【医師監修】妊娠15週の母子の状態と注意点

【医師監修】妊娠15週の母子の状態と注意点

妊娠15週は妊娠初期最後の週です。この頃には赤ちゃんの体内でも重要な臓器や胎盤が完成します。個人差はありますが、つわりの症状はかなりおさまり楽になるママが多いでしょう。体重増加やむくみ、便秘などのマイナートラブルにも気をつけて過ごしましょう。


この記事の監修ドクター
産婦人科専門医 中林稔 先生
日本医科大学卒業、虎の門病院医長を経て、現在三楽病院産婦人科部長。 診療のみならず、学会・各地講演をはじめとする医学の普及活動を行う傍ら、教育にも幅広く従事しており、2008年には中林助産師学院を共同設立。自ら講師を務め、6年間連続助産師国家試験合格率100%を達成中。医師+(いしぷらす)所属。

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妊娠初期の終わり、15週

この頃に胎盤の形と機能が完成します。胎盤はママの体内で赤ちゃんが生きて成長していくのに欠かせない臓器です。胎盤を通して血液を交換することで、赤ちゃんは酸素や栄養をママからもらい、二酸化炭素や老廃物をママに戻して、生きていくのに必要な呼吸・消化・循環などを行うことが可能になります。胎盤は妊娠7週ごろから作られ始め、妊娠15週ごろに形と機能が完成しますが、その後も大きさは増していきます。

また、この頃からはそれまで卵巣の妊娠黄体が分泌していたエストロゲンやプロゲステロンといった妊娠継続などに必要なホルモンも胎盤が分泌するようになります。

胎盤と赤ちゃんをつなぐのがへその緒(臍帯)で、2本の動脈と1本の静脈が、互いにねじれて絡み合うひも状の器官です。へその緒は妊娠末期には長さ50~60cm程度、直径1.5cmくらいになります[*1]。

胎盤もへその緒も、出産までそれぞれ大きく、長くなりながら、ママのお腹の中で赤ちゃんを育てる大切な役割を担っています。

妊娠15週の赤ちゃんの状態

赤ちゃんの大きさはだいたい、身長16㎝、体重100gです[*2]。この頃には皮膚は赤く半透明で皮下の血管が見え、顔や体に産毛が生えてきます。また、性別による性器の形の違いがよりはっきりしてきます。筋肉が発達してきて手足の運動が始まるため、超音波検査で赤ちゃんが手を動かしているのが見えたり、まれに胎動を感じるママもいるでしょう。

妊娠15週のママの状態

下腹部のふくらみが目で見てわかるぐらいになります。

つわりがだいぶ楽になる

この頃にはつわりがだいぶおさまり、楽になったと感じるママが多いでしょう。まだつわりがある場合でも、妊娠16週以降の妊娠中期に入ると、ほとんどのママのつわり症状は自然に消えていきます。

つわりの原因は正確には分かっていませんが、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)の分泌量が減る時期と、つわりの症状がおさまる時期はほぼ重なっています。妊娠すると形成中の胎盤から分泌されたhCGが刺激となって妊娠黄体からエストロゲン、プロゲステロンというホルモンが分泌されていましたが、胎盤が完成するとこれらのホルモンは直接胎盤から分泌されるようになります。

この変化とともに、妊娠以来続いていた体温の高体相が低温相に移行し、だるさ、のぼせやほてりなどの症状も消えます。これは妊娠黄体からのものと異なり、胎盤からつくられるプロゲステロンには体温を上昇させる性質がないためといわれています。

この時期、起こりうるマイナートラブルなど

妊娠初期には、子宮への血流が増えて筋肉が伸び、子宮を支えるじん帯や広間膜(子宮が左右に動くのを防ぐ膜)が引っ張られ、下腹部に痛みが出たり、張りを感じたりすることがあります。これは生理的なものなので、超音波検査で異常がなく、安静にしてよくなるようなら心配はありません。安静にしても痛みが続いたり生理より多い出血を伴う場合は、主治医に連絡しましょう。

また、グレープフルーツより大きいぐらいの大きさになっている子宮により、膀胱が圧迫されて頻尿になりがちです。つわりがおさまり食欲が出て、便秘や痔になるママもいます。便秘予防のためにも、おしっこは我慢せず、水分は十分に摂るようにしましょう。

むくみも妊娠中に出やすいマイナートラブルです。とくに妊娠中期以降からがむくみやすいと言われ、15週ごろ感じ始めるママもいるかもしれません。足を少し高くして寝たり、十分な睡眠をとる、弾性ストッキングをはいたり、ウォーキングをするなどで対策しましょう。


妊娠15週に気をつけたいこと・やっておきたいこと

体重管理に気をつけ始めよう

つわりの症状が軽くなると、食欲が出て、つい食べ過ぎてしまいがちです。この場合は、体重の急激な増加に注意が必要です。

現在では体重の増加量についてそこまで厳しく言われることはあまりないと思いますが、つわりが軽くなったからといって「2人分食べる!」勢いで食事をしていると、赤ちゃんはまだ小さくそこまで多くのカロリーを必要としないので、あっという間に体重が増加してしまうこともあります。

妊婦さんの1日あたりのカロリー摂取量は、健康で普通の体格の人の場合、妊娠していない時に対して、妊娠初期では+50kcal、中期には+250kcal、後期には+450kcal(いずれももともと肥満の妊婦さんは別です)を目安にすることが推奨されています[*3]。

白米でいうと、お茶碗1杯(150g程度)のごはんのカロリーが約250kcal。摂取量を増やすといっても、妊娠初期の増加量はほんの少し、中期でも普通の食事にごはん一杯プラス程度で良いことがわかります。カロリーを増やすというより妊婦さんで大切なのはバランスよく栄養を摂取することなのです。

やせすぎも赤ちゃんにとってよくありませんから、主食はきちんと摂ったうえで、ビタミンやミネラルを補給できる野菜、肉・魚・卵・大豆などを使った主菜、カルシウム補給に牛乳・乳製品などをバランスよく、あまり神経質にならない程度に気を付けて食事するようにしましょう。


適度に運動しよう

つわりや流産の頻度が少なくなるこの時期は、運動を始めるのによいタイミングです。肥満の防止、ストレス解消などに役立つでしょう。

マタニティ向けスポーツの条件は、母子にとって安全、有酸素運動、全身運動、楽しい運動であることという4つです。水泳、ヨガ、ジョギング、ウォーキングなどは向いていると言えるでしょう。勧められないのはバレーボールなどの競技性のある運動や、腹部が圧迫される運動・瞬発的な運動・転倒や相手と接触する危険がある運動・無酸素運動です。

毎分130~140ぐらいの心拍数を超えない程度の運動強度になるよう、脈拍を測りながら行いましょう。運動は1回60分以内、週2~3回程度が適当で、午前10時から午後2時ぐらいが子宮収縮の起こりにくい時間帯と言われており、運動するのに向いています。また、運動の前後には必ず水分をとってください。

ほとんどの流産は胎児の先天的な原因で起こるといわれており、上記のような条件を守れば、運動が流産の原因になることはほぼありません。逆に運動したから安産になるということもありません。切迫流産など、リスクのある場合は運動は禁止です。運動を始めるまえには必ずかかりつけ医に相談するようにしましょう[*4]。

つわりが落ち着いたら歯科健診に行っておこう

つわりの間は歯ブラシを口に入れただけで吐き気がして、歯磨きがおろそかになってしまったママもいるのではないでしょうか。妊娠中はホルモンの変化で歯周病にかかりやすく、歯周病にかかっているママからは早産と低体重の赤ちゃんが生まれるリスクが高いこともわかってきました[*5,6」。

ですから、つわりが落ち着いたときを見計らって、歯科健診を受け、歯科医から注意点を聞いたり、治療しておくようにしましょう。市区町村に妊娠届出書を出すと、妊婦健診と一緒に妊婦歯科健診の案内があります。治療は有料になりますが、健診は無料の自治体もあるので活用してください。

おりものが増えやすいので下着をきれいに

妊娠週数が進むにつれて、エストロゲンというホルモンの分泌が増えます。このホルモンの働きで粘液が増え、妊娠中は水っぽいおりものが多くなります。下着をこまめに替えたり、おりものシートや尿漏れパッドで対処しましょう。

おりものにいやなにおいがあるとき、白っぽくてボロボロとしているとき、かゆみを伴うときは細菌などの感染の可能性があります。感染症の種類によっては流産、早産や前期破水などにつながりますから、いつもと違うと感じたら早めにかかりつけ医を受診して治療しましょう。

体調がよくても無理は禁物!

妊娠12週までと比べて、流産の頻度は少なくなるとはいっても、可能性はゼロではありませんし、切迫流産にも注意が必要です。

つわりも楽になり体調がいいからといって、無理しすぎないようにしましょう。性器出血や腹痛があったら、主治医に電話で受診の必要性はないか確かめましょう。

まとめ

つわりが軽くなるママが多いこの時期は、つい食べ過ぎてしまいがちです。体重が増えすぎないよう注意しながら、偏りなく栄養をとるように心がけましょう。体調がよくなるにしたがって、運動などもできるようになってきます。ただ、これも無理のない範囲で行うのが条件。ゆったりとした気持ちで、楽しんで行うようにしましょう。

(文:山崎ひろみ/監修:中林稔先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]日本産科婦人科学会編, 産科婦人科用語集・用語解説集 改訂第4版, 93p
[*2]『最新産科学 正常編』 第6刷 文光堂 p59
[*3]日本産科婦人科学会 産科 ガイドラインp54
[*4]日産婦誌44巻1号 妊婦と運動
[*5]日本小児歯科学会HP 妊娠中の歯科治療
[*6]Corbella et al., Odontology 100(2):232-240, 2012. (日本歯周病学会編集 歯周病と全身の健康 2015より)

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

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※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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