「お気遣いなく」の意味とは? 使用する時の注意点や言い換え表現を解説【例文付き】
「お気遣いなく」はビジネスシーンだけでなく、普段の会話でもよく耳にする言葉。しかし、相手によっては失礼な印象を与えてしまう可能性があることをご存じでしょうか?
今回は、「お気遣いなく」を使う上で知っておきたい、言葉の意味と注意点を紹介していきます。また、類語・言い換え表現もまとめているため、ぜひチェックしてください。
「お気遣いなく」の意味
「お気遣いなく」は、「お気遣いなさらないでください」を省略した言い方で、相手に「心配しないでください」「気を使わないでください」といった意味を伝えるフレーズです。
お気遣いなく
気をつかわないように相手に丁寧に述べる表現。気遣い無用。
(出典:『実用日本語表現辞典』)
「お気遣い」は「気遣い」に「お」をつけた丁寧な表現であり、最後に否定形の「なく」を付けることで、「気遣わないでほしい」という気持ちをへり下って伝える言い方となります。
「お気遣いなく」の使い方【例文付き】
「お気遣いなく」は、ビジネスシーンだけでなく親しい相手との会話でもよく使われるフレーズです。
例えば、訪問した先でお茶やお菓子を出してもらったり、贈り物をもらったりした時に、「こちらに気を使わなくて良いですよ」と遠慮する気持ちを表現するために使用します。
また、ビジネスシーンでは取引先から配慮してもらった際などに、申し訳ないという思いを伝える意味で使うこともあるでしょう。
例文
・「どうぞお気遣いなく、お召し上がりください」
・「ご返信についてはお気遣いなく」
「お気遣いなく」を使う時の注意点
ここからは、「お気遣いなく」を使う時の注意点を紹介していきます。
(1)目上の人には使う場合は言葉を補う
「お気遣いなく」は、相手からの施しを遠慮する気持ちを表現したい時に使えるフレーズです。しかし、目上の人にそのまま用いると上から目線のように受け取られてしまう可能性があります。
そのため、役職が離れた上司など明らかに立場が上の人に使用する際は、「お気遣いなさらないでください」「お気遣いなさいませんようお願い申し上げます」といった形で、省略された言葉を補うようにしましょう。
(2)頻繁に使用するのは避ける
「お気遣いなく」を口癖のように使っていると、本当に遠慮しているのか気持ちが伝わらなくなってしまいかねません。場合によっては、冷たい印象を与えてしまうこともあるでしょう。
せっかく相手がこちらに配慮をしてくれたのなら、その気遣いを素直に受け取ることも時には必要です。
「お気遣いなく」は便利なフレーズではあるものの、社交辞令としてとりあえず言うのではなく、適切なタイミングで使用するようにしましょう。
「お気遣いなく」の類語・言い換え表現
「お気遣いなく」だと堅苦しくなってしまう時や、偉そうな印象になってしまうことが懸念される場合は、他の似た意味を持つフレーズを用いるのがおすすめです。
おすすめの言い換え表現を知り、シーンに合わせて上手に言葉を使い分けましょう。
(1)「お構いなく」
「お構いなく」は、「必要以上にこちらを気にしなくて良いですよ」という気持ちを表現するフレーズです。
主に相手の家に行って、飲み物や食べ物を出してもらう時の断りのセリフとして使われることが多いでしょう。
相手の負担にならないよう遠慮する気持ちを表す言葉ですが、ビジネスシーンだとカジュアルすぎる表現になるため、親しい間柄の場合にのみ使うのがおすすめですよ。
(2)「お気持ちだけ頂戴いたします」
相手からの気遣いや贈り物などを丁重に断りたい時に役立つのが、「お気持ちだけ頂戴いたします」です。
相手の気持ちを否定することなく、慎重に対応したい場面で活用できます。トラブルを避けたい時や角を立たせたくない場合に用いると良いでしょう。
(3)「お気になさらず」
「お気になさらず」は「お気遣いなく」と同じく、「こちらのことは心配しないでほしい」という気持ちを表すフレーズです。
丁寧な表現なので、親しい間柄の目上の人やプライベートで親交がある人であれば問題なく使えます。
ただし、相手によっては高飛車な印象を与える可能性があるため、普段かかわりの少ない上司などに使用する際は「お気になさらないでください」と伝えるのがベターです。
「お気遣いなく」は相手への遠慮の気持ちを表す言葉
「お気遣いなく」は、相手の気遣いに対して、そこまでしてもらって申し訳ないという思いや、遠慮したい気持ちを伝える意味があります。
ビジネスシーンでもよく使いますが、目上の人に使用する際はそのまま用いると失礼に当たる可能性もあるため、状況に応じて言葉を付け足したり、言い換え表現を活用したりして上手に使い分けることが大切ですよ。
(にほんご倶楽部)
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※この記事は2024年06月25日に公開されたものです