、「口腔の発達段階」と、「身体が大きくなることによる必要エネルギーの違い」によって分けられます。

しかし、赤ちゃんの発達はひとそれぞれです。例えば、身体は大きくよく動くけれど、お口の発達がまだまだかな?ということがあれば、月齢としては離乳後期に入っても、離乳中期くらいの硬さのものを、量を多めにして食べてもいいでしょう。

回数についても同様です。

離乳食は1日1回からはじめ、中期から1日2回、後期から徐々に1日3回へと進んでいきますが、これは目安であってルールではありません。なかなか食べてくれないというときは、「2回食の時期だから」などとこだわらず、1回の量が少ないのであれば、3回に増やすなど、臨機応変に対応してもらって大丈夫です。

離乳初期(生後5~6ヶ月ごろ)[*2]

●子供の様子を見つつ、1日1回、1さじずつから始めます
●食べ物を飲み込むことや舌ざわり、味に慣れることがおもな目的です。離乳食だけで十分な栄養をとるのはまだ難しいので、母乳やミルクは飲みたいだけ与えましょう
●食べ物はなめらかにすりつぶした状態にしておきます

1さじというのは、「少しずつ」という意味なので、特に1さじだけと計ったり控えたり増やそうと努力をする必要はないですよ。

離乳中期(生後7~8ヶ月ごろ)[*2]

●食事の回数は1日2回食に。食事のリズムをつけていく時期です
●食べ物は舌でつぶせるくらいの硬さに
●さまざまな味や舌ざわりを楽しめるように食品の種類を増やしていきましょう

できたら、大人が食べる食事で取り分けられるものがないかも考えていくといいでしょう。
そうすると食材の幅も広がりますし、離乳食のみを用意するよりもレシピに悩みにくくなるかもしれません。

離乳後期(生後9~11ヶ月ごろ)[*2]

●タイミングを見ながら1日3回食に進めていきます
●可能であれば家族等と一緒に食卓を囲むなどして、食べることの楽しさを体験させていきましょう
●食べ物の硬さは歯ぐきでつぶせるくらいにします

食卓を囲むことで、どのように食べるのかを学んでいきます。食卓を囲む環境により赤ちゃんの食欲も増します。

離乳完了期(生後12~18ヶ月ごろ)[*2]

●1日3回の食事のリズムとともに、生活リズムも整えていきましょう。
●食べ物は歯ぐきでかめるくらいの硬さに
●自分で食べる楽しみを体験できるよう、手づかみ食べできるメニューなどを工夫してあげるとよいでしょう

子どもの食欲や発達に応じて進めればOK

4つの段階の月齢や内容は目安であり、「この通りでなければいけない」というものではありません。こうした情報を参考にしつつ、子供の食欲や成長・発達の状況に応じて調整しながら離乳を進めていきましょう。

食べる量や進み方は、子供によって個人差があります。食事の量が増えなくても、母子手帳などに記載された成長曲線のカーブに沿っていれば、基本的には問題ありません。あまり気にしすぎず、ゆったり構えて進めていきましょう。

食事についても手作りにこだわりすぎず、市販のベビーフードも上手に活用するといいですよ。
味の濃さや食べ物の硬さなどは、市販のベビーフードが参考になることもあります。

離乳食のスケジュール

離乳食は何を何時にどのくらいあげたらいいのか、気になるかもしれませんが、時間に決まりはありません。1日の回数が

●離乳食初期:1~2回
●離乳食中期:2回が目安
●離乳食後期:3回が目安
●離乳食完了期:3回を大切に補食も

となりますので、「1回は午前中、1回は午後」がよいということはいえるでしょう。

2回食に進んだときの時間帯は?

特に時間の決まりはありません。お昼寝の時間などにあわせて、だいたい午前と午後にわけ、夜遅くならないようにすればOKです。そう考えると、次のようになるかもしれません。

●1回目:7~10時ごろ
●2回目:14~18時ごろ


お昼寝や授乳時間、お散歩や登園なども考えて臨機応変に決めて大丈夫です。

離乳食の進め方のポイント

離乳食を食べる赤ちゃん
Lazy dummy

離乳食のはじめはおかゆから

離乳食はまず、なめらかでとろとろの状態にしたおかゆ(米)を、離乳食用のスプーンで1さじ与えるところから始めます。おかゆに慣れてきたら、じゃがいも、にんじんなどの野菜、果物を、さらに慣れたら豆腐や白身魚、固ゆでした卵黄など、徐々に食品の種類、量を増やしていきましょう。

もっとも、もし、お子さんがおかゆを好まず進みが悪いなら、じゃがいもや野菜類などに進んでも全くかまいません。お子さんの様子を見ながら量を変えていってください。

はじめての野菜は、甘くてとろっとしやすいものがいいでしょう。にんじん、白菜、玉ねぎ、かぼちゃなどが食べやすいかもしれません。

関連記事▶離乳食の基本「おかゆ」の作り方|つぶしがゆ~5倍がゆ
関連記事▶離乳食の野菜はいつから?何から?おすすめの順番・進め方と調理テク

どのくらいのペースで量を増やせばよい?

おかゆの水分量などによって大きくエネルギー(カロリー)は異なりますので、特にペースは気にしなくてOK。だいたい1~2日くらいは小さじ1くらいで、そのあとは小さじ2~4くらいに増やしていくようなイメージです。食欲に応じて増やしていきましょう。食べる日も食べない日もありますので、増やすことだけを目標にしなくてもかまいません。

離乳食の栄養バランス

離乳食の栄養バランスは基本的に大人と大きくは変わりません。

穀類(炭水化物)、野菜類(ビタミン・ミネラル)、肉魚類(タンパク質)をとっていくことで、栄養バランスがとれます。野菜をゆでたり、ごはんをおかゆにしたりすることでボリュームに差はありますので、グラム数にとらわれるのではなく、「なんとなく」程度の感覚でバランスをとることが大切です。

また、だいたい9ヶ月頃になると、母乳・ミルクからとるエネルギーと、食事でとるエネルギーが半分半分くらいになりますので、母乳やミルクだけになっていないかなども考えられるといいですね。 

ビタミンやミネラルなどを細かく気にするよりも、楽しく食べているか、元気があるか、体重が増えているかを考えましょう。

スプーンの使い方(食べさせ方)のポイント

「スプーンで食べさせる」という意識が強いと、どうしてもスプーンを赤ちゃんの真ん前に突き出してしまいがちですが、スプーンがあるということがわかる程度に出してあげるくらいでOK。

赤ちゃんがお顔を少し前に出して自分で食べられるようにするといいですね。赤ちゃんが受け身ではなく、自分で食べるという意識をもてるようにしてあげましょう。

離乳食を進めるうえでの注意点

微笑む赤ちゃん
Lazy dummy

赤ちゃんにハチミツはNG

ハチミツを1歳未満の赤ちゃんに与えると、乳児ボツリヌス症を発症するリスクがあります。

乳児ボツリヌス症はボツリヌス菌という細菌に赤ちゃんが感染することで発症し、国内でも死亡例が報告されています。ボツリヌス菌は土壌の中などに広く存在しており、食品の特性上、包装前に加熱処理を行わないハチミツの中に時折、混入していることがあります。

大人の場合、ボツリヌス菌を口にしても何も起こらないことがほとんどですが、まだ腸内環境が整っていない1歳未満の赤ちゃんにとっては発症のリスクが否めません。「ハチミツは1歳を過ぎてから」と覚えておきましょう。

なおボツリヌス菌は熱に強いため、加熱していても無視できません。ハチミツそのものだけでなく、ハチミツ入りの飲料やお菓子なども与えないように気をつけてください。

食物アレルギーについて

離乳食を進めるにあたり、食物アレルギーのことも気になるでしょう。以前は食物アレルギーを防ぐためと言って、アレルゲンとなる食品を避ける方法がとられていましたが、最近ではそうした特定の食品の回避には、食物アレルギーの発症予防効果がないとする報告が多く寄せられています。子供の食物アレルギーやアレルギー疾患予防のために、特定の食品やサプリメントを摂取したり、避けたりする必要はありません。

お子さんに食物アレルギーの疑いがある場合は、まずかかりつけの小児科医に相談しましょう。その上で食品の制限が必要な場合は、必ず医師の診断に基づいて行うようにしましょう。

離乳食で意識したい栄養素は?

母乳育児の場合は鉄分、ビタミンDを意識してみて

「母乳育児を行っている場合は、鉄やビタミンDが不足しやすい」という報告があります。母乳育児では生後6ヶ月の時点[*3]で、「ヘモグロビン濃度が低く、鉄欠乏を生じやすい」「ビタミンDが不足しがち」といった指摘があることから、離乳食にも鉄やビタミンDを多く含む食品を積極的に取り入れてみるとよいでしょう。

鉄分を多く含む食品で、離乳食にも取り入れられそうなのは海苔(のり)、ごま、きな粉、干しエビなど。

一方、ビタミンDはカツオや鮭といった魚類やキノコ類に多く含まれます。離乳食の進み具合に応じて取り入れていきましょう。

関連記事▶離乳食で鉄分はどうとる?鉄分豊富な食材やおすすめレシピ

離乳期の母乳やミルクについて

ミルクを飲む赤ちゃん
Lazy dummy

離乳食開始後も母乳やミルクは必要

いったん離乳食を始めると「離乳食を始めたのだから母乳やミルクは不要?」「食事だけになる?」と思ってしまうかもしれません。しかし、離乳食を開始してすぐに食事からすべての栄養がとれるようになるわけではありません。離乳食開始後も並行して母乳やミルクを与えます。授乳のタイミングとしては、食事前ではなく離乳食の後にするといいでしょう。

なお、母乳やミルクを必要としなくなる時期には個人差があり、子供の発達状況や離乳食の進み方によっても異なります。いつまで母乳やミルクを与えるかについては、子供の様子やママの考えなどさまざまな要素を考慮し、判断していきましょう。

フォローアップミルクは使うべき?

離乳食が順調ならば飲ませなくてOK

フォローアップミルクは母乳や育児用ミルクではなく、牛乳の代用品としてつくられたミルクです。牛乳は安価かつ良質なタンパク質やカルシウムの供給源として有用ですが、鉄の含有量が少ないという欠点があります。それを補うために鉄と、鉄の吸収を高めるビタミンCを添加してつくられました。

そのため、離乳が順調に進んでいて、必要な栄養素が摂取できている場合、とくに飲む必要はありません。1歳以上で、離乳が進まず鉄欠乏のリスクが高い、体重が適切に増加しないといった場合に、医師に相談した上で、必要に応じてフォローアップミルクを活用するのがよいでしょう。

まとめ

離乳食を食べる赤ちゃん
Lazy dummy

初めてのお子さんの場合はとくに、離乳食の始め方や進め方がわからなくて不安になってしまうこともあるでしょう。離乳食には今回紹介したような進め方の目安がありますが、与えてはいけない食品は与えないなど、最低限のルールさえ守っていれば、神経質になる必要はないといえます。お子さんの成長に合わせて、少しずつ進めていきましょう。

(文:山本尚恵/監修:川口由美子先生)

※画像はイメージです

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、専門家の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

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